脳力開発155号/理念の時代を生きる155号

脳力開発155号・侵略される日本

先月号でオーストラリアの中国による「目に見えない侵略」を取り上げ、同時にコロナによって暴かれ始めた世界を描いた「疫病2020」も取り上げた。今回はオーストラリアの例から中国の日本の侵略について取り上げる。

一、中国のメディアへの侵略

  • 1972年に日中国交回復が田中内閣によってなされた。その前に1964年9月29日中記者交換協定が成立。1968年政治三原則として外務省は外交青書に記している。

一、中国敵視政策をとらない(中国の意に反する報道を行わない)。

二、「二つの中国」をつくる陰謀に加担しない。

三、中日両国の正常な関係の回復を妨げない。

この三原則は「結論は一般に公表しない」と決められ報道されなかった。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、NHKなど北京に常駐を希望する報道各社はこの条件を厳守しない場合には中国支社を常駐させない。毎日新聞は今も中国の折り込み記事を毎月挿入配布している。

  • 産経新聞は要求を一貫して拒否、文化大革命の開始を報道した柴田穂は1967年国外追放、以後1998年まで北京に支局をおくことがなかった。朝日新聞は中国の意向に合わせ文化大革命については中国に好意的な報道を続けた。また、慰安婦虚偽報道をはじめ、いまだにGHQの言論統制の呪縛に囚われている。これが日本のメディアの実態。

 

二、経済界・政治家への侵略

日中友好(協会)という甘い罠が全てのはじまり

  • 日中友好という言葉には日本人は何となく希望を抱く。日本人の純粋な心情に訴えるものがある。戦後GHQに洗脳された日本人の多くが共感する。日中国交回復後鄧 小平は1978年10月日中平和友好条約批准書交換のため来日し新日鉄君津製作所を訪れて上海の宝山製鉄所への協力を仰ぎ、松下電器に工場建設を呼びかけ両社とも好意的に応じた。
  • そのご、中国は日本に恩義を感じるどころか、江沢民以後は反日に切り換え、2019年のG20における習近平の国賓招待で表面的には日中関係も回復したかに思わせたが、コロナ禍を迎え、国賓問題に火がつき、今まで潜在していた親中、媚中の政治家の姿勢が鮮明になってきた。経済界の経済重視、を親中の姿勢が鮮明になってきた。

 

三、領土侵略・尖閣諸島

  • 民主党政権下で起きた2010年の中国漁船の体当たり事件以来、中国はレアアースの輸出禁止に踏み切った。そのご尖閣諸島の東京都購入の話が持ち上がり、日本国への所有者移転に中国は激怒した。以後、コロナ禍の最中の連続110日以上領海侵犯を続けている。

 

四、国土の侵略・日本の不動産が外国から狙われている

  • 誰でも買え、全く自由に転売できる。外国人なら保有税を支払わなくても済む。
  • 不動産売買が世界一フリーで、かつ所有者、使用者権利が国内外差別なく保障されている。国際的にみれば非常に特殊で、このことは国外でかなり知れ渡っている。
  • 「アジア太平洋地域で不動産投資に開示規制がないのは日本だけ」(アジア太平洋不動産投資ガイド2011)

今回北海道の中国による買収問題をとりあげる。この問題の裏に日本の様々問題が浮かびあがってくる。私も関心を持って見てはいなかったが、その現実をみて非常な危機感に襲われている。以下、季刊カムイミンタラの倉本聰・宮本雅文氏との対談より資料を引用。

北海道は以下のように外国資本(主として中国資本)によって購入されている。

■平成30年一年間で買収された物件

森林21件 広さ108ha 東京ドーム23個、内中国 11件91ha 東京ドーム19個

会社は日本国内だが資本金50%外資 日本国内 7件 58ha 東京ドーム12個

中国 2件 3.5ha、シンガポール1件42ha

  • 北海道森林買収の現在 中国資本 57% シンガポール含む 86%

 

林野庁・北海道庁によると外国資本で買収された森林は累計2726ha 東京ドーム529個。中国資本に買われた北海道の土地 推定7万ha  山手線の内側11倍以上

豊糠地区・水利のいい農村地帯・平取の奥

平家の落人の里のような不便なところで、不便だからこそ大量の土地を簡単に手に入れてしまう。沙流川が流れ村内の耕作地219haを全部買いたいと言いながら半分を買い今では農業研修生の名目で150人住んでいる 日本人23人 中国と関係のある農業法人。

■赤井川村  平成28年 270haキャンプ場 アリスファーム

■中国資本 キロロゴルフクラブ150ha 平成22年

■平成29年 夕張市スキー場・ホテル4施設  2億2千万  香港系フォド  転売15億

■帯広 拓成  広範囲にわたって買われている  中国資本

■札幌周辺地区・●新千歳空港近くの山  太陽光発電所 ●札幌 渡辺淳一記念館  中国

  • 小樽に中国専門不動産屋がある。●定山峡 旅館数件

 

苫小牧 駒澤大学  中国系学校法人に無償譲渡

■富良野不動産事情 スキー場の麓4haコンドミニアム 香港資本33室 完売 1億5千万

一坪10万円 2年前 2019年から一坪30万円

京都 京町 先斗町 祇園 上京区、町家  嵐山 山下清記念館

京都では町家が買われ貸家や民宿にしている。

■外国人土地法・日本には規制がない。中国人は合法的に土地を買っている。

  • 参考・英国ドイツ・外国人も自由に買えるがイキリスは土地売買後の登記は義務 。所有者は特定される。ドイツも登記は義務。利用規定が日本とは全く違う。定められたもの以外はつくってはならない。
  • フランス・150万ユーロ以上の土地農地は事前届け出、中国は制度の抜け道を研究して取得しているが、2017年以後、報告の義務化。
  • 豪州はここ10年狙われ港湾、農地、鉱山が狙われた2018年以後各種の法理通制定し、規制強化に乗り出している。日本は豪州に似ている。
  • 韓国は自国の土地は外国人に売らない。重要な一定エリアは届け出。土地買収についても届け出。

★これらの事実を知って、日本人は驚かないのか?国会議員もこの事実を知っている人や、委員会を立ち上げた議員もいる。しかし、これら委員は政府内の切り崩しにあい、なし崩しになっている。ここでも親中派の影響および議員自身の「国を守ろう」という意志が希薄な事実を明るみにしている。今回対馬の件は取り上げていないが、対馬は殆ど韓国に買い上げられているといっても過言ではない。正に次なるオーストラリアが日本と言えよう。中国の日本の侵略は着々と進んでいる。

写真 参考図書

 

