脳力開発160号/理念の時代を生きる160号

脳力開発160号

その一・和環塾2021年ZOOM新年会

今からおよそ三〇余年前、発足当時参加者全員が若かった。三〇~五〇代の経営を志す仲間たちだった。西順一郎先生のMGマネジメントゲームで戦略会計を学び、城野宏先生の脳力開発、そして当時最先端を行くパソコン・マイツールを中心に、その後に大和信春先生の和の実学を学んだ経営者とその奥さんの集まりです。

毎年新年会をやってるがあいにくのコロナ禍のためZOOMで開催した。全員で一三名が参加。今なお現役の経営者は本日の参加者の中では五~六名、最長の塾長は八二歳になった。その次の世代が私達で喜寿の人が三名と続く。

二〇二〇年か未来へ

塾長の奥様M江子さんは私の半年先輩、かつて全日本社会人テニスダブルスのチャンピオンになった塾長の奥様。スポーツウーマン。塾長のガン闘病生活を明るく朗らかに語ってくれた。塾長はほぼ毎日、読書した本のポイントレビューを送ってくれる。この介護体験の話があっけんからんとして、人間の歳をとってからの生き方を示してくれる。塾長夫妻。

私に半年遅れで喜寿になるK原氏、息子がコロナにかかったと驚かせながら、顛末を話してくれた。店舗やその他インテリア・リフォームを生業にしている。コロナ禍には徹底的に対処し、仕事仲間の職人さんに、自社の事業継続給付金をお配りしたという。立教出身、穏やかで人情味あふれる互恵人。仕事では適格なアドバイスをされて仕事は多忙。年齢から感じさせない溌剌さ。毎日の充実した仕事を持っている。ユーチューブで仕事の流れを密かに流している。

O田原の副市長から介護施設の三代目を目指すT田氏は四月から現役大学院生になるという。精神が若い。かつて共にシリコンバレーを案内してもらったNTT出身のY川氏は七年前に債務超過の会社に移籍、七年間の時間と紆余曲折の末、昨年は特殊な独自のコネクターの生産がデジダル化で追い風になり二十一億の債務を返済し、これから今までお世話になった人達への恩返しを目指して上場を計画しているという。上場の審査は厳しいと。

原因不明で車椅子を使ったこともあるが、今では室内は歩けるようになるまで回復したSONY出身のS松氏はこれから更に第二創業を志し、指導してきたことを単行本として春には出版、以後も計画しているという。コロナによって影響を受けた経営者もいるが、それぞれのコロナ体験を交えて令和二年を振りかえりそして第二部では令和三年の抱負も語っていただいた。

夫婦の真実が見える

コロナは夫婦の関係をあからさまにする。夫婦の真実が見えてくる。かつての勉強仲間との一年ぶりのZOOMでの新年会は明るい楽しい会になった。歳を重ねることは悪くない、そんな想いを抱いた。夫婦参加の人達をみてある人が朗々介護護も悪くないと言った。思わず拍手した。なるほど朗々介護だ。(悦司)

写真和環塾新年会

 

その二・沖縄・糸満経営方針設定合宿

交通・ホテル・飲食事情

コロナ禍で緊急事態宣言が出されている。毎年この時期には経営方針設定のための経営合宿を沖縄で行っている。しかし、今年になってコロナの感染が広がっている、GOTOトラベルの中止。毎年茨城発で那覇に行っていたが、SKYマークも運行中止ということで急遽JAL変更した。N氏もS氏もいつものANA便が中止となり、出発地を伊丹に変更して那覇空港に集合することになった。

私も朝一番のJRで品川までグリーン車、品川から京浜急行で羽田。羽田はガラガラ。那覇便も私が見た範囲で言えば100人の席に、15人ほどがバラバラに座っている。近くには人はいない。

合宿するホテルも朝食会場も朝七時半に行ってみるとこれまたガラガラ。初日の早めの夕食もホテルを利用したが、お客さんはゼロ。駐車場もガラカラ。最終日が終わって那覇出発前の少しの空き時間にタクシーを利用したが、例年は修学旅行生、インバウンドの観光客で一杯の国際通りのおみやげ屋さんは九割方シャッターを下ろしている。

