脳力開発158号/理念の時代を生きる158号

脳力開発158号・アメリカ大統領選挙の現地報告

 アメリカ在住の友人マイク大谷氏に大統領選挙に関する関心事をメールで質問した。十三回のやりとりをまとめてみた。日本にいては理解できない点をも教えていただいた。

  • 簡単な紹介: マイク大谷氏・大学の二年後輩、大学ではラグビー部所属、卒業後熊谷組に入社、五年勤めて退社、アメリカに渡り、1982年鯖江のメガネフレームメーカー、シャルマン米国進出に際し入社、NY現地法人を設立し米国シャルマン社長としてアメリカ市場を開拓、シャルマンを世界有数のフレームメーカーに成長させた。1976年アメリカ人女性と結婚、還暦を前にシャルマン退社、2005年念願の牧場をテキサスにて購入しNYから移住した。日本人として稀有なアメリカでの牧場主となる。2010年ガンで奥様逝去。その後も牧場は40頭くらいの肉牛飼育、乗馬教室、ゲストハウスの運営を続けている。

 

★今回の大統領選挙に関する生な声を聞きたいと思った。また、アメリカ・メディアの実態に近づきたいと考え、参考資料も添付した上でお訊ねした。質問に丁寧に答えていただいた。大谷氏の見解を中心に、私の考えも添えてまとめてみることにした。

■「失われた報道の自由」を読んだ。そこにはメディアのもつ本来の役目から逸脱した事実が綴られている。アメリカのメディアは中立的な報道に訣別してイデオロギーを持ち込みそれに基づく報道が支配的になっている。

■アメリカの大手有名メディアは民主党のプロパガンダに成り下がっている。一時「ロシア疑惑」が大々的に取り上げられた。これも民主党とメディアが結託して流したニュースが発端でこの「ロシア疑惑」は「アメリカ主要メディアの民主党支持による偏向」が立証された。

 

Q・アメリカ・メディアの現状添付の図を少し大きくして挿入ください。

図・アメリカ・メディアを説明する資料です。区分けが非常に分かり易い。LEFT / LEAN LEFT / CENTER / LEAN RIGHT / RIGHT です。

・別添の分布図の如く、アメリカの偏向報道に染まるとバイアスのかかり方は日本のそれよりも遥かに過激になります。アメリカのメディアは政党色を明確にします。公共放送はないので基本的にはスポンサーが付きオーナーの意向が強く働きます。だからTVでいつも「どこのチャンネルを見てる?」と聞くと大体その人の支持政党が分かる。出来るだけ一つのニュースに対して少なくとも3~4つのメディアチェックが必要です!

新聞は日本のように全国紙はほとんどありませんが、先ず大きなサイズの都市なら民主党系と共和党系の二紙があります。私の感じではTVや新聞派は民主党系、SNS派は共和党系が多いですね。

 

Q・主要メディアの民主党支持は二〇一六年の選挙以前からあって、今回それが著しい。

・メディアを多く支配しているのは基本的に知識層、高学歴、進歩的かつ革新的考え、貧者弱者に優しい福祉政策支持、個人の自由尊重、大きな政府、相互扶助等の考えで民主党的です。その逆を行くのが共和党なのですが勿論そこは大企業が最大のスポンサーになっているので彼ら向けのメディアも勿論あります。ただ左寄りは大手の会社が多いのですが、右寄りでデカいのはFOXだけです。これが巨大で影響力がある。2016年を境にその違いは一気に先鋭化して来ましたね。

 

■日本のメディアへの見解

Q・日本の情報はテレビや新聞が中心ですが、これもニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNやABCの焼き直しが中心ですが。

A・日本のTV局や新聞社はアメリカのどこのニュースソースからニュースを引いているかで報道に大きな違いが出てきます。日本の自称アメリカ通の国際政治評論家のいい加減さには呆れます。彼等はホント受け売りが多く綿密なる調査や勉強を怠っています。しかし日々刻々変わりつつある政治経済社会情勢など、こちらに住んでいるか、毎日膨大な生のニュースとかそれも右中左に亘って読むとか、あるいはまたSNSを駆使し大衆レベルでの動きを把握しないと正確な判断、理解は中々出来ず、正しい論評も出来ない。

 

Qこの四年間のトランプ大統領の功罪について

・私はかっては右寄り、しかし基本的には中道政治を良しとしています。しかしこの四年間はトランプ政治があまりにも酷かったその反動で今は左寄りになっていますが、バイデン政権になったら振り子の原理で中道に戻ります。(笑)従ってトランプに対してはかなり辛口批評になります。