理念に生きる155号

台湾民主化をなし遂げた建国の父・李登輝元総統

■東日本大震災の年に台湾を訪ねた

二〇一一年東日本大震災が茨城も襲った。丁度進化経営学院・次世代型経営者養成塾・シニアクラスの卒業式の日だった。その年六月台湾を訪ねることにした。一つには八田与一の烏頭ダムを訪ねる事だった。

二〇二〇年七月李登輝元総統がなくなられた。九七歳だった。この世界中がコロナ禍の真っ最中にご逝去された。台湾の民主化に生涯をかけられた李登輝総統が。

台湾の歴史を全く知らなかった

二〇一一年、台北の二二八記念館を訪ね、台湾について何も知らないことに愕然とした。李登輝総統の事も初めて知った。台湾は蒋介石が統治した国で毛沢東の統治した中華人民共和国とは似て非なる国であることを実感した。蒋介石時代に台湾における台湾人に対しての凄まじい数々の弾圧を知った。歴史の恐ろしい事実を知った。知らないことを恥じた。

台湾の歴史から李登輝総統の研究を始めた。二〇一一年以来毎年台湾を訪ねている。

■台湾の戦後の歴史の概略

1895年(明治28年)日清戦争が起こり、下関条約の結果、台湾は日本領となった。1945年太平洋戦争での日本敗戦の結果、連合国軍最高司令官マッカーサーの命令で、再び中華民国(蒋介石)に返還された。蒋介石は当時重慶にいた。1949年毛沢東の率いる八路軍(中国共産党軍)に破れた中華民国(蒋介石軍)は台湾に移住した。そのときに移住した蒋介石軍(外省人)は以来1987年まで戒厳令をひいた。

  • 二・二八事件(蒋介石政権・外省人による台湾人=本省人の虐殺)

1945年太平洋戦争後返還された台湾に陳儀が蒋介石によって派遣され、過酷な政治を行い1947年台湾人(本省人)の大量虐殺を行った。これを二・二八事件という。日本領としての50年間は日本の内地化によって教育、インフラその他の投資を行った。多くの台湾人が日本に留学し日本人としての教育をうけ、高い知的レベルやインフラについては日本の内地以上の投資をしていた。そして膨大な資産(当時の価値で190億円といわれる)を残したまま、日本は撤退した。その後、陳儀と共に台湾に移住してきた中華民国の兵隊は貧しい規律のない兵隊だった。

  • 台湾に対する蒋介石政権の暴政

1947年2月27日夕方、台北の街角で起こった闇たばこを販売していた女性の虐待を機に、それまでの陳儀の過酷な政治に対する不満が爆発し、台湾全土に広がった。台湾の有識者・有力者は処理委員会設置や戒厳令の解除などを陳儀に提案した。3月6日二・二八事件処理委員会が開かれ台湾住民側は三二カ条の要求を提出した。調停期間中陳儀は蒋介石に援軍を要請。3月8日からアメリカ軍の近代兵器で武装した一万三〇〇〇人の援軍が上陸。3月9日より主な委員や有力者、知識人を逮捕殺害が始まった。

僅か二週間で二万八千人の台湾人が殺害された。特に国民党の統治を強化するために、エリート人材の根絶を狙った計画的な虐殺だった。このなかで、3月12日には邱永漢氏も香港に逃げた。(台湾二二八事件の真実)

  • 1988年2月22日蒋経国総統の死後、本省人の李登輝が総統として就任する。
  • 1995年2月台北市立二二八記念碑落成、二月二八日記念式典。李登輝総統が政府を  

代表して二・二八受難者の遺族に公式に謝罪。

 

■李登輝総統・民主化の道を歩み始める

終戦のとき、李登輝は二二歳・京都大学農学部の学生だった。その後、日本敗戦後台湾に帰国する。一九四七年に二・二八事件が起こり、実質戒厳令がひかれる。台湾人(内省人)にとっては日本統治時代に比べて自由のない実質戒厳令の下に蒋介石政権に支配されることになる。

その渦中を生きた李登輝はその後に続く白色テロをかいくぐり台湾大学を卒業後米国にわたり後にコーネル大学に留学し、帰国後台湾農業問題を報告し蒋経国に認められ一九七一年国民党に推薦され入党する。

自分から入党したのではない。一九八四年蒋経国に副総統候補として指名され、一九八八年蒋経国の逝去に伴い総統に就任することになる。蒋経国自身もいつまでも外省人政権を維持できるとは思っていなかった。李登輝の登用はその未来の台湾を暗示していた。

  • 李登輝総統直接選挙導入以後

一九八八年国民党入党から一九九六年の直接選挙導入し総統就任する。その後二〇〇〇年の選挙では李登輝自身立候補を取りやめる。陳水扁二〇〇〇年から二〇〇八年まで民主進歩党が総統に就任。陳水扁政権は瞑想する。その後二〇〇八年から二〇一六年まで国民党の馬英九(国民党)が政権を握る。この間、馬英九は中華人民共和国よりの経済政策をとる。

  • ひまわり学生運動

馬英九政権の中国よりの「サービス貿易協定」政策に二〇一四年三月一八日「ひまわり学生運動」が起こり、市民と学生が立法院を占拠する。三〇〇名を超える学生のデモ隊が立法院を占拠。立法院議長は四月一〇日「両岸協議監督条例」が法制化されるまでサービス貿易協定の審議を行わないと宣言する。この学生運動を李登輝も支援する。

  • 馬英九辞任と蔡英文再選二〇二〇年

二〇一四年一一月二十九日の統一地方選挙で国民党が大敗し馬英九国民党首席が辞任。 二〇一六年蔡英文が政権を取り戻す。そして二〇一九年一二月三一日のコロナウイルス水際作戦を果敢に実施した蔡英文が二〇二〇年一月一一日の総統選挙に圧倒的大差で国民党の韓国瑜に大勝その後、六月六日高雄市長もリコール成立という流れになる。

 

■李登輝を尊敬する理由

■国民党入党後から李登輝の政治信条は「天下は公のために」である。そして二〇〇〇年の総統選挙には立候補しなかった。「台湾に民主主義を根付かせる事が至急の命題だった。それが何よりも台湾のためだ」と考えた。「政治家は国のためなら権力をいつでも放棄する、そういう覚悟が必要だ」と考えている。