運輸関係、旅行関係、飲食関係は大打撃であるのみならず、ゆくゆく倒産も免れまい。現実にANAは社員の派遣を他業種にしている。JALやANAは国が一応守るであろうが、LCC関係は壊滅的な影響を受ける。借りたトヨタレンタカーもビジネス・インバウンド専用と一般客を対象にしたものに別れていたが、まさかトヨタもインバウンド専用と名前を掲げているのには苦笑した。インバウンド専用は文字通り外国人を相手にしているわけだが、一年近い海外からの入国禁止措置では如何ともしがたい。インバウンド専用とはまさにお笑いだ。

写真・JALの機内、那覇空港、ホテル朝食会場、

 

自立連帯型企業運営

N社はおよそ二〇年前から企業改革を開始し、理念制定。石材業界の将来を予測して、社員を計画的に育て社長を育成してきた。それまでは社員だったが、経営者としての理念の探究と経営能力の教育と実践を指導して、自立連帯型企業経営をしてきた。したがって今の販売施工部門は全て理念にもとづいた経営をしている。仮に各社長がサラリーマンのままだったらとうに倒産しているだろう。

中長期計画をベースにした経営方針

加えて新事業を開始してから一〇年余が経った。誰もが目につけない部門を開始し一〇年。それが粗利で一億円を稼ぐ会社に育った。なお、誰もが目をつけたとしても取り組まない事業だ。この事業は顧客との信頼関係が生まれリピート率が90%と高い。この部門の拡大を企画して人を育てている。

また、石材関係も垂直統合型の仕組みを創ってきたことがここに着て明確な組織が整ってきた。いま、墓石業界は中国に依存してきた産地は壊滅常態であり、加えて加工販売をしてきた販売業者は樹木葬儀や墓じまいによって高齢化と廃業が進んでいる。

N社の垂直統合の流れは採掘・製造・販売の一貫体制の仕組みを創って進めることになる。それぞれの段階の話はここでは書かないが、N社の将来は非常に明るい。また自立連帯型の販売部門は会社が独自性を追求しているからどんな逆境練機とし着実に力をつけている。(悦司)

 

理念の時代を生きる160号

その一・経営計画熟考会・茨城・彦根

年末と新年一月初旬経営計画熟考会を例年どおり開催した。根本的に違うのは昨年以来コロナ禍の渦中にいるということだ。先月号でポストコロナ禍の時代と社会を展望する・加速する第4次産業革命を掲載した。ここには避けられない予測が書かれている。

第4次産業革命が襲っているということ、同時にコロナ禍に遭遇している。その中で、私たちは今までのまま続かない状況にあって、生き方を新たに決定するかが問われる。

一つ目は、今までの様な雇用状態が維持されるかということだが、これからサラリーマンの人はよほど特長のある職務・仕事をやっている人以外は解雇されるということ。今、リモートワークしている人でも、いずれAIにといって変わられ仕事はなくなる可能性が高い。

二つ目は、今までの専門家といわれた大学教授であろうが、芸術家であろうが参加してくれる人達がいないと成り立たない仕事は、今後も保証されるとは言えない。胡座をかいた大学教授は解雇される。芸術家でも食っていけない。スポーツ選手でもその恐れがある。

三つ目は、しかし、都会で暮らす生き方とは別の地方に移住して収入は一見下がっても、家族や個人の納得した暮らし方ができる機会、チャンスがある。生活するために収入の多さを求めてきた生き方は見直される機会でもある。

  • 経営計画熟考会は上記の状況を視野にいれながら、自社、個人の理念を前提にして経営を考えることになる。普通大企業はたくさんの人を抱えているから、転身には様々な犠牲が予測される。しかし経営者はこの点は避けて通れない。
  • 参加経営者は幸いなことに自社の役立ち能力を理念に添って磨いているから、このコロナ禍、AI進展を好機ととらえることができる。何度も繰り返してきたが、自立した人間にとっては身に降りかかる出来事はすべて「最善でした、必然である」ととらえる。したがって「困難は神の恩寵的試練」と捉えて進化する。綺麗事をいっているではない。結果として経営者として実力を磨くことになる。
  • 酷な言い方になるが、たまたま、何も努力をしなかったにも関わらず経営できていた企業、・会社はインバウイドがなくなって倒産したとか、飲食関係のチェーン店が閉鎖したり、業態転換を始めるのは当然であるということだ。コロナ禍でその企業の終末の時期が早まったということだ。
  • 茨城で四社、彦根で六社、引き続きZOOMで二社の経営者が経営計画熟考会に参加した。