・良かったことはありませんが、しいて挙げるならコロナ禍に襲われるまでの経済成長。雇用の創出、失業率の低下、株式市場の活況、戦争をしなかった。経済に関してはオバマ政権からの絶好調経済の遺産をそのまま引き継ぎ、大幅減税をすることによりその好調さを継続させました。反面国民の経済格差は激しくなる一方で人口の10%が国民の富の90%、僅か1%の人が富の50%を所有する、民主国家とは程遠い格差社会となった。

■問題点

TPP条約や気候変動のパリ協定やWHOからの離脱。イランとの核合意の反故、NAFTAの廃止、NATOとの関係悪化。同盟国友好国との軋轢、分断、対立。移民政策の失敗。白人至上主義やBLMに始まる人種問題の再燃とそれを扇動。

■最大の問題点はコロナ対応

国内での修復し難いあらゆる分野での分断・対立・分裂。そして極めつけはコロナに対する無為無策。感染者はやがて1000万人、死者は25万人。トランプ政権の怠慢以外の何物でもありません。死者数に至っては、第一次世界大戦+ベトナム戦争+朝鮮戦争+イラクアフガン戦争+同時多発テロの総数を遥かに凌駕する勢いです。

 

Q・今回バンデン七八〇〇万票トランプ七三〇〇万票と、前回に比べてもトランプも伸びています。両者ともオバマ大統領の得票を超えています。これは民主党一辺倒のメディアの作戦が期待したほど伸びずトランプは予想以上だったということの証左でもあるとは言えないでしょうか?

■トランプイズム

・前述したようにトランプの功罪は罪の方が遥かに多いのですが、その筆頭はトランプイズムと言われる層の増大ですね。彼等はポリティカル・コレクトネスとかAffirmative action(弱者集団の不利な状況を是正する改善措置)とかで虐げられて来た白人の貧困層、低学歴層の連中の不平・不満・不平等感・不幸せ感・近未来にマイノリティとなる恐怖感を巧みに吸い上げた。

A・トランプが敗北宣言をしないのも、手当たり次第に不正選挙だと訴訟したり、再集計させたりしているのは、この7300万人の連中の為のガス抜きをしているように思えてなりません。裁判までやって判決が出れば好むと好まざるにかかわらずそれに従って行くのがアメリカ社会です。そこの部分だけは大人なんです。そしてフェアに扱われることに最も重きを置く国民性なんですよね。

注★この見方とは異なるが、大統領選挙に関してアメリカのマスメディアはこぞってトランプを非難し、国民の支持率が低いことを強調してきたが、八月末の共和党大会以降、支持率の上で大きな差をつけられていたバイデンに追いつきそうだという気配を見せ始めた。(日高義樹・ハドソン研究所首席研究員)トランプがその後ここまでバイデンを追い込んだという見方もできる。

 

Q・アメリカフアーストの弊害もあるとは思いますが、トランプ以前までアメリカ&EU各国は経済を重視で、中国に対しては甘い政策をとってきた。しかし、このコロナと台湾・香港人権問題で初めて中国に対しての認識を変えてきたのが現状ですね。

・実はトランプの「アメリカファースト」のコンセプトがもたらした弊害が物凄く大きい。(自分だけよければいい)(今さへ良ければいい)(金さへ儲かればいい)と言った所謂「三だけ主義」が国や個人レベルまで浸透してきた感じで、あちらこちらで軋みや歪みが出始めています。「自分だけよければいい」と言う風潮は由々しき問題だと私は思っています。

 

Q・トランプのキャラクターはともかくとしてコロナが発生しなければ、トランプに対しての印象は悪くなかったのではないのでしょうか?

・トランプ功罪善悪の印象は真っ二つですね!国は既に2016年の前回大統領選挙以来、以前もソフトな感じの分断がされていたのですが、トランプ就任以後彼が意図的に分断対立を扇動したのでその度合いは遥かに激しさを増し、もう生半可なことでは修復不可能な状態になっています。

Q・日本も朝日、毎日、民放、NHK等はバイデン勝利の予想で、トラプ再選は少数派でした。前回もそうでしたか。

A・はい、事前予想は毎回大方民主党候補寄りの世論誘導が普通です。前回はクリントン圧勝の予想が大外れだった。彼女は個人的なキャラの問題で民主党内でも嫌われていましたから、アンチクリントン票がトランプに流れたこともあります。今回はバイデンにも言えますね。トランプはキャラの問題で共和党内でも隠れアンチ派がかなりいたようですから、その票がバイデンに流れた可能性大です。特に女性や高年齢層です。