 李登輝はこの信念・使命感で政治家として役割を果たしてきた。その考えの根本は自らが学んだ「日本精神」だという。そして日本人に誇りを持てと叱咤する。

■台湾の政財界の毅然とした姿勢・日本の進むべき道

二〇二〇年の台湾総統総選挙、コロナ禍に対する習近平の脅しにも毅然として対応する台湾国民・蔡英文を生み出した。このことこそ日本の進むべき道を示している。経済優先でバランスのみを終始する日本の経済界、政権の手本とすべき道を示したのが李登輝元総統だ。李登輝のような国を思い世界から尊敬される哲人・政治家はもう二度と見ることかできないであろう。(悦司)

 

李登輝・台湾関連書籍

李登輝揮毫 誠実自然(二〇一四年)

我是不是我的我(二〇一八年)


理念の時代を生きる154号/脳力開発154号

理念に生きる154号・自給の村・自立構想

時は流れ新しい変化が起きている(青)

 一年ぶりに稚内の近く豊富の高校時代の同級生久世薫嗣君を訪ねた。ガンの大手術以来6年、ますます元気になったと言いたいぐらい充実した生活している。一年間の家族の変化を聞いた。長女歩さんに子供が産まれご主人は発奮し乳牛を中心とした削蹄をされていたが、最新の設備をそなえ独立創業している。久世さん曰く「子供ができると旦那が大きく変わった」と。バンドも組んで音楽好きだった御夫婦も、お子さんに恵まれて子供中心の生活に一変している。

次女ありさんの山本牧場はオートマティックな乳牛の飼育や搾乳もまことに快調、子供とともに夫婦の生活も楽しんでいる。三女あもさんは好青年田中君と再婚して新たに子供に恵まれ、喫茶レテイエとチーズ作りに人を採用し、お店のオープン期間もコロナに対応しながら生活している。もともと彼女は経営者だから、自分のくらしのパターンを優先させている。

酪農を営んでいる亮氏さんは、最初にあったときはお嬢さん確か小学4年だった記憶だが、もう大学生になり神戸の大学に通っている。久世君本人は関西学院大学出身だし、卒業後西宮を起点に四葉牛乳(北海道産)の販売活動を展開していたこともあった。亮さんも西宮で幼少の頃は住んでいた。お嬢さんのDNA?に埋め込まれているか。もう大学一年生だって。一年でこれだけの変化がある。亮さんは若い人たちの就農を支援している。

自給の村構想は久世さんが人生最後の仕事として発案したテーマだが、チェルノブイリの子供達の転地療法の体験を活かして、福島の子供たちの転地療法実践の場としてスタートした。いまも勿論続けている。今では亮さんも若い人たちをこの自給の村の施設をつかって就農支援している。この地で自分自身が就農したように若き酪農家を育てている。

何年も通い話を聞く内に酪農の運営が昔とは形を変えてきている。人力を中心にした往年の形からずいぶんと労働力は少なくて済むようになっている。次女ありさんの山本牧場などは非常に自動化され牛にとっても環境的には大幅に改善されている。亮さんが牛の餌になる刈り取って天火乾ししていた牧草を集め、束ねる仕事の現場を拝見したが、広い牧草地を巨大な海外製JOHN DEEREを巧みに操る姿を見ていると感動する。

久世さん本人は幌延深地層研究センターを中心とした放射性廃棄物の地層処理に関しての20年の契約の埋め戻し交渉のリーダーを続けてきたが、今年からは肉体を酷使する道庁にでかけたり、東京での交渉の第一線は後継者に譲っている。しかし、自給の村を中心に様々な活動を平行して進めている。孫はとうとう11人になった。これだけで久世さんは日本の役に立ったと半分本気でからかったが、人間の生き方、自立した生き方をさりげなく実践している子供たちをみていると経済と生き方のバランスが見事に実現している。(悦司)

写真・干し草処理の風景

久世さん亮さん親子

脳力開発154号・目に見えぬ侵略・中国のオーストラリア支配計画(青)

★中国はしたたかにオーストラリア政府、そしてメディア、教育、不動産等の分野をいかに侵略して行ったか、その事実を描き出している。中国の長期的戦略には恐怖と戦慄を覚える。と同時に我が国についても、同じ中国の侵略が行われていることに、改めて危機感を感じる。しかし、オーストラリアの国民がこの事実のように何の疑問も感じることなく、打ち過ぎていった事実を日本人も認識しなくてはならない。

★本書を読み終わって、アメリカが一九七二年ニクソン訪中以来、二〇一六年トランプ大統領が選ばれるまで、中国を見誤った詳細な事実が二〇一五年に出版されたCaina2049・秘密裏に遂行された「世界覇権100年戦略」マイケルピルスベリー著に記されている。そして二〇一八年十月にペンス副大統領が宣言した対中宣言とその後の米中貿易摩擦、二〇一九年十月の重ねての発言。最近の香港人権法、ウイグル人権法が成立し、中国の香港国家安全維持法と続いている。

★米国の場合には以前紹介したクリントン大統領から始まった中国の米国への侵略、政界の腐敗は「クリントン・キャッシュ」で描かれているが、オバマ大統領、国務長官ヒラリークリントンと続いてきたアメリカの政権、経済界が犯してきた数々の分野については、詳細は問われてない。トランプ大統領になって、中国の侵略の事実が明るみになり、今では共和党、民主党ともに反中国の姿勢をとっているが、中国のしたたかさ、プロバガンダの巧みさは、到底日本人には理解できまい。

 

写真・クリントンキャッシュ3/28日のように写真を入れてください。

chain 2049

 

■クライブ・ハミルトン執筆の発意・政治家の献金スキャンダル(青)

★彼のインタビュー記事から引用する。

  • 二〇一六年ごろからオ―ストラリアに対する中国の介入が気になり、国内の中国専門家、共産党の影響工作に詳しい人達に話を聞き、取材中国本土、香港、アメリカなどに出向しインタビューを繰り返し全体像が見えてきた。そこにサム・ダスティリア労働党上院議員が中国人実業家から多額の献金をもらっていたことが発覚し大騒ぎになった。
  • 加えてこの実業家黄向墨ホワン・シャンモのシドニーの豪邸にでかけ、「オーストラリア政府があなたを盗聴しているかもしれないから、気をつけろ」と忠告していることをジャーナリストがすっぱ抜いた。 著者が関心を持ったのは文中に述べる主に三~四名の中国人もしくは中国系オーストラリア人が、オーストラリアの政治家に多額の献金をしていた事実があり、それは労働党のみならずライバル保守党の自由党にも献金していることが判明した。

■黄向墨ホワン・シャンモの経歴(あお)