いずれも、実に今年から数年先を視野に明確な方向性を示す計画ができた。コロナ禍であろうが、自分たちの未来に立ち向かう姿は希望にあふれている。

写真茨城での経営計画熟考会

彦根での経営計画熟考会

 

 

その二・「公共的資本主義」へ転換を 京大名誉教授・佐伯啓思氏

経営計画熟考会資料一部として以下の資料をつかった。私は基本的に佐伯氏の考え方に与する。世間がもてはやしてきたグローバリズム、結果として日本も巻き込まれも経済界も、労働組合も働く人たちが大きく影響を受けて、経済中心平たくいえば生きるためにはお金が第一だという考えから脱皮できてない。縛られ過ぎている。仕事は何のためにするのか?という目的が収入少しでも多くすることに偏っている。経済的豊かさは目的ではない。以下、佐伯氏の思想である。

■過度なグローバリズム、想定と違う結果に

感染症は人類の歴史とともに古く、この100年をみてもわれわれの文明は繰り返し感染症の脅威にさらされている。そして今回の新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は、冷戦後のグローバリズムと切り離せない。この感染症がこれほど急速に世界中に拡散し、また世界経済全体に大きな影響を与えたのはグローバリズムの結果である。と同時に、それはグローバリズムへの大きな打撃となった。

■市場競争の皮肉

冷戦後の世界は、モノのみならず、資本、情報、技術、人などのボーダーレスな移動を促進し、グローバルな市場競争によって経済成長を目指してきた。新自由主義や市場中心主義が国家の役割の最小化を唱え、米国がこの政策の旗を掲げることで、冷戦後の世界における経済的覇権を確立しようとしたのである。1990年代から始まる日本の構造改革路線もその強い影響下にあった。だが、皮肉なことに、過度なまでのグローバルな市場競争は、新自由主義や市場中心主義の想定とはまったく異なった結果をもたらした。

★第一に、グローバルな金融経済はきわめて不安定化し、2008年のリーマン・ショックを引き起こした。その結果、政府が強力な財政金融政策によって経済を支えるというケインズ主義への回帰が始まる。

★第二に、グローバル競争は所得格差、資産格差を生み出し、国民経済に動揺を与える。

★第三に、過度なまでのグローバル競争は、「国家の退場」どころか、国家による成長戦略や保護貿易等へと行き着いた。トランプ米大統領に代表される自国中心主義である。

★第四に、そのなかで、あろうことか共産党が支配する中国がグローバリズムの勝者となり、各国経済が中国依存になった。

★第五に、地域的グローバリズムというべきEU(欧州連合)の実験はほぼ失敗した。

★第六に、過度な市場競争の結果、多くの国で、医療、福祉、教育、それに地域コミュニティなどの公共的社会基盤が弱体化した。

★第七に、本来は公共的財産であるはずの情報・知識が市場で大きな利益を実現し、いわゆるGAFA(米IT大手4社)問題を生み出した。またSNSなどの情報によって社会や政治が振り回されることともなった。

★第八に、グローバリズムとイノーベーションにもかかわらず、先進国はさして成長できないのである。

■破綻した価値観

すでに、グローバルな市場競争はもたないところまできていた。そこへコロナ・ショックが生じたのである。コロナ禍は、これらのグローバリズムのもたらした問題をさらに明るみに出し、もっと深刻な次元へと推し進めた。

  • 一国中心主義はいっそう進み、米中対立は深刻となる。民主主義国家も、国家や政府の権力を強化することになる。EUはますます脆弱(ぜいじゃく)になり、人の移動(移民)は経済の重荷になる。SNS等の情報は、緊急事態のために政府による管理が強化される。極端なまでの財政、金融政策や支援金のバラマキにもかかわらず、経済成長は期待できない。
  • これはグローバリズムへの挑戦ではなく、過度なグローバル競争の帰結である。だから、グローバリズムの立て直しによる経済成長主義というような価値観はもはや破綻している。そのことを今回のコロナ禍が顕在化させたのだ。
  • いま、われわれは岐路にたっている。一方では、このショックをしのいで、V字回復で再びグローバル競争に戻すべきという考えがある。他方には、大きな社会転換の契機にすべきだという考えがある。私は後者であるが、もしポスト・コロナの社会像があるとすれば、それは、医療、福祉、介護、教育、地域、防災、人の繋がりなどの「公共的な社会基盤」の強靱化を高めるものでなければならない。
  • それは、効率至上主義のグローバルな競争的資本主義というよりも、安定重視のナショナル(国民的)な公共的資本主義というべきものであろう。

