脳力開発147号/理念の時代を生きる147号

あけましておめでとうございます

「希望の人生を拓く内なる前進を支援する」  

「人類の未来に役立つ人材の協働を促進する」

 

昨年は第二十五回理念探究会を開催しました。鯖江・小浜・茨城の三名が理念制定に足かけ三年で到達しました。進化経営学院・茨城・岡山で理念実践会も三年目を開催しました。

 

一月彦根で若い経営者を中心とした経営計画熟考会を開催しました。二月・三月は各社の二〇一九年度の経営計画熟考会が続きました。六月理念制定企業の集まる第十九回快労祭が高崎で開催されました。

 

四月・五月とラコリーナ近江八幡を二度にわたって訪ねました。理念型企業の現代に生きる手本になる創業一四〇年の企業の姿・たねやを見ました。近江商人の家訓や全国への展開は理念型企業の原型と言えます。

 

四月益田に小河会長を、六月名古屋に川本良三会長を七月福井に山本重男先輩の墓前にお参りしました。この世を去っても尊敬している人達の記憶・教えは消えることはありません。

 

九月仕事の後、高知に移動して四万十川・仁淀川の清流を訪ね十月には高野山・熊野三山・伊勢神宮・奈良・京都の旅をしました。十一月には台南・台中・台北そしてバンコクの旅をしました。

 

二〇二〇年は第二十六回の理念探究会を開催し二人の理念制定を目指しています。四月には理念型企業でラコリーナ近江八幡を訪ねます。翌日、彦根で第二十回快労祭を開催し、理念制定式を行ないます。

 

二〇二〇年十一月には棹尾を飾り理念の旅で台湾・烏山頭ダムを訪ねます。

二〇二〇年(令和二年) 初春  脳力開発147号

韓国の反日の根源に迫るPARTⅣ

  • 11月22日には韓国政府は日本との軍事情報包括保護協定GSOMIAを失効6時間前に停止した。なぜ停止したかは言わずもがな、米国による圧力である。文在寅大統領の南北統一が大目的で、そのために表面上は北朝鮮の非核化にともなう一連の行動の、ほぼ最終的な米軍の韓国からの撤退の準備であるが、米国が現状態でミスミス承知するわけがない。日本に対してGSOMIA破棄宣言当初からトランプ大統領の動きを瀬踏みしていたが、文大統領の思うようにトランブ大統領が甘いわけがない。
  • 文在寅大統領はトランプ大統領からも信頼されていないにも関わらず、共産主義・社会主義に凝り固まった頭では冷静な判断もできないのだろう。当然、青瓦台・大統領官邸も南北統一を目指す文在寅大統領の意向どおり動いてきたし、今後も動くということになる。
  • 失効停止の発表の後の経過についても韓国の一方的な記者会見で、相も変わらず日本の誠意のなさを繰り返している。どの面下げて日本の不誠実さをなじるのか?開いた口がふさがらない。最近、朝鮮日報、中央日報、ハンギョレなどのニュースにも目を通しているが、文在寅大統領の無策ぶりを報じるようになったが、まだまだ韓国の保守派の動きも鈍い。

★そんな中で、著者の李栄薫博士が来日され記者会見をされた。出版の経緯を含めて真摯な記者会見だった。

  • 日本でも『反日種族主義 日韓危機の根源』が既に40万部ちかく売れている。

先月、本を事前予約して入手したのが11月15日だった。その後、著者が来日、11月21日に来日、記者会見をされた。今回、著者の言の発言の骨子を20項目にまとめ整理掲載します。この本は従来の情緒的な表現に流れる人文科学者の書く歴史ではなく、社会科学に、事実に基づいて書かれた歴史といえる。

 

■『反日種族主義』李栄薫氏「韓国人の自己批判書だ」

1、私と同僚研究者5人が書き、『反日種族主義』は、韓国現代文明に沈潜している「原始」や「野蛮」を批判したものです。こんにち、韓国はその歴史に原因がある重い病を患っています。個人、自由、競争、開放という先進的な文明要素を抑圧し、駆逐しようとする集団的、閉鎖的、共同体主義が病気の原因です。

 

2、1948年に成立した大韓民国も、やはり建国70余年で大きい危機を迎えています。危機の兆候は非常に深刻です。下手すると、この国の自由民主主義体制は解体されるかもしれません。本『反日種族主義』は、そのような危機感から書かれました。

 

3、1965年に韓国と日本の間で国交正常化がなされたのも、このような理念に基づいてのことでした。国交正常化を推進した朴正煕大統領は、わが国民に歴史の旧怨にとらわれないで、アジアの模範的な反共産主義、自由民主の国家として自信感と主体意識を持ち、日本と対等な位置で新しい未来を開いていこうと訴えました。