  • 黄向墨は二〇一一年にオーストラリア移住。二〇一四年五月、シドニー工科大学に一八〇万ドルを寄付し、豪中関係研究所を設立。北京ボブと呼称されていた・労働党元外相ボブ・カーを豪中関係研究所所長に任命した。彼は元ニューサウスウェール州知事だった二〇一四年当時の彼の研究所の報告書が中豪自由貿易協定の利益を擁護する権威論拠として使われた。
  • 豪政府は二〇一一九年二月六日豪当局は中国共産党とのつながりを綿密に調査した結果、黄向墨の永住権剥奪、再入国禁止の措置をとった。
  • 全国会議員の国籍も調査され、二重国籍一〇名以上が辞任・議員資格無効とされた。

 

■出版までの経緯(青)

  • 北京の報復を恐れアレン&アンウイン社二〇一七年十一月末出版拒否をしてきた。「オーストラリアでは中国共産党に対する批判本は出せなくなる」と思った。
  • 出版中止・言論の自由を脅かすと国際的なニュースになった。が逆にオーストラリア出版社は逃げた
  • メルボルン大学も契約してくれたが、大学の理事会が拒否した。その理由は中国人の留学生を受け入れているため、彼等に嫌われることはできないというのが理由だった。
  • 二〇一八年一月ハーディー・グランド社が引き受けてくれた。 四万部売れた。
  • 日本のメディア・大手新聞社が取材の申し込みが殺到した。日本でも政財界への北京の浸透や影響力が問題になっていることに気がついらしい。
  • 本の出版後、奇妙なことが次々と起こった。サンバー面でのセキリュリティーやオフィスに見知らぬ人が突然訪ねてくるようになり、その後、オフィスは「ロックダウン状態」セキュリティカメラが設置され、定期的に警察の車がくるようになった。

■親中派オーストラリア人からの猛烈な批判(青)

  • 二人の元首相から新聞で批判される。元外相・北京ボブ・カーを筆頭に、本書に登場した現役の政治家、元有力政治家に批判され、中傷メール・ツイツターSNSの乗っ取りが起こり、最も激しく攻撃してくるのは白人のオーストラリア人です。
  • 利権を貪った政治家・学者が彼を人種差別主義委員会にかけて訴えようとしている。殆どがオーストラリア内の左派から攻撃された。

(注)いかに中国の侵略が浸透しているかをはっきりと表している。

■米公聴会で証言(青)

  • 二〇一八年夏アメリカ上院の公聴会に証人としてオーストラリアの状況を証言した。
  • 上院、国務省や複数の大手シンクタンクで話をした。
  • ヨーロッパの本書に対する反応は皆無だった。
  • ドイツから呼ばれ北大西洋条約機構本部で話した。
  • ヨーロッパEUは中国共産党の影響工作に関心が薄かった。
  • 台湾・日本・アメリカ・カナダが興味を持ってくれた。

■続編・予告(青)

続編・「隠された手」は六月半ば発売予定で中国専門家マイケル・オールバーグ氏との共著

  • オーストラリアの田舎の地域と先ず関係を強化して都市に攻めこむ。共産党の定石。
  • 米中貿易紛争の最中トランプ政権に対して地方の州知事が抵抗している。中国の作戦だ。地域から懐柔していく=中国共産党の工作=農村から都市へ
  • ドイツでもオーストラリアでも同じ手法で侵略されている。
  • 金融界工作(青)

①イギリスの超エリートたちとの密接な関係構築が既に築かれている。

  • ロンドンの金融界・シティへの工作。
  • 米ウォール街、ドイツフランクフルトなど金融街への友人作りの獲得に極めて熱心だ。

 

第二部・同書より内容の一部紹介(青)

政界の動き・歴代首相の動き(青)

  • ボブ・ホーク(労働党1983年~1990年)は1989年当時の豪首相で、文化大革命当時中国に人権上強制送還しなかった。当時、42000人の中国人が永住権を獲得したが、学生の3/4は短期留学生だった。語学研修が目的だったが、結果的に永住権を許可した。
  • 首相ポール・キティング(労働党1991年~1996年)

中国に買収された一人で「中国の台頭には完全な正当性がある」と唱える。オーストラリアは同盟国アメリカの従属国ではないと発言し、政治的影響力喪失シンドロームの人達を利用している。

 

■巨額の入札競争勝利(青)

  • 2002年ジョン・ハワード首相(自由党1996年~2007年)は広州省の天然ガス供給契約を勝ち取るが、これも仕組まれた契約で実は北京に操られていた。中国はオーストラリアがアメリカに同調していたから、中国に向かせるための経済的な手段を使った。

経済優先の不文律(青)

  • オーストラリア内の中国第五列・豪中の経済関係で成長した財界のエリートたちのことを言う。無意識の内に外国人(中国人)の主人に忠誠を尽くすことになる。結果としてオーストラリアの主権を内部から浸食していく。
  • ビジネスリーダーやそのアドバイザーの集団は豪中二国間を行き来して契約を行い、中国の友人として関係を築く。第五列は首相や財務大臣と親密な関係をもち、経済最優先という不文律の前提をもつ自由市場的な考え方の膨大な影響力は、守るべき「自由」という概念を乗り越えてしまう。
  • あるオーストラリアと政府高官は「中国で人権のため流された血など誰がきにするものか!」と嘲るように言い放った。人権よりもまずは経済だ。

■メディア(青)

共産党中央政治局幹部・劉奇保=国外での政治戦を担当している。

  • オーストラリア主要メディアと六つの合意とは、中国から提供される資金と引き換えに新華社通信、人民日報、チャイナデイリーからの宣伝を発行することである。
  • フェアファックス、スカイニュース派中国のニュースストーリーを掲載放送することに合意している。
  • シドニー・モーニング・ヘラルド紙、ジ・エイジ紙、オーストラリアン・フアイナンシャル・レビュー紙は毎月八ページにわたる折り込み記事を掲載することに合意している。

(注)毎日新聞も毎月この中国版を挿入配布している。中国のプロパガンダを流している。ガーディアン報道2018年12月

写真  (写真地図のせられたらのせてください)

■騙されやすいジャーナリスト(青)

  • ボブ・カーは新華社通信との覚書を交わし、記者たちを中国の研修ツアーに参加させた。

正式には、外国人記者は政府の公式認定がなければ不可能であるにもかかわらず、五日間のあご足付きの事実発見ツアーに招いた。

  • 2016年7月・シドニーモーニング・ヘラルド、のオーストラリア・ファイナンシャルレビュー、ジ・ウェストオーストラリア紙の記者を招待され、その後中国は素晴らしいと記事にする。提灯記事を書くようになった。

 

■オーストラリアの大学で魂に工作する・孔子学院(青)

