脳力開発174号・決断の時
コロナ後の未来
コロナ禍も三年目を迎えている。世界は様々な様相呈している。加えてロシアのウクライナ侵攻。リモートワークによる働き方も当初より変わってきた。
「ホモ・デウス」で著名なハラリ教授の新型コロナウイルスによる人類文明に与えた影響を読んだ。21世紀のパンデミック対策は、科学的問題ではなく、政治的問題・課題になった。そしてコロナが浮き彫りにした問題は、国際秩序が如何に脆弱な状態にあるかという問題だ。一国でも、感染防止に穴があれば全人類に危機になる、自国中心主義が最もリスクを広げるということだ。私達はこの事を体験として知った。
■中国的権威主義体制の落とし穴
当初、中国のような一党独裁体制で強権的なロックダウンを行える国の方がより効率的に対処できると感じた。小池百合子知事もそう発言した。ヨーロッパ諸国の対応を見ていると民主主義体制の自由さが仇になっているとさえ感じた。そのなかでも台湾、韓国、ニュージランド、日本は比較的感染者数は少なかったが。
私の先輩で上海で日本企業のコンサルタント会社を経営して30有余年のK氏の日本企業の中国における報告を毎年年二回拝聴してきた。
■中国の監視システムの恐怖
報告の中でコロナ対策にある種の恐怖心を感じたことが何度もあった。国民のスマートフォンにはコロナ追跡アプリがインストールされており、スマートフォンはGPSの「北斗」によって位置情報が収集されている。したがつて地下鉄に乗ってもどこに居ても追跡される。
その事はコロナ感染については望ましいが、監視社会の恐ろしさを感じた。2018年11月深圳のハイテクフェアを視察してきたが、会場全体で監視カメラを応用したシステムが広範囲に展示されており、私の顔認識から年齢の予測もされていた。便利さとAI監視社会の恐怖を感じたが、翌年のコロナで中国技術のレベルの高さをコロナ追跡で一層感嘆し同時に恐怖心を感じた。民主主義国家も監視はする。
■誰がデーターを所有するか
膨大なデーターを誰が所有するのか。その答えが未来をきめる。民主主義国家でも一元的に個人データーを蓄積することを許すべきではない。政府が国民を監視するようにデーターをどのように使われたか監視すべきだと、国民がモニターできるシステムが必要だ。データーを少数の機関に集中させない。とアタリは忠告している。
コロナ後の未来
コロナ後の働き方・経営者の決断
■リモートワークはニューノーマルか
在宅勤務のような働き方には私は抵抗感を持っていた。何れコロナが治まったときリモート勤務者は解雇される可能性が高いと思っていた。その根拠は会社勤めをする人の動機
の多くは身の安全(生活の資を確保する、楽して儲ける)にある。したがつて会社選びの動機は、給料の高下、福利厚生の充実、休暇の過多等が優先され自らが何をしたいかは選択肢が最優先される新卒は少ない。これは長年の新入社員研修を経験なかで体験してきた。
■私の仕事スタイル
しかし、コロナ禍のなかで当初予測するより、新たな選択をする若い人達が増えている事を知った。近いから郊外に移りその地で生活を始める人も間違いなく増えている。
私自身の仕事は会社勤めを辞めて創業してからは茨城県・霞が浦に近い別荘地に居を構え、出張し当地の研修所に足を運んでもらうスタイルをとった。コロナ禍の中ではZOOMとここに参加できる人とのハイブリッドのスタイルをとっている。
■在宅勤務+オフィス勤務
「毎日往復2時間もかけて満員電車で通勤する意味があるのか」在宅勤務を通じてオフィス勤務のメリット・デメリトも研究され富士通では「サテライトオフィス」というアイデアも検討されている。即ち監視しても生産性は上らないという事も徐々に分かってきた。勿論「そのとうり」とは言い切れないし、勤務態度をチェックする企業も存在する。人間は自立した職業人ならば何らこれらの事は問題ない。私の指導の根本姿勢は「自立人の養成」だが。■企業の変革も求められる
私の関わっているN社の経営計画発表会が26日にあった。「真の自立を目指して」いう表題で★昭和時代は会社に発展★平成時代は理念に沿った経営実践★令和時代は第三期大改革を計画実施と区分した発表だった。
根本は新事業への転換が」柱である。2000年に企業理念を制定し「京都宝ヶ池国際会議場」で理念制定式を開催した企業があります。社名はリブドゥ・コーポレイションです。