 

Q・民主党メディアの言論誘導+コロナでバイデンが選ばれたという認識ですが。

・当たらずとも遠からずです。トランプの政治手法は色々と問題がありましたが、コロナ禍が無かったら恐らくバイデン相手なら圧勝していたことでしょう。メディアの偏向報道はあるものの、メディアをあそこ迄徹底的にけなし彼等を敵にした。そこはストレートに物言うトランプの大いなる減点ですよね。

・コロナ対策は誠にお粗末につきます。情報の隠ぺいや改竄、科学を信じず強い男のパーフォマンスからマスク不着用感染者・死亡者が日々刻々増加しているのに三蜜やソーシャルディスタンスを無視しての選挙集会、そこからの感染者発生やホワイトハウスのクラスター。これでは国民に愛想をつかされて当然です。良識ある国民はトランプとの対比でバイデンに軍配を上げたのだと思っています。

 

Qバイデン、民主党は対中政策を維持できるのか?

・トランプとバイデンは表向き政策や外交手腕は真逆な感じがしますが、中国に対しては彼等を含め世界中がその台頭に脅威を抱いていることに変わりはありません。バイデン・ハリス政権は中国には甘くなるとの危惧がありますが、習近平にとっては単純なトランプより遥かにやりにくい相手だと思います。何故ならバイデンは中国が最も嫌がる人権問題を持ち出してくるからです。習近平と裏取引をするようなことはしないでしょう。

★トランプ政権の対中政策、土台になっている法律の多くは、議会が超党派で成立させたものであるため、バンデン政権が誕生しても、変わらない。また、民主党は人権に関しては非常に敏感である。

 

■まとめ・感想

★今回のインタビューでアメリカ主要メディアの民主党偏向の実態と併せて日本のメディアへの辛辣な感想をお聞きした。また、トランプの虐げられてきた白人層も大谷さんの目から見た問題点と指摘された。二〇一六年以前からアメリカ社会の分断を言われていたが、大谷氏の指摘によるとそれまでは大統領選挙後は民主党・共和党は一体となってその後はトランプ政権のように分断はなかったと指摘している。

★民主党ビル・クリントン政権(一九九三年~二〇〇一年)はアメリカ経済を重工業からITハイテクに重点を移し史上最長の好景気をもたらした。既に一九八九年から日米構造協議がもたれていたが、クリントン政権で円高政策が強力に進められ、銀行への公的資金投入、スーパー301条に基づいた市場開放や内政干渉を日本政府に要求した。その後日本のデフレは一九九八年以降長期にわたって続いた。

★クリントン民主党の対中宥和政策が中国の台頭を許してきた。また、ヒラリークリントンの中国との癒着も酷いものだった。同時に日本の長期にわたるデフレ不況に強い影響を与えてきた。そのデフレ状況を脱皮させたのが、オバマ政権初期には歴史修正主義であると批判された安倍総理だったが、その後の七年八カ月で日本の自信を取り戻した。朝日新聞の世論調査ですら、七十一%の読者がよくやったと評価している。(悦司)

 

脳力開発158号・侵略される日本への対応が始まる。

155号で日本の国土が海外から自由に買えることができるということを報告した。11月やっと政府が立ち上がって日本の国土の買収の調査を開始していたことが報告された。前回の記事の一部を紹介し、その後の日本の対応を確認したい。

■前回の記事・国土の侵略・日本の不動産が外国から狙われている

  • 誰でも買え、全く自由に転売できる。外国人なら保有税を支払わなくても済む。
  • 不動産売買が世界一フリーで、かつ所有者、使用者権利が国内外差別なく保障されている。
  • 「アジア太平洋地域で不動産投資に開示規制がないのは日本だけ」

■北海道で平成30年一年間で買収された物件

  • 森林21件 広さ108ha 東京ドーム23個で内中国 11件91ha 東京ドーム19個
  • 北海道森林買収の現在は中国資本 57% でシンガポール含む86%

林野庁北海道庁によると外国資本で買収された森林は累計2,726ha東京ドーム529個。中国資本に買われた北海道の土地 推定70,000ha山手線の内側11倍以上

 

■中国資本買収が80カ所 安保上重要な施設・離島 政府調査(ブルー)