  • 孔子学院は「中国が海外でプスパガンダを展開するための一つの重要な組織である」と中国プロパガンダのトップ李長春は述べている。孔子学院は中国政府から数十万ドルもの投資を呼び込めると期待する海外の大学と共同で設立されることが多い。
  • シドニー工科大学は中華街の傍で留学生を抱えている。2015年には留学生の40%=5500 人。

孔子学院、オーストラリア国立大学の留学生の60% が中国人で、授業料収入の15%を占めている。

■オーストラリアでおける中央統戦部(青)

  • 「告発して報告せよ」、共産党の内部文書で動く学生教授会は1989年以降世界中で設立されてきた。大使館付きの職員が大学のキャンパスの活動を調整してきた。自国への批判的な意見の拡大を懸念している。
  • 学生、学者、ビジネスマンとして身を隠しながら学生たちの活動を監視・報告し始めた。

CSSA中国学生学者協会、中国共産党の末端機関として機能している。

  • 学生をコントロールし、中国の大学とのつながりを作り、金満なビジネスマンによる献金を推進し、ダライラマ、法輪功、民主化運動家らにプロパガンダ戦争を実践している。

★これまで読まれて、日本でも大いに思い当たることがあるだろう。この本は12章にわたって、詳細な事実を描き出している。いかにオーストラリアの利権に預かっている人達から反発を買ったかは想像にかたくない。次号・日本における中国の侵略を考えてみたい。

写真 目に見えぬ侵略・クライブ・ハミルトン

 

この怪物がすべてを暴いた・疫病2020・門田隆将(青)

この著書は六月二七日に出版された。読了後、この本を直ちに進化経営学院に学んだ人達、息子達にもアマゾンから手配した。読んでもらいたい人達に同報した。何故か? 今、コロナ禍で世界は混乱している。緊急事態宣言の日本と世界各国の対応そして居直る中国の姿勢など同時進行しつつ、現実と根本的な問題点を描いている。

  • 人間は渦中にいるときには冷静に自分の置かれている状況、ましてや世界の情報、日本の情報、中国の情報を全体としてとられることは非常に困難だ。中国発の武漢コロナ情報にしても当初の情報と事実は違うことが、住民の発信するブログや日記の発信や、海外での出版、体験記やユーチューブなどの情報ではっきりわかってくる。
  • コロナ発生以来中国共産党政権の情報隠蔽のみならず世界に向けた戦狼外交はますます激しくなり、と同時に米中対立はますます先鋭化している。EU内部の対立と妥協、イギリスの対中政策の変化、米国のWHO脱退、ヒューストン中国領事館の閉鎖、イギリスのファーウェイの排除、続いてフランスの排除と続く変化を読み取ることは難しい。
  • コロナに対しての日本政府の対応について、結果として感染者および死者数が少ないことで、あたかも政府の政策が成功しているかのようにみえるが、果たしてこのまま推移するとは到底思えない。私個人は安倍総理を信頼しているが、コロナに対応する施策については

全面的に賛意ではない。と同時に彼を取り巻く自民党の複雑さを改めて認識することになる。厚生省や財務省の危機感のなさを認識している。安倍一強の幻想を。

  • 経済を重視する姿勢は確かに理解できるが、果たして経済が最優先課題であろうか?ということを、国民は緊急事態宣言以来、外出禁止の生活のなかでいろいろ考えかつ体験もしてきた。この記事を書いている四連休を活用したGOTOキャンペーンも、東京のみが中止となったが、一都四県がふさわしいという意見も出てくる。
  • コロナ発後の台湾・蔡英文総統の決断と果敢な姿勢、EUではドイツ・メケル首相、ニュージランドのジャシンダ・アンダーソン首相の国民の命を守ることを最優先させた女性トップの決断に感嘆した。一方で私達政府、厚生省の動きに「命を守る緊張感」を感じただろうか。日本は安倍総理が果敢な決断ができる状態の国ではない。
  • 東京都知事の小池知事と二階幹事長の中国へのマスクおよび防護服の寄贈にはじまり、兵庫県知事などの姿勢も噴飯物だった。二階幹事長の中国への国会議員の見舞金の提案など正に、今となると猿芝居だ。吉村大阪府知事など優れた決断をした知事もいるし、現在なお一人の感染者も出していない岩手県など特筆した人達もいるが、おしなべて日本人の甘さが露呈した。
  • 小池知事の選挙を意識したテレビの画面を見るたびに、個人的には石原慎太郎流に言えば厚化粧の自己顕示欲の固まりに辟易したが、最高得点で再選されたのを見ると、日本人の平和惚けを再確認するも思いだ。
  • この本のタイトルのように、コロナ(疫病)は中国共産党の本当の姿、ヨーロッパの現状、中国と対立する米国の現状、日本の中国におもねる現状、その他世界各国の対中の現状、国連やWHOの現状を余すところなく晒すことになった。これは「神の啓示」ではないかとさえ思う。
  • 私はこの本を読みながらマーカーで印をつけながら読んだ。時系列な進行と同時に様々な情報・事実を分析しながら見事に日本の内部に隠れている病根を描き出している。とりわけ第六章の「中国依存企業の衝撃」は日本の大企業の将来に禍根を招くであろう実態が描かれている。

 

■日本の経済界の対中認識

  • 日立の会長で経団連会長の中西宏明氏の発言にはかつての経団連会長の見識は微塵も感じられない。所詮サラリーマン社長が順送りに経団連の会長の椅子が回ってきたにすぎない。彼は「日本は重要な市場である中国は良好な関係を維持する必要がある。経団連は両国経済界と引き続きアクティブに対話を重ね、一帯一路や自由で開かれたインド太平洋などへの取り組みを通じて経済発展に貢献していく」と唱える。
  • 一方、日本政府は明確に「脱中国」の方針を打ち出している。安倍総理は三月五日に開かれた「未来投資会議」で以下のように述べている。「中国などから日本への製品供給減少によるサプライチェーンへの影響が懸念されるなか、一国への依存度が高く、付加価値の高い製品は、日本への生産回帰を進める。そうでない製品も一国に依存せず、東南アジア諸国連合(ASEAN)などへの生産拠点の多元化を進める」そのために補正予算二二〇〇億円を確保した。
  • ところが、四月ジェトロが行った中国進出企業へのアンケートで調査に応じた七一〇社の九割がサプライチェーンや拠点を移す計画はない」と答えている。
  • トヨタは中国に多大な投資を行い、今年二月に一千三〇〇億円を投じて天津に電気自動車(EV)の工場を建設すると発表し、六月には商用車向け燃料電池システムの研究開発会社を設立すると発表した。
  • 果たして、経済界の「前のめりの姿勢」はいかがなものか?「目に見えない侵略」中国のオーストラリア支配戦略計画に書いたが、したたかな中国共産党・習近平の戦略を研究しているのだろうか、政経分離が今後も変化なく続くと思っているのだろうか?