この会社はそれまでの収益を稼いでいた事業の傍らケアー$キュアーと掲げ病院手術関連のメディカル事業に進出した。黒字化目標は10年後においた。しかし予定通りには進まない。結論をいえば20年後に完全に収益は逆転した。経営者にとって苦しい時間だ。
■変革した企業しか生き残れない
N社の柱は石材事業である。加えて全農を通じての製造・販売である。全農の衰退は予想できた事である、と同時に石材の衰退も予測できた事である。企業理念を制定し、自立連帯企業運営により社会に役立つ自立人を育ててきた。次ぎなるテーマが新規事業の育成であった。その事業が「草むしり」であった。10年余の時間を要したが収益の柱にまで育ててきた。
■社長の決断「いざという時、胆のない人間は、人に長たる器とは言えぬ」
「いざという時、胆のない人間は、人に長たる器とは言えぬ」森信三先生一日一語三月二六日の箴言である。まさに昨日二六日発表会で当面の収益を販売会社に還元し、次ぎなる草むしり事業に懸ける決断をされた。10年先をみれば社名も明らかに相応しくなくなるだろう。私も会社勤務のときに体験した。コロナ禍における各自立連帯企業社長の新たな決意を確認した発表会であった。(悦司)
理念の時代を生きる174号・理念実践会の成熟Ⅱ
問答無用に見る日本人の怠慢
■先月の理念実践会のテキストは小林よしのり氏の「戦争論」でした。戦後史を通観することがテーマでした。今月は桜井よしこの「問答無用」2019年に出版された本です。はじめにを書かれたのが平成30年12月です。
■「一眼は却下の現実を、一眼は遠く未来を」森信三先生の箴言です。取り上げた背景に経営者は今だけを見るのではなく、世界の情勢を見ておく必要があります。平和惚けしともすれば経済成長を優先させる経済界、余り自分たちが暮らす国のことも考えない国民に耳障りのよい綺麗事だけをしゃべるリベラルを標榜する政治家・政党、新聞メディア、NHK
や民放、新聞の虚言に洗脳される日本人にこの本は警告を放ちます。
■実践会を開催した3月9日にはプーチン・ロシアのウクライナ侵攻が始まり、原稿を書いている26日には日本ロシアの平和交渉の中断がロシアから宣言されています。安倍元総理の動きは、12月の台湾で開かれたシンポジュウムでの「新時代の日台関係」の講演で「台湾有事は日本有事」の発言に、中国は「強烈な不満と断固たる反対」を表明した。その後3月22日には蔡英文総統とのオンラインで対談「力による現状変更の試みは決して許してはならない」と相互に認識し安倍氏の台湾訪問の意欲を「歓迎したい」と蔡英文氏は応じた。
■近々では岸田総理も林外相もアメリカ、EU、G7の際には引きずられてロシア制裁に踏み切っているが、林外相は先日のウクライナ・ゼレンスキー大統領の日本での国会発言中に欠伸をしていたと写真つきで皮肉られている。
■経済界も慎重な姿勢、言い換えれば強かに狡賢い姿勢、曖昧にして世界からの顰蹙(ひんしゅく)から逃れようとする姿勢が基本だが、G7の動きなどから旗幟鮮明にせざるをえないように追い詰められている。
■振りかえると昨年10月の選挙の結果を見たとき私は次のように書いた。「民の意識が変わる予兆」して以下のことを書いた。
一・「やっと国の進むべき方向を個人個人が考え出した」二・「過去の紋切り型のイデオロギィ、政党判断に依存して平和惚けしてきた国民が自分なりの判断をしだした」三・「政治家も政権を大声で罵倒するだけで、何も具体的に施策を提案することのない政党、議員に投票しなくなった」四・「共産党の言説に惑わされず国民のみならず、労働組合ですら批判しだした」
■ロシアのウクライナ侵略に政治家も経済界も国民一人一人が他国の話だとノーテンキではおれなくなっている。軍事力と経済力、一帯一路戦略で自国有利を推進する中国、ミサイルを世界の混乱の最中に発射を繰り返す北朝鮮、訳のわからない反日を言い続ける韓国を隣国にもつわが国の騎弱性を目の当たりにして、やっと少しは日本人も考えだした。
■あの経済優先で中国と強かに結びついていたメルケルに率いられたドイツですら、GDPの2%を国防費に予算化した。日本の防衛関係費は1976年三木内閣できめた1%が目安になっている。NATO基準で1.24%という見方もある。日本も冷静に安全保障も自衛隊の存在もふくめて憲法改正も考える時期にきていると少しは考え始める時を迎えていますね。