 

★私達が実践している経営は脱競争型経営=脱覇道型経営で、利益を上げることが目的ではない。企業理念を掲げ理念を背景にした経営である。企業は社員と家族を養うために確かに利益を確保する必要がある。自社の利益を最大限に上げること、長持ちをすることも目的ではない。

★企業理念は企業の魂といえる。活きた理念がないと、疑似理念が発生しグローバリズムのごとく上述のような悲惨の状態を生み出す。私達は諸方互恵のバランスのとれた状態を目指している。一・企業と社会の互恵、二・企業と同業者との互恵、三・企業と取引先との互恵、企業と社員との互恵、四・社員同士の互恵、五・社員と社会との互恵関係だ。(悦司)


脳力開発159号/理念の時代を生きる159号

脳力開発159号

コロナの影響と今年の市場の実態報告

11月華鐘コンサルタントの「新型コロナウイルス克服後の中国経済と世界経済における立ち位置」に関するセミナと私の出身大学のZOOMによる未来社会研究プロジェクトの講演会に参加しました。中国市場は情報によれば景気回復したかのようない勢いです。個人的にはコロナに対しての対応やその他中国のその後の外交に対して大いに疑問を感じております。今回、日本を中心にしての視点を中心に眺めてみたいと思います。

「ポストコロナ禍の時代と社会を展望するーコロナ禍が加速する第4次産業革命」講演者は佐和隆光氏(公益財団法人国際高等研究所副所長、元滋賀大学学長・特別招聘教授、京都大学名誉教授)でした。特に印象に残っていることをポイントレビューしてみました。

納得できる視点が沢山あります。経営計画熟考会での資料として一部参加者と意見を交わしました。コロナ禍と現在のAI状況からみなさん考えてみませんか。

■人工知能(AI)とロボットは雇用を奪う

1、工場の無人化と事務労働のAIによる代替の進展により、製造業とサービス業における雇用者数は激減する。

2、野村総研がオックスフォード大学に委託した研究によると2030年までに日本の労働人口の49%が失職すると予測した(2015年12月 人工知能やロボットで代替可能)。

代替できない職業とは?

1、コミュニケーションを要する仕事 初等中等教育の教師、介護師、医師の問診と告知、大学でのゼミ形式の授業、コンサルタント。

2、ホスピタリティーを要する仕事 高級ホテル・レストランのウェイター・ウェイトレス

3、創造性を要する仕事 研究者、芸術家等。

4、マネジメトの仕事 企業経営者、政治家、官僚。

★経験の積み重ねにより自然と身につく暗黙知が必要な仕事。

■プラットホーム・ビジネス

1、Uber車両を所有しない。Facebookはコンテンツをつくらない。アリババは在庫を持たない。Airbnb宿泊提供業は物件を持たない。

2、実店舗の消滅は避けられない。かつて商店街をシャッター街にした大型小売店舗はネット通販により壊滅の危機にある。

過剰労働力をどうするか?

1、国の国民へのベーシック・インカムを供与しても国民の半数が生活保護世帯もどきになる「社会」は存続し得ない。

2、公共サービス部門の雇用増 教育、介護、看護、医療、環境、研究、文化、芸術部門。

3、改めてのルネサンス 人文学、芸術、純粋自然科学の振興に国が投資をする。

人工知能は電力を大量消費する

1、完全自動運転の乗用車一台は一世帯と同じ程度の電力を消費する。

2、人間の頭脳は恐るべき省エネ性能を持っている。思考するとき2千ワット相当の電力を消耗する。

■人工知能は電力を大量消費する

1、データーセンターを電力の安い水力資源の豊富なノルウェー、カナダ、アイスランド等に立地する。クラウド・コンピューティングにより世界中にサービスを配信する。

2、第四次産業革命は電力需要を増やすが、電力が消費されるのはデーターセンターの立地する場所で必要だ。

■日本の立ち位置

1、日本は第四次産業革命に後れをとっている。技術的には米中が先導、日本は周回遅れ。

2、日本の自動車産業もEVへのシフトが遅れている

3、AIは大量の電力を消耗する。生産拠点の途上国移転は電力の点で歯止めがかかる。電

力高価格の日本の国際競争力は低下する。ルノルウェイ他が優位。

4、自動運転の基本ソフトをグーグル他が独占する可能性がある。日本はパソコン・スマホ

の二の舞の恐れがある。

■第四次産業革命のおよぼす社会経済シテスムの変化

1、労働力人口の49%の失職の予想にどう対応するか?