■日本の今後の国家としての理念を明確にする時期を迎えているといえる。今の自民党も野党は語るに落ちるが、日本の経済界、朝日、毎日、東京新聞やNHKメディア、大学、孔子学院を何の抵抗もなく受け入れている現在の日本を見直すと時だと、警告している。

  • 正に疫病(コロナ)が晒した中国の姿を認識し、日本の政治政界、官僚、経済界、教育界の現状を個人個人でどうあるべきかをしっかりと考えるときだといえる。

★是非、みなさんこの「疫病2020」をお読みいただきたいと切望します。(悦司)


脳力開発153号/理念の時代を生きる153号

脳力開発153号 コロナ後の欧米の対中戦略

現在世界はコロナの終息を睨んだ経済再生のために規制緩和を始めた国々とますます感染が激しくなるアメリカを筆頭に世界的には終息からはほど遠い。感染者数八〇八万人死者四十三万人(5月17日)。中国も第二次感染、韓国も第二次感染、東京アラートも一体なんなのかと問い直されている。私たちの実感はとてもこのまま、鎮静化するとはおもえない。また経済二~三カ月で元に戻るとは思えない。

★一方、アメリカでは黒人問題でデモが大きくなり、新聞やテレビでは事実を把握できない。

この理由は、テレビもメディアも事実の報道はしないで海外メディアの受け売りが中心でうんざりする。この報道もある一面を伝えているが、現実のアメリカの実態ではない。

★中国の目に余る振る舞いは日本人としてのみならず世界各国も驚愕しているが、誠に中国という国は、プロパガンダについては特別巧みな国であることを忘れてはならない。日本にとって習近平の国賓問題も遠のいているものの、香港問題、尖閣問題では着々と民主主義国家からすれば想像できない振る舞いをしている。経済優先できたEUも流石に対中政策を変更しだしたが、このままスンナリ対中政策が一本化されるとは考えられない。

六月十七日米で「ウイグル人権法」が成立しました。トランプ大統領は中国新疆ウイグル自治区でイスラム教徒少数ウイグル族の弾圧に関与した中国当局者に制裁を科すウイグル人権法案に署名し、同法は成立した。新型コロナウイルス感染の拡大や香港問題で対立する両国の関係悪化に拍車がかかりそうだと新聞が報じました。

★これらのことを頭に入れながら、以下の論説に目を通し、一つの見方として参考にしていただきたい。

 

欧州で怒り買う中国「戦狼」外交官

■中国の外交官が欧州各地で怒りを買っている。

新型コロナウイルスの猛威からいち早く抜け出した途端、「中国モデルの優位」を言い出した。イタリアにマスクを支援し、「中国に感謝せよ」と宣伝圧力をかけた。当初は歓迎したイタリアも、「いくらなんでも異常ではないか」と警戒を強めている。欧州連合(EU)は、コロナ禍で広がる陰謀論や偽ニュース発信の背景に「中国政府がいる」と報告書に記した。

■対欧関係を悪化させてまで、外交官が「中国の優位」を示そうとするのはなぜか。

中国駐在が長い仏外交官は「中国が愛国主義を煽(あお)るとき、必ず国内に弱さがある」と喝破する。習政権は疫病や経済危機に対する国民の不満を恐れている、と。仏戦略研究財団のアントワーヌ・ボンダズ研究員は「中国政府は『中国モデルは民主主義国より優れている。米欧による批判は不当』という物語を描きたがっている」と指摘する。

■中国外交について報じる仏メディア。「戦狼外交」は西欧で波紋を広げている

「戦狼」は、大ヒットした中国映画にちなんだ名称。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は先月、「戦狼外交の挑戦を受ける西側」と題した論説で、「中国と西側の力関係は変わった。西側が戦狼外交を警戒するのは、彼らの正体を暴くからだ」と評し、外交官たちに攻撃的になるようげきを飛ばした。

  • 中国外交は鄧小平時代から、「覇をとなえず、突出せず」を原則とした。西欧の大国とは特に、良好な関係を保とうと努めてきた。
  • 「中国優位」の強弁は唐突に映る。ボンダズ氏は「中国が外交の成果より、共産党方針を重視するようになった表れ」と指摘する。来年は、中国共産党創設100年の節目にあたる。価値観では絶対に中国と相いれない。それを改めて思い知らせたのは、ほかならぬ習政権の戦狼たちである。(三井美奈・2020.5.11パリ支局長)

 

トランプ米政権、対中政策に「力の平和」

 米国内での新型コロナウイルス大感染に加えて、人種問題での抗議デモの拡大を最も歓迎するのは中国政権だろう。人民日報、環球時報という中国官製メディアは「トランプ政権の自国民弾圧と香港問題での中国非難の偽善!」という趣旨の歓喜のにじむ記事で最近、いっぱいとなった。

  • トランプ政権が5月末、議会に「米国の中国に対する戦略的アプローチ」と題する公式文書を送った。その内容は中国を経済、価値観、安全保障の3分野で米国主導の国際秩序を根底から崩そうとする敵に等しい脅威とみて、抑止にかかる対中全面対決宣言だった。その全面対決の予算措置を議会の上下両院に求める16ページに渡る文書は、トランプ政権の中国政策表明でもこれまでで最強硬だ。その政策の核心は以下の要旨4項目の「実行措置」だ。

(1)米国の国民、国土、生き方を守る

米政府省庁が中国による経済スパイ、対世論工作、政治謀略を取り締まり、米国内の中国の外交官や留学生を厳しく監視し、中国官製メディア要員は工作員とみなす。中国側の米国の研究機関や大学への影響力行使や通信分野への介入、高度技術の盗用を防ぎ、同盟諸国と協力して、中国からのインテリジェンス(諜報活動)やサイバーの攻撃を防ぐ。

(2)米国の繁栄を守る

中国による知的所有権の盗用など不公正な経済慣行を終わらせ、米国の産業界や労働者や消費者の利益を守る。5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)という分野でも中国の不公正な挑戦を排除する。日本や欧州と連携し、中国の国有・国営企業が市場原理をゆがめることや、政府の不当な補助金、他国企業への不正な技術移転の強制などの慣行を排除する。

(3)米国の力による平和を保つ

中国の軍事力大増強に対し核戦力、通常戦力両方の強化で抑止力を保つ。中国が世界最大規模で保有する中距離ミサイルを削減させる。宇宙やサイバーでの中国の軍事拡張を抑える。インド太平洋では日本と協力して中国の軍事覇権を阻み、台湾の自己防衛能力には有事に備えての最大限の軍事支援を続ける。