■今度のロシア侵攻をみて自国の防衛に努めぬ国と共に戦う国はないということがハッキリしてきた。それでもまだ日本国民はアメリカが本気で助けてくれると思っているのだろうか。このロシアの侵攻まで日本人の多くはアメリカが間違いなく助けてくれると多くの進歩的文化人達を筆頭にメディアも思っていたし、今でも思っている人もまだまだ多いことだろう。
■ロシアのウクライナ侵攻から、国連安保理の常任理事国が紛争の当事者になれば、国連決議も紙切れにすぎない。何の効力もない。南シナ海への中国の進出に対しての国際判決も紙切れだと無視している中国に対しても何もできない世界の中にあって、核共有に関して国会ではまだ話し合いですら出来ない。日本人の多くはむやみに「国連万能」を妄信している。
■この世界の状況にあってもいまだに安閑としている自民党のリベラル、立憲民主党、野党の愚かさから脱皮する日は何時くるのかと少々暗澹たる気持になるが、ロシア、中国のでたらめぶりに唯一世界が大国の虚構の平和に気づく時もさほど遠くないと感じる。人間は目の前の危機にのみ反応する。残念ながら。今回の「問答無用」の勉強会で、さらに憲法改正の意識が深まったとの参加者の感想であった。
■問答無用 桜井よしこ
- 問題解決のためには広く皆の意見に耳を傾けよとした民主主義の精神は、言論、表現の自由を尊んでいる。一人一人が意見を表明することで他者を啓発し、自身も啓発されることでエネルギーが生まれ、物事も社会も国もより良い方向に向かうと信じている。P4
- 米国の選良たちは中国が長年米国を騙してきた事実に気付き、その手法が米国の価値観とは相容れないものであることに憤っている。米国、そして日本の立場から見れば、私たちの側は国際法や国際規約を守り、自国に不利であっても国際社会の約束事を優先し、自国の在り方に修正を加えてゆく。対照的に中国は、国際社会のルールを徹底的に無視し、力でもって、自国に都合の良いように変えようとしている。P5
- 中国共産党が、米国の要求を受け入れて人権弾圧をやめ、言論の自由や思想信条の自由を認めた途端に、彼らの独裁体制は揺らぐだろう。米国や日本が要求する知的財産や先端技術の窃盗をやめた途端に、彼らの産業の発展は鈍り、経済成長は下方修正され続けるだろう。彼らはそうしたことを十分すぎるほど知っている。6
- 世界第二の軍事大国に成長した中国では、軍事費を上回る規模で国内治安対策費が支出されている。武装警察、サイバーポリスをはじめ、あらゆる手段で国民を監視し、徹底的に弾圧することで、ようやく国民各層の不満の爆発を抑止し、中国共産党独裁体制を維持しているのである。
- 国民の不満を抑制している経済成長が鈍れば、不満が爆発する危険はさらに高まるだろう。だから中国の経済成長を支える知的財産の窃盗はやめるわけにはいかないのである。P6
- 米中いずれの大国にしても気概と力をもって当たらなければ、日本の言うことなどに耳を貸してはもらえまい。気概は日本の価値観に自信を持つことから生まれる。力は経済の繁栄と軍事力の強化から生まれる。
- わが国は世界第三の経済大国だ。足りないのは軍事力である。自衛隊の能力を物理的に倍増するほどの努力が必要だが、それが非現実的であるいま、急ぐべきは憲法改正である。一日も早い改正が求められている。P7
- 日米同盟を尊重しながらも米国は日本の自立を強く求める。日本は普通の民主主義と同様に、自国民と自国領土を基本的に自分で守るように求められている。当然ではないか。どんな理由で米国は日本を守らなければならないというのか。
- 世界第三の経済大国がなぜ、いつまでも米国に頼りきっていなければならないのか。米国に守ってもらうという戦後体制からの脱却を急ぐのは当たり前である。第一、守っている側の米国がそのように要求しているのである。P8
- 2018年2月、国防総省が「核態勢の見直し」を発表した。米国が20年以上、新しい核戦力を配備していない中、中露は米国の核軍縮とは正反対の方向に突き進んだと非難し、米国の核戦略を大幅に強化し、同盟国及びパートナー国への拡大抑止を改めて保証した。P10