2、電力低価格化へ向けて如何に戦力的に取り組むか?

3、GAFAに代表されるプラットフォーム・ビジネスにどう対応するか?

4、2020年度の小売総額に占めるEコマースの比率が25%を超える。

5、インタネット広告が費用対効果でマスメディアを凌ぐ。

・総広告費に占める新聞のシェアは1988年19.9%から2019年4.7%に下落。

コロナ禍が加速する第四次産業革命

1、リモートワーク、オンライン授業・講義、オンライン会議(国内外)が日常化した。

2、ICT(情報通信技術)とソフトウェアがリモート化を可能にした。(必要は発明の母)

3、高齢者・児童のICT(情報通信技術)リテラシーの向上を促す。

4、人の移動(通勤、通学、会食)機会が最小化する。

5、企業、大学のコストの削減、リモート化への慣れ。リモート化は持続されると予想。

6、人間の国際間の往来への制約が生産拠点の海外移転に歯止めをかける。

7、国際的イベント(オリンピック等)、国際会議・学会の開催のリモート化し、頻度増加

■ポスト・コロナ禍のニューノーマル新常態

1、往来の頻度は激減し、個人企業のコストは削減される。

2、運輸・宿泊・旅行・外食産業は大打撃を受ける。

3、大学の授業内容が事実上公開される。(魅力的な授業と通り一遍の内容の差が判明)

4、小売業界ではeコマースの一人勝ち。

5、高齢者・児童のデジタルスキルの向上。

6、国内総生産GDPはマイナス成長、しかし生活水準は向上する。

7、高齢化社会の「働き方改革」へと自ずと変わっていく。

8、リモートワークは大都市集中から居住空間のある地方へ。本社の床面積は狭小で済む。

9、インタネットの普及でマスメディア・出版は更なる地盤沈下する。

 

理念の時代を生きる159号

 昨年までは理念探究参加者の方には各地から茨城県にある天命舎までご足労をお願いしていた。今年理念を探究する人は広島県と香川県の二名だった。彼等は既に進化経営学院に数年かよい私達が目指す和道経営関連の授業を受けている。加えて社長として経営経験を積んできた。今年は、残念ながらコロナ禍で天命舎まで通っていただくのが難しくなった。

次善の策としてZOOMによる方法を検討した。毎月二日間、時間は朝9時から夕方5時まで。面談指導は講師を依頼している大和先生と私の四人の場面、個々の探究者と三名、そして私との面談等いろいろなケースがある。結果として指導する方も受講生も集中力も高まり理念制定までは到達した。その感想を書いて貰った。コロナ禍のなかで新しい方法でも到達できるということが確信できた。但しそれまで土台になる和道経営を学んでいなければ不可能だが。

理念制定に至った感想・濱田 渉

そもそも「理念」というものは、私自身が黒田先生とのご縁がなければ、知るすべもない無縁のものでした。と言うのも、私のこれまでの人生で目標を掲げて努力したのは、高校時代に駅伝で全国高校駅伝に出場するという目標を掲げた時だけで、自分の歩んできた人生の中で目標を掲げることなどは無く、何をするにも常に行き当たりばったりで、「何とかなるだろう」という姿勢で人生を過ごして来ました。

そんな私は大学卒業までは順調に人生を歩んできました。しかし、社会人一年生として出発した会社で営業を開始しましたが約一年あまりで挫折し、本当に苦い経験をしました。その時、「社会とは甘くないなんだ」ということを痛感させられました。その後、縁あって、中谷石材に入社させていただき、その社内研修で黒田先生の脳力開発に参加させていただき、初めて、「理念」というものを教えていただきました。その当時、理念ということを教えていただきましたが、まさか自分自身が後に理念を制定できるとは思ってもいませんでした。