  • 中国系資本が何らかの形で関与した疑いがある安全保障上重要な土地の買収件数が全国で約80カ所に上るとの調査を政府関係機関がまとめていた。11月7日に判明。政府は来年1月の通常国会で、防衛施設や国境離島などの土地購入に関して政府の調査権限や届け出義務を盛り込んだ法案の提出を目指している。中国系資本による土地買収の実態が明らかになったことで法整備の動きが加速しそうだ。
  • 防衛施設の周辺10キロ以内や国境離島にある土地で、リゾート施設やマンションの建設などの目的で中国系資本が直接、間接的に買収に関与した疑いがある土地の件数を政府関係機関が調査した。結果、今年10月までの時点で少なくとも全国に約80カ所あることを把握した。
  • 再生可能エネルギー発電事業者として中国系資本が何らかの形で買収に関与したとみられる土地が全国約1700カ所に上ることも判明。この中には防衛施設周辺などの安全保障上重要な土地も含まれ、約80カ所と一部重複する。
  • 調査結果は内閣府を通じ、10月に首相官邸に報告された。現状では森林や農地の事後届け出を除き政府に土地買収者について調べる権限がなく、その手段も限られている。9日から始まる有識者会議では外資による安全保障上重要な土地買収の実態についても議題となる。
  • 法整備では関係閣僚会議を新設し、防衛施設の周辺地や国境離島に関する各省庁や自治体の調査結果を集約。一部区域を指定し、土地購入者に国籍などを事前に国に届け出ることを義務付ける。調査結果次第では閣僚会議で法規制の強化を検討する。(産経新聞)

★やっと重い腰を上げかけたかという段階だが、日本政府の対応遅すぎるぐらいだ。如何に今後対応していくかを注視する必要がある。

 

理念の時代を生きる158号

コロナで露呈した「日本人の国家意識」愛国心・金美齢

11月の理念実践会で金美齢氏の「愛国心」を輪読した。そのポイントレビューを掲載する。コロナ禍で露呈した日本人の問題を、愛情をもって書き記してくれている。コロナ禍があればこそ気がついた日本人の真剣に向き合わなくてはならない課題だといえよう。

国家意識に触れず「公助」ばかりを煽るメディア

  1. 危機には「自助、共助、公助」の順で対応すべきです。政府が国民に対して国としてできる限りのことをするのは当然で、国民の側も、自分でできることはできる限り自分でするのが当たり前で、「一人ひとりが社会や国家を作っている」ことを忘れてはなりません。

国旗・国歌を否定してきた左翼メディア

  1. 日本では、公立学校の教師が入学式や卒業式といった式典の場面で、国旗に敬意を払わない、国歌である「君が代」を歌わないといったケースが今もあります。「学校で国歌を習わなかったし、歌ったこともない」「大人になって初めて『君が代』を歌った」という人たちもいる。P25

「国歌を知ることも『日本代表の務め』」と言ったリーチ・マイケル

  1. 「君が代の中身を自分たちにつなげ、理解して歌わなければ。より良い試合をするためにも、チームに日本を愛する感情を作らないといけない」というリーチ・マイケル選手の言葉は実に印象的です。P27

「嫌がる人がいるから日の丸を振るな」という朝日新聞の社説

  1. 国旗に準ずる旭日旗に関して、朝日新聞は「嫌がる人がいるものをわざわざ振るな」というわけです。日の丸と旭日旗を並べて微妙に論点をすり替えていますが、韓国や中国が「日の丸を掲げる行為そのものが、侵略戦争の暗い記憶を呼び起こす〉」と言っている以上、日の丸までも引っ込めなければならないことになります。P32

日本人が知らないケネディ大統領の名演説

  1. 国家と国民が対等でフェアな関係を築くためには、本来であれば「国が自分のために何をしてくれるのか」だけではなく、「自分は国のために何ができるのか」を考えなければなりません。しかし日本では、社会保障や国による保障を声高に叫ぶ人に限って、「国への貢献」には否定的です。P46

「国家嫌い」の左翼は「自衛隊差別」を許容してきた

  1. 今や自衛隊は日本国民から最も信頼を得る組織になりました。しかしそれでもまだ、憲法では「軍隊ではない」とされたままで、あえて自衛隊を評価するような記事は、朝日新聞には掲載されない。「自衛隊の第一義は災害派遣にあらず、外敵から国家・国民を守ることである」ことすら、国民が十分に理解しているとは言いがたい。P51

国家の恩恵を受けながら国家を否定する人たち

  1. 外国に行く際にビザの取得を、日本は多くの国で免除されているのです。それは日本という国家が、他国から信用されているからです。国家の恩恵を受けながら、国家に対する悪口三昧で自分の責任は果たそうとせず、権利だけは声高に主張するような人たちは、「大嫌いな・否定すべき国家」に甘え切ってる。P56