- 3月、台湾旅行法を成立させた。米国をはじめ西側諸国の台湾への肩入れを中国は忌み嫌う。だが、トランプ政権は台湾に肩入れし、上院がこれを全会一致で支持した。台湾への武器売却も推進した。P10
- 共和、民主両党の上下両院議員の総意として、ルピオ氏は中国共産党政府によるウイグル人弾圧を厳しく批判した。300頁を超える中国の人権状況に関する報告書で、幾千幾万のウイグル人の人権がどのように蹂躙(じゅうりん)され、どれほど多くのウイグル人が虐殺されたかを具体的に示し、「人道に対する罪」として告発する姿勢を示した。米国は行政府、立法府共に中国に対して厳しい政策を打ち出したのである。P12.13
- 17年10月、第19回共産党大会での習近平氏の演説がひとつの決定的な分岐点になったのではないか。習氏は世界に向けて、中国は2035年までに世界最大の経済大国となり、49年、すなわち中華人民共和国建国100年までに、世界最強の軍事大国になると演説した。P13
- 米国は単に貿易赤字解消のために貿易戦争を始めたのではない。中国は、中国共産党独自の価値観、力を背景にした有無を言わさぬ恫喝外交、その結果としての勢力拡大の道をつき進もうと、およそ全分野で米国に挑戦する。米国はそうした挑戦を避けようとしているのだ。P15
- 自国の防衛を国際社会に委ねる、夢見る人の非現実的な世界を前提とする現行憲法を改めようと、日本国民が議論すること自体が国防力の醸成につながる。けれど憲法論議はまるで進んでいない。日本が真っ当な自立国にならなければあらゆる火の粉をかぶる、という局面にあって、なお動こうとしないのはなぜか。P17
- 国民の一部が憲法改正に反対しているのは事実である。しかし、それでも国際社会の激しい動きを認識し、急ぎ対応するのがよいと考えている人々は少なくない。むしろ多い。その人たちは子供や孫の世代の日本人に、今よりしっかりとした国を残したいと考えている。そのためにどうしても必要な憲法改正について国民としての判断を示したいと考えている。決める重い責任を、祖国に対して果たそうと考えている。P18
- 憲法制定からすでに70年余り。憲法改正は待ったなしだ。安全保障分野での自立も同様だ。あらゆる面での自立を急いで進めなければならない。まさに問答無用なのである。P18(藤井)
三月実践会感想
■先月の小林よしのり氏の「戦争論」そして櫻井よしこさんの「問答無用」。自分が学んできた太平洋戦争、そして戦後70年が過ぎた今の日本。さあどうする。日本はどうするのか。まさに問答無用という流れでした。この年末からずっと戦争、GHQ、サヨク、個と公などが頭の中を廻っていました。世界はエゴと駆け引き、パワーバランスの上に平和が成り立っているとありました。この現代、紛争はありますが、国をあげて攻撃を始めるなど無いと思っていましたが、今回のロシアのウクライナ侵攻という事態、戦争は外交の延長であり、話し合いで折り合いが付かぬ場合にやむなく用いる手段とありましたが、今回はプーチン大統領の暴走の様に思います。しかし、これも両面から見なければいけないかもしれませんが・・
■戦争は悪い事、そしてその戦争をしていた日本。しかも侵略戦争だった。と教わってきました。修学旅行で訪れた広島の原爆死没者慰霊碑には、「安らかに眠って下さい、過ちは繰返しませぬから」と刻まれていました。その時は、やはり悪いことをしたからなのだと思って見ていました。イヤイヤ、何の警告もなしに一般市民の日常の上に核爆弾を落とした方が悪魔の仕業。過ちは繰り返しませんとはアメリカだろう!などと思いもしませんでした。
■「問答無用」戦後教育でのうすいサヨクの民主主義に気づきもせずに洗脳されていたのか。と書くと、ああこの人は右翼なのだ。とされてしまうかもしれません。しかし、今回の「問答無用」を読み、日本を取り巻く諸事情を考えると、いかに憲法改正が必要かわかりました。正直言って、安倍首相が言っていた時はそれ程にも思っていませんでした。当時も憲法改正=侵略戦争を始める。みたいな扱いでマスコミも言っていたように思います。まぁそれ以前にモリカケ問題ばかりやっていましたから・・事実を知る。情報を得る。しかも、マスコミに情報操作されない。大事な事だと思います。(堀越)