それから、中谷石材の手厚い人材育成支援のもとIAT研修・次世代経営者養成塾ジュニア・シニアを経て理念探究に臨むことになりました。その当時、理念探究に取り組んだ時は、言葉で目標や志を表現するような姿勢で取り組んでいましたので、「良い文言が出来た。これは良いだろう。」と心高ぶらせながら大和先生に理念データを持って行きました。しかし、いつも大和先生に「これは理想ですね」とお言葉を頂きました。結局、二年間、理念探究に取り組みましたが、理念制定には至りませんでした。

その後、本日まで約十年もの年月が経過しましたが、その間、会社を設立し、取引先が合併による影響から事業衰退になり、そして社員が会社を辞め、大赤字を計上し、倒産の危機にさらされ、販売路線の変更を余儀なくされるなど目まぐるしく環境や状況が変化していきましたが、そのような状況下でも中谷石材グループの企業理念に沿って経営判断し、そして、先生方や諸先輩方に教えていただいた様々な知識や知恵を活用して、なんとか難局を乗り越えることができました。

結果として、会社には財産は残りませんでしたが、私自身が脳力開発で学んだ「絶対浮力」を体得することができました。そして、それらの数々の逆境や実体験から学んだ教訓を経て、この度、私自身の人生50年という節目に再び「人生理念」を探究し、理念を制定することができました。

今、理念を制定して率直に思うのは、私が11年前に理念探究をした際は、経験も未熟でしたし、人とのご縁や人に対する感謝の気持ちを持ち合わせていなかったので、「自分のために」やら「自分の会社のために」ということしか見ていませんでした。だから理念探究しても表面的で理想的なことしか書けず、その当時の私の姿がまさにその言葉に表れていると思いました。

しかし、よくよく考えてみると今回、理念の制定に至ったのは、これまでの理念探究の経験があったからこそ、心のどこかに「ぼんやりとした理念の種」のようなものを常に持ちながら数々の実体験を経て行ったため、理念を深く探究することができ、そして理念の制定に至ることができたのだと思います。意識して取り組んできたとは言えませんが、理念的な思考を持ちながら人生を歩むことで理念を少しでも深めることができたことは確かです。

最後に私が今強く思うのは「これからが本当の人生のはじまり」です。これからはどんな時でも常に理念に添った生き方をして、すばらしい人生を歩んで行きます

 

理念探究の感想・和木坂貴子

最初は、「理念探究」のお声がけを頂いたときは、私にできるのだろうかと不安やまだまだ私はそんな器ではないと思っておりました。ただ、経営者として数年が経ち、将来の目標やこうなりたいと言った確たるビジョンを持たずに日々過ごす中で、諸先輩方の人生の生き方を目の当たりに拝見しており、これではいけないとは常に感じてはおりました。折角お声を掛けて頂いたので、自分でも人生理念を探究したいと言う気持ちが大きくなり勉強させていただく事になりました。

初めは、「何の為の人生でありたいか」と問われた時に、目先の業務の事や会社経営の事しか考えられませんでした。しかし、時間が経つにつれ、自分が人としてもっと成長をしたいし、今まで私に携わって下さった方々に恩返しがしたいと言う気持ちが大きくなりました。三年間、天命舎で「次世代型経営者養成塾」で学ばせて頂いた時から、「真の自分とは何か」「成長することはどういうことか」を学んではいたのですが、日々の生活の中でこの事を常に意識はしなかったように思います。

理念探究をする中で少しずつではありますが、共に学んだ尚友達が経営者として益々成長をされていく姿を見て、私自身も強く確たる理念を持ちたいと思いました。しかし、その中で3年連続の大きな赤字を出したり、JAやお客様とのクレームを出したりと思う事と実際にやっている事の違いに悩まされる時期もあり、逃げ出したい、辞めてしまいたいと言った気持ちにもなりました。

それまでは問題等に直面した時は初代社長竹内さんに頼り、答えを出して貰っていて自ら行動を起こす事はしなかったのですが、これでは人としての成長はできないし、会社経営も上手く行くはずがない事に気づかされました。本当に自分の使命は何なのだろうか、深く探究する中でいろいろと気づきました。幸い、赤字も解消し無借金経営を目指すまでになりました。

私の知人にはお店の経営をしている人が沢山おります、今経営に困っている人もいます。その知人達に私が経験をした事を伝え教える事が出来、皆が幸せになれるようにと言った気持ちがだんだん大きくなってきました。そして、若者が自分の人生の目的を持ち、切り拓いていくお手伝いもしたいと思っております。これからの自分の人生が楽しみです。