(4)米国の影響力を拡大する

中国の独裁統治、言論抑圧、汚職、略奪的な経済慣行、民族や宗教の多様性の禁止などを国際協力によって抑え、米国の価値観に基づく影響力を拡大する。ウイグル人、チベット人、仏教徒、キリスト教徒、気功集団の法輪功などの基本的な人権保護を支援。香港の住民の自由や権利をとくに重視し、中国が国際公約の一国二制度を厳守することも求めている。

  • 米国政府は以上のように中国の国内、対外のあらゆる分野での国際的な規範や民主主義の原則に違反する言動に対決して抑止すると誓約しているのだ。その基盤にはトランプ政権の史上最大規模の軍事力増強による「力の平和」の態勢が誇示されていた。トランプ政権はしかも日本など同盟諸国と団結しての中国への対決を再三、強調していた。(古森義久ワシントン駐在客員特派員2020.6.15)

 

理念に生きる153号

その一・ コロナ後の社会はどうなるか?

コロナ後がどうなるか。世界の人達が関心の高い課題だが、大半の人達は可能な限り元に戻る、以前の状態に一日も早く戻ってほしいというのが正直な思いだろう。この機会に考えてみることにする。

★現在は競争型社会であり覇道型社会である。分かりやすく言えば①自社の利益最大化を望み②中国は現在のように世界覇権を望み③それによる米中の対立があり、④EUの対中偏りから見直しが始まり、アジアの問題は今までのように遠い対岸の火事ではなくなった。

★ジャック・アタリ氏はフランスのサルコジ大統領、オランド大統領から経済成長促進のための改革を目的とした超党派委員会の議長を求められた。私もこの機会に彼の最新の著書・二〇三〇年ジャック・アタリの未来予測も読んでみた。先ずは彼の対談を振り返って見る。そしてコロナ後の世界を考えてみる。

 

パンデミックが世界を変える~『命の産業』への大転換を~

二〇二〇年四月十七日、NHKテレビの『パンデミックが世界を変える』という対談番組で、経済学者・思想家のジャック・アタリ氏の発言が印象的でした。ジャック・アタリ氏は、『危機のサバイバル』(二〇〇九年)という著書の中で、既に今日のパンデミックを予想していたことで知られています。その対談の発言要旨は以下の通り。

「協力は競争よりも価値があり、人類は一つである」ことを理解すべきである。利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルの鍵である。

  • ポジティブ経済へ・ポジティブ経済』とは、長期的な視野に立ち、私が『命の産業』と呼ぶものに重点を置く経済です。生きるために必要な食料・医療・教育・文化・情報・研究・イノベーション・デシダルなどの産業です。生きるのに本当に必要なものに集中する。
  • 共感と利他主義・利他主義は合理的利己主義に他なりません。自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要があります。利他主義であることは、ひいては自分の利益となるのです。また他の国々が感染しないことも自国の利益になります。

■他者を守ることが我が身を守ることである。

家族・コミュニティ・国そして人類の利益にもつながる。利他主義とは、最も合理的で自己中心的な行動なのです。経済は全く新しい方向に設定し直す必要があります。多くの産業で大規模な転換が求められます。

  • 「歴史をみると人類は恐怖を感じる時にのみ大きく進化する」

前進するために、恐怖や大惨事が必要というのではありません。私は破壊的状況を望みません。しかし、良き方向に進むためには、今の状況をうまく生かすしかありません。

  • 利他的な経済や社会」「共感のサービス」と呼ぶ方向に向かうことです。

人類は、未来について考える力がとても乏しく、また忘れっぽい。問題を引き起こしている物事を忘れてしまうことも多い。過去の負の遺産を嫌うため、これまで通りの生活に戻ってしまう。(経済学者・思想家 ジャック・アタリ氏発言要旨)

  • この世界的な危機にどう立ち向かうか、まさにいま人類の英知と結束が問われています。
    ジャック・アタリ氏が指摘しているように、自国や自己の利益だけを考えるのではなく、 私たち一人ひとりが、利他精神を持って誠実に対応することが必要です。と警告している。

★世界の現状は以下お読みいただきたいが、基本的に覇道型経営、競争型経営の社会だといえます。その違いは以下のように比較できます。

覇道(競争型経営社会)と和道(日本型経営社会)との比較

目的

覇道は、天下の支配(勝ち残り)を目的とする。

和道は、永続的・安定的な平和秩序の確立を目的とする。

達成過程

覇道は、「敵」の制圧・征服を通じて目的達成を目指す。

和道は、互恵関係の拡大発展を通じて目的達成を目指す。

方法

覇道は、権謀術数を駆使して優位を追求する。

和道は、身辺に和を築き、それを飛び火的に拡大する。

基本的資源

覇道は、武力・攻撃力を基本的な資源とする。

和道は、和力・与欣力を基本的な資源とする。

行動原則

覇道は、異質排除、自盛他滅を行動原則とする。

和道は、異質共存、互恵共栄を行動原則とする。

★ジャック・アタリ氏の考え方は人類に「警告」を与えています。そして競争型社会=現在の社会環境で生活している我々にとって、警告=理想だけれど、綺麗事で実際には行動できない=行動しない=反利他主義=自己中心・利己主義となる。そして以前と同じような生活を求める。

★しかし、日本人全員ができる(可能)できない(不可能)はともかく、さほど違和感を感じない人も多い。周辺ではアタリのいう利他主義を実践している人達は沢山見ることができる。勿論若い人たちにも見ることができるし、これが理想論だとか絶対に無理だとかは感じない。何故だろうか?

★ここで、日本人は例えば東日本大震災の時に世界の人達が驚いたように他人を押しやって我先に救援物資を独り占めしょうとはしない。国民の大半のようにジャック・アタリの考え方に共感できる日本人は多いと思われる。そういう国民的歴史を持っている。

★コロナ後の世界を考える時、経済の無限の成長を前提にしながら今後も暮らしていこうというのは不可能だ。取り巻く環境が大きく変化しているのに、同じ状況になる訳がない。むしろ、NYでも二〇~二五%人が住む家を郊外に移し今までの暮らし方から変えようとしているそうだ。あのアメリカ人が。

★ここにヒントがある。若い世代の人は高度成長社会を経験しているわけではない。逆に言うと、これを機会に脱競争社会へる脱皮が一番早いかもしれない。これが私のいいたいことで、互恵社会への脱皮がコロナ禍に遭遇することによって早まったとも言える。いかがでしょうか?