 

4、それ以降の日本との緊密な協力関係は、韓国経済の高度成長を可能にさせました。1990年、盧泰愚ノムヨン大統領は、日本の国会で次のように演説しました。「こんにち、われわれは、自国を守れなかった自らを自省するだけで、過ぎ去ったことを思い返して誰かを責めたり、恨んだりしません。韓国人がこのような認識と国際協力にもっと専心していたら、今頃より自由で豊かな先進社会を作れたはずです」

 

5、その後に展開された歴史は、それとは違う方向に進みました。1993年に成立した金泳三政権以来、「民主化」と「自律化」の名の下で、韓国社会に深く沈潜してきた野蛮な種族主義が頭をもたげました。日本との関係は、協力から対立に転換しました。北朝鮮との統一政策では、「自由」の理念に代わって「わが民族同士」という民族主義が優位を占めるようになりました。

6、1992年に提起されてから今までの27年間、韓日両国の信頼と協力を妨げてきた最も深刻な障害は、いわゆる慰安婦問題です。 朝鮮総督府と日本軍の官憲が日本軍の性的慰安のために、純潔な朝鮮のおとめを連行・拉致・監禁したという主張ほど、韓国人の種族主義的な反日感情を刺激したものはありません

 

7、度重なる日本政府の謝罪と賠償にも関わらず、この問題が韓国で鎮定されることなく、むしろ増幅してきたのは、それが当代韓国人の精神的動向、すなわち「反日種族主義の強化」という傾向に応えたからです。

 

8、『反日種族主義』の中で、さる27年間この問題に従事してきた韓国と日本の研究者たちと運動団体を批判しました。彼らは元慰安婦たちの定かでない証言に基づいて、慰安婦の存在形態とその全体像を過度に一般化する誤りを犯しました。

 

9、日本軍慰安婦制は、近代日本で成立し、植民地朝鮮に移植された公娼制の一部でした。慰安婦制は、公娼制の軍事的編成に他なりません。女性たちが軍慰安所に募集された方式や経路も、女性たちが都市の遊郭に行ったそれと変わらないものでした。就業、廃業、労働形態、報酬の面でもそうでした。

 

10、既存の研究は、このように韓国現代社会に深く浸透した慰安婦制の歴史には目をつぶっています。この点は、既存の研究者と運動団体が犯した最も深刻な誤りといえます。

27年間、彼らはまるで歴史の裁判官のように振る舞ってきました。彼らがこの問題に関する日本政府との協約を破棄するよう叫ぶとき、韓国政府は黙従しました。彼らは政府の上から君臨しました。国民の強力な反日種族主義が彼らを絶対的に支持したからです。

 

11、彼らは強制連行説と性奴隷説を武器にして、日本の国家的責任を追及してきました。

その執拗(しつよう)さは、日本との関係を破綻にすると言っても過言ではないほど盲目的でした。

 

12、皮肉にも、強制連行説と性奴隷説は、日本で作られたものです。ある日本人(吉田清治)は、朝鮮の女性を強制連行した自身の犯罪を告白する懺悔録を書きました。ある歴史学者(吉見義明・中央大学・歴史学者)奴隷説を提起して、韓国の研究者と運動団体を鼓舞しました。それは、歴史学の本分を超えた高度に政治化した学説でした。

 

13、両国の関係を難しくしている徴用工問題も韓国人の種族主義的な視点から提起されたものです。信じがたいかもしれませんが、2005年に盧武鉉政権が被徴用者に補償を行う当時まで、韓国ではそのことに関する信頼できる論文や研究書が一つも存在しませんでした。(韓国)政府は、1939年から日本に渡った全ての朝鮮人を徴用の被害者と見なしました。その中には、1944年の8月以後の、本当の意味での徴用だけでなく、以前からあった日本の会社の募集や総督府の斡旋(あっせん)も含まれていました。

 

14、韓国の反日種族主義は、彼らの国際的裁判を支持しました。慰安婦問題のときと同様、いわば「良心的」日本人が彼らを物心両面で支援しましたが、結果的には両国の信頼・協力関係を阻害するのに寄与しただけです。

 

15、歴史の進歩は、遅い速度でしか進まないようです。韓国は人口が5000 万以上でありながら一人当たりの所得水準が3万ドル以上の世界で10カ国もない先進グループに属しています。それでも、この国の精神文化には19世紀までの朝鮮王朝が深い影を落としています。朝鮮王朝は、明・清の中華帝国の諸侯国でした。朝鮮王朝は、完璧に閉鎖された国家でした。

 