この国のために、何ができるのかを考えよ

  1. 生まれながらの日本人も、日本国籍を持っているだけでは本当の意味では「日本人」になれないと知るべきです。言語を知り、歴史を知り、自分がこの国の存在のために何ができるのかを考えて初めて、日本人に「なる」ことができるのではないでしょうか。P61

■脆弱な国家・台湾の光と影

日本統治時代・台湾人にも優しかった日本人教師

  1. 日本の台湾統治は、欧米が各地で行ってきた植民地支配とは違うものでした。特に違っていたのは、被植民地住人に対して高度な教育を施したことです。台湾の津々浦々に学校を作り、日本人の先生たちは実に熱心に、日本人と台湾人で区別することなく、子供たちの教育にあたりました。P108

「国民党支配」・台湾に暗い影を落とした「二・二八事件」

  1. 将来有望な学生たち、医者や学者といったエリートを中心に、台湾の知識層が一掃されました。国民党政府の真の狙いは、将来台湾のリーダーになり得る人々を消し、自分たちが台湾を支配する側に立った。このとき敷かれた戒厳令は三十八年にわたって継続することとなり、その間、日本の教育を受けた本省人の中でも知的エリート層がことごとく投獄・殺害されました。P118

「李登輝総統誕生」で台湾に初めて光が差した

  1. 台湾で本当の台湾の歴史を教えるようになったのは、李登輝さんが総統になって『認識台湾』という歴史教科書をつくったからです。この教科書では、一時台湾で行われていた「日本時代を忘れよ」とする悪しき教育を是正し、日本統治時代の正当な評価を含む台湾の真の歴史を教える内容になっています。P134

「台湾」が認識された東日本大震災の支援

  1. 民間レベルで日台交流の動きが加速したのは、東日本大震災において、台湾が「日本加油」と声援を送り、多大な義援金を贈った台湾人の思いに、ようやく日本人が気づくことができた。P174
  2. 当時の民主党政権下の日本政府は台湾からの義援金を受け取りながら、「お礼広告」を台湾の新聞には掲載しませんでした。米英仏韓露中、六カ国の新聞には掲載したのにもかかわらず、です。P175

安倍総理が史上初めて「台湾」に言及

  1. 安倍総理は戦後七十年談話で、歴史的に日本が迷惑をかけたという文脈で「東アジアの国々、台湾、韓国、中国」と「台湾」という言葉を政府の公式声明で使った。日本の総理が「台湾」を国家として公的に表現したのは戦後初めてだった。P179

安倍総理が「台湾加油」とエールを送った台湾東部地震

  1. 安倍総理も自ら、「東日本大震災では、古くからの友人である台湾の皆さんから、心温まる支援を頂きました。この大切な友人の困難に際してできる限りの支援を行っていく考えです」というメッセージを送り、蔡英文総統も「まさかの時の友は真の友」とお礼を返信した。この時、日台は「真の友」になったと感じた。P181

日本人誰もが会いたかった蔡焜燦さんの「日本精神」

  1. 蔡さんの生き方、考え方そのものが日台親善、日台友好のシンボルでした。フェアに物事を見て、日本統治時代の台湾についても、いいことはいいと主張する。「台湾人の日本精神」の中でも、当時の日本人が台湾でいかに高度で公平な教育を行っていたか、書き残しています。蔡さんは「元日本人」として、「現日本人」に母国の歴史を知ってほしかったのです。P200

「元日本人」から「現日本人」への思いは受け継がれた

  1. 1990年代に「親日家」を通り越して「愛日家」を名乗った蔡さんの生き方は、日台関係に非常にいい影響を及ぼしています。今では台湾人の八人に一人が日本を訪れるようになり、日本からも多くの観光客が台湾に行くようになりました。P201
  2. 素晴らしかった日本統治時代の記憶の継承と、これからの日台関係、そして互いの国民同士の心の紐帯。良好な日台関係の根底にあるのは、こうした「日台が歴史を共有した記憶」なのです。日本人が忘れてしまった、あるいは教えられていない「日台が共に歩んだ時代」を取り戻すことが、現在の日台関係の礎となっているのです。p201

台湾人が見つけた「日本精神」

  1. 台湾では、この様な日本の価値を「日本精神」と言ってきました。日本人一人ひとりの、ルールやマナーを順守する姿勢、日々の仕事に取り組む姿勢といったささやかな心掛けや振る舞いそのものが、日本に対する諸外国からの「信頼」を醸成しているのです。台湾人が「日本精神」と言うとき、それは戦前の日本人が持っていた「清潔」「公正」「勤勉」「信頼」「責任感」「正直」「規律遵守」「滅私奉公」といった価値観を指します。238