16、こんにち、韓国で日本は理解の対象ではありません。もっぱら仇怨の対象なだけです。日本が韓国を支配した35年間は恥の歴史なだけです。それに対する客観的評価は、「植民地近代化論」と言われ、反民族行為として糾弾されます。

 

17、その結果、こんにちの韓国人は、自分たちの近代文明がどこから、どのように生まれてきたのかを知りません。こんにちの韓国人は、自分の歴史的感覚において朝鮮王朝の臣民そのままです。同様に、こんにちの韓国人はこんにちの日本を旧帝国の延長として、ファシスト国家として感覚しています。

 

18、『反日種族主義』の日本語翻訳と出版には多くの煩悶(はんもん)がありました。すでに指摘したように、本『反日種族主義』は、韓国人の自己批判書です。自国の恥部をあえて外国語、しかも日本語で公表する必要があるかという批判を予想することは難しくありません。それでもわれわれが出版に同意したのは、それが両国の自由市民の国際的連帯を強化するのに役に立つだろうという判断からでした。

 

19、建国70年に、少なくない韓国人が自由理念に基づいた世界人として成熟しました。全国の主要書店で本『反日種族主義』は、 総合ベストセラー1位の地位を相当な期間占めました。それは正に望外の事件でした。遅いながらも、歴史は着実に進歩の道を歩みました。

 

20、そのような期待を本『反日種族主義』の日本語版にも懸けたいです。韓国人には自身の問題を国際的な観点から省察する好機になるでしょう。また、日本人には、韓国問題を、「親韓」あるいは「嫌韓」という感情の水準を超えて前向きに再検討できるきっかけになれると思います。

★文大統領の支持層は二つあって、一つのグループ全国民主労働組合総連盟(民労総)と「参与連帯」がある。民労総は親北グループで、GSOMIA継続に対して北朝鮮が反対の意を表明しているから文政権の破棄撤回に反対している。

GSOMIA継続を決めた文大統領に対して反対デモを組織して最近ではソウル中心街である光化門でもデモしアメリカ大使館に靴を投げ込んでいると伝えている。支持団体が圧力団体になって「選挙公約を守れ!」と煌々と灯がともる松明を何十本ともって青瓦台に向かって抗議デモをしている。

★現在の韓国の状況ではあるが、文政権に大きな変化が起きたとしても「反日」が改まるということは非常に難しい。しかしいつまで一方的に反日というなで冷静な韓国民の意見を押しつぶしていたパッシングに反・反日の意見がいえるようになったことは、韓国における新しい動きだといえる。23日チョグク前法相逮捕状請求の報。次号に続く。(悦司)

理念の時代を生きる147号

宇宙の大法から台湾総統選挙の行方をみる

大転換の時代が始まった

  • 2019年は激動の時代であった。2019年1月の森のフォーチャ135号で世界は覇道国の対立の激化と書いた。2018年10月4日のペンス・アメリカ副大統領の対中政策についての演説を行い、中国による国際秩序の破壊を見過ごしてきた日々を「終わりにする」と決意を表明した。2018年の11月に私は友人と深圳のハイテクフェアを視察していた。そこで中国の監視社会の片鱗を体験することになる。私自身はそれまで中国のAI技術でアメリカを凌ぐ実力を持った国であるとは正直認識がなかった。
  • ペンス副大統領の演説と並行して「AI監視社会・中国の恐怖」宮崎正弘を読みその後改めて中国の現状に目を向けた一年だった。2018年12月ファーウエイ副会長の逮捕に始まり、米中貿易摩擦と知的所有権の侵害等々、米国議会はトランプ大統領と超党派で中国に対抗している。2020年年初には一応第一段階の米中の貿易協定がまとまるらしいが、米国はこの程度では妥協することはあり得ない。
  • 再度米国は対中国政策を確認・2019年10月24日にも再度ペンス副大統領はフレデリック・V・マレク記念講演で対中国政策・問題点を指摘している。米国は5Gの世界でも主導権を握るとして欧州各国にもファーウエイの排除を要請してきたが、しかし、欧州各国が米国の意向に従うとはいえなかった。がここにきて、中国との最大の貿易国であったドイツも対中国に対しての姿勢を変えてきた。中国の従来の姿勢に疑問を持ってきた。欧州は基本的に経済重視で進んできたが、中国のやり方に危惧を抱きだしたということであろう。

■人権民主法案が成立した

  • 香港でのデモから米国は12月香港人権民主法の成立、トランプ大統領も署名した。中国政府によるウイグル弾圧を裏付ける内部文書が明らかになり、国際社会が非難を強める中、ウイグル人権法案が12月3日米国下院本会議で成立した。欧州各国も中国の人権問題には注視している。私も深圳のハイテクフェアの帰り香港によって、45年ぶりの香港を歩いてみたが、深圳と香港は指呼の間だ。香港の民主化デモは長期にわたっているが、深圳には中国の軍隊が毎日駐屯し訓練をしていたことは誰もが知っていることだ。

ペンス副大統領も演説の中で言っているが、アメリカでの大統領選挙でも中国の多大な干渉について述べていた。中国の選挙に関してのプロパガンダは凄まじい。決して油断はできない。同じことは日本でも安心できないのだが、日本人は甘い上に鈍い。

■台湾総統選挙

  • ここで台湾のテーマである総統選挙について話を進めたい。来年1月の総統選挙は現在のところ民進党の蔡英文総統が国民党・韓国瑜・高雄市長をリードしている。2011年12月に私が台湾を訪ねたとき蔡英文が民進党から立候補した。このとき、私の大学の台湾人の先輩や李登輝、膨明敏教授達は国民党の不正選挙を恐れ、アメリカからカーター元大統領を招いて選挙管理の監視をしていたのを思い出す。残念ながら馬英九の再選を止めることができなかった。
  • その次の選挙で2016年に蔡英文は当選したが、2019年年初、蔡英文政権は非常に危機的な状況にあった。2018年11月の高雄市長選で民進党は20年ぶりに惨敗した。以後、経済的な問題も微妙で、余り目新しい成果のでない蔡英文が2020年の総統選挙で指名されるかも疑わしい状態が続いた。
  • この一年の世界覇権を目指してきた中国に大きな変化が起きてきた。米中の貿易問題のみならず、ウイグル人権問題、香港人権問題が大きく世界の関心をあつめ、中国の一国二制度の虚偽が明らかになってきた。そもそも一国二制度が成り立つことがおかしい。

■逆境によって人は目覚める

  • 人間というものは愚かなもので、いろいろな災難が身近になって初めて考え出す。これは震災や洪水等も体験しなければわからない。日本は過去から災害大国だった。江戸時代もまさにそうだった。そうして逆境にあうことによって、鍛えられてきたといえる。
  • 台湾でもしかり。民主化が当然と思い、安閑として過ごしていた台湾も、高雄市での市長選で20年ぶりに破れ、再び経済優先を唱える国民党の勢いが増し始めたところに、香港の問題が起きた。11月末に台南からスタートした旅を続けながら、台湾の人たちも冷静さを取り戻しつつある
  • 今回も総統府、二・二八記念館を訪ね、台湾の歴史を概観してきた。李登輝元総統たちが切り拓いてきた1947年陳儀による二・二八事件以後、台湾全土に敷かれた戒厳令を李登輝が約40年ぶりに廃止した民主化の道を歩みだした流れを断つわけにはいかない。

■宇宙の大法・森信三

  • 最後に森信三先生の教えである宇宙の大法を挙げておおきな時代の変転を見ておきたい。

1、一般化して申せば「物盛んならば必ず衰う」というのも、「宇宙の大法」の一顕現といって良いでしょう。この真理は、古来ローマの繁栄と没落を以って、その典型と考えられるのが普通ですが、当時ローマの繁栄のさ中に生きていた人々には、それが何時の日にか衰える日があろうなどと、果たして何人が考えたことでしょう。248

2、この「物盛んなれば必ず衰う」という「宇宙の大法」は、この地上では、かつて一度といえども、例外のあったためしがないのであります。してみますと、現在この地上において、その経済的または軍事的実力において世界にその覇を唱えている国々とても、必ずしもその永続を保ち得ないことは、十二分に予測し、予断することができるのであります。

3、この現実界にあっては「すべて物事は一長一短」だということでありまして、これもまた「宇宙の大法」の一面かと考えるのであります。

4、この大宇宙というものは、いわば無限大の「動的バランス」とも考えられるのでありまして、それは大にしてはもろもろの天体の運行から、小にしては、われわれ人間の一呼一吸、さらには眼の開閉に至るまで、すべては「宇宙の大法」ともいうべき、この「動的平衡(へいこう)」の大用ならぬは、ないわけであります。250

8、したがって、この無限に流動的な世界情勢下にあっては、すべて刻々に変化して止まらぬ訳ですから、常に「活眼」を開いて民族の歩みを、この転変して止まない国際情勢との関連において、大観して戴きたいのであります。同時にこうした際に、なにか判断の基準というか、尺度になるものが必要だと考えられたら、その時こそ、この「宇宙の大法」という絶対の真理を思い出して頂けたらと思うのです。251

★森信三先生の言葉(絶対の真理)によれば、中国の覇権活動が果たして可能かと問えばいかがものであろうか。(悦司)