 

写真・ジャック・アタリの著書

 

その二・理念制定式ZOOM

四月七日、八日ラコリーナ近江八幡を訪ね、近江商人を訪ね、翌日第二〇回理念型企業快労祭を彦根で開催、その日理念制定式を開催する予定で昨年六月から計画を立てていた。残念ながら三月初旬東近江にコロナの感染も発生したことで、ラコリーナ近江八幡の訪問と社長の講演を中止せざるを得なくなった。

このような状況の中でZOOMを活用して理念制定式を計画した。この間ZOOMの活用方法を研究した。経営会議にオブザーバーで参加し、上海華鐘コンサルタント主催の報告会とその質問に応答するスタイル。発表資料をよく研究した報告、なんとなく参加者が理解しないまま参加した会、日経主催の会等々。これも経験だが、中学三年生の須田晃介君のお蔭だ。失敗を何度もすることだ。失敗が人を育てる。

今回、理念制定式一時間と引き続き参加者の一年間を振り返っての快労報告をしてもらった。すなわち参加型と報告型の二つの体験をしてもらった。参加者の欣度(喜びの量)が上がる。三時間の会。その感想文もお読みいただきたい。

【理念制定式】進行役をお願いした藤井高大氏の感想

ZOOMでの企業理念制定式ということで進行に戸惑いもありましたが、何より福井から二社の企業理念が制定されたことを私事のように嬉しく思います。数年かけて天命舎へ通い、思考を深めていった日々を思い出しました。MKD村上塾長の理念に沿った強い想いと行動実践の賜物だと「理念の力」を再確認する一日となりました。

谷口さんの理念からは、壮大なスケールの大きさの中から未来の希望に満ちた文言。地元密着の谷口工務店から和の波動が波及し、福井嶺南をよりよく導く未来を期待し楽しみにしています。山本さんの理念を初めて拝見した時に、電気が走ったように震えたことを思い出します。彼、山本卓也の志そのものだと実感しています。彼の未来からは期待しか感じられません。今後も彼らと共に、MKDを含め、この福井の役立ちに精進していきたいと思います。(黒田注・事前の準備、予行演習はしっかりしてくださいました)

【快労発表】

皆さんの発表を伺いながら、年々回を重ねる毎に各人それぞれの理念と行動が一致し深まってきている、「知行合一」の言葉が頭をよぎりました。柳井さんからは、相手を選ばず必然的に求められるその役割は、彼の持つ理念がそう導いているのではないか。

小路口さんは、自分から仕向けるのではなく各人を想い主体性が芽生えることを信じる強さ、そこから自分の子供たちだけではなく自立性を外へ波及させる思考が生まれることも理念に沿った生き方だと感じました。

皆さんの発表を伺いながら改めて自分自身を振り返る良い機会となりました。大和先生のお言葉にもありましたが、自分はどれだけ理念を背負った生き方が出来ているのかと。毎朝理念の唱和はしているものの理念に向かった生活をどれだけ実践しているのか理念が自分にもっと密着し深められるよう、日常万事、磨き続けていくよう精進したいと心新たに決意します。(藤井高大氏)

【感想】

今年の快労祭はコロナの影響で例年と全く違う形で開催されることになり、今までとは違った緊張感で当日を迎えた。しかし、事前にZOOMを使い皆と交流会をしていたので始まってみると思いのほか各自の発表も違和感なく聞き入れられ、時代の変化を改めて実感した。今までにない未曾有の世の中で、このまま前に進めないのではないかと不安になる日もあったが、今回以下の箴言が心に残った。

「逆境練機、自らが思うようにいかないことが出てくるが、それを乗り越えていくことが快労である」(黒田)「理念は額に入れておくだけではなく掲げたことをもとに行動していく必要がある」(大和先生)「これからの時代、理念の有る無しによって迷いがなく歩んでいけるかどうか決まる」(MKD村上氏)

今回参加した皆さんからは常に前向きな言葉しか出てこなく、逆境を逆境ととらえていないと感じた。自分も天命舎に通わせてもらってからは逆境を逆境とは感じず、常に楽しんでいるように思えた。理念は人生の究極目標であり今後も中身をなお一層磨きながら日々を過ごしていきたいと改めて感じた今回の快労祭であった。(柳井誠一氏)

■理念があることの幸せ・監修者・大和信春

理念は、最上・不動の判断基準であり、最も厳重に「これでよい」と確かめられ、世の中で最も深く納得した人生(事業)の価値を表しています。またそれ自体が最終根拠となりうる存在でもあります。したがって、ものを考える上で、最も安心できる出発点となることを改めて意識して実践されるようお勧めしています。(中略)

異変は異常の姿で目に入ることが多く、正常に戻すことに気を取られがちですが物事はよく見ればプラスの面とマイナスの面の抱き合わせであり、真剣に理念を指針として行動している人は、理念推進にとってプラスとなる要素を見逃すはずがありません。

異常と思ったのが考え違いで、歴史の必然的変化の現れであって、その変化に応じた適切な対応は、元に戻すこととは全く違っていたということさえ考えられます。今の世界、そして日本はまさに激動と転換の時代に入ってきていますので、そうした観点は常に欠かせないものです。

国家理念

大きな転換期に差し掛かっている国際社会においても、各国のリーダー達は、まず国家の理念を念頭に、国の歩みを考えるべきであるのに、国家理念を明確にしている国は見当たらないのが現状であり、日本も例外ではありません。その結果、各国の国際社会における振る舞いは露骨な利己的行動となっており、皆がそうであるためか、恥じる様子もありません。

立派な国であるためには本物の国家理念が欠かせないのだという認識を広めることは、われわれが人類社会の成熟化と世界の平和のためになし得る効果的な方法の一つだと考えます。具体的には外国人と話すときに、あえて「あなたの国の国家理念(究極目的)は何ですか?」とたずねるだけでよいと思います。

最後に、皆様がせっかく打ち立てられた理念がより充分に血肉化され、普段の生活や仕事の中で力を発揮して、使命を果たし得た貴重で幸せな生涯を送られることを念願する次第です。

★理念制定式・参加者快労報告を早速まとめました。善事即行。理念制定者には配布します。


脳力開発152号/理念の時代を生きる152号

脳力開発152号

新たな課題に挑戦する

その一■自然死を目指す!!

先月号で善子は「今日何を食べる?」というテーマで以下のように書いた。コロナウイルスのおかげで毎日家にいる悦司さんから「今日何食べる?」と朝から聞かれる。ウーン何?何?何?と四月の食のことを書いた。確かに間違いない。毎日美味しく食べている。文句あるか?と開き直りたいが・・・・・・。

四月七日に緊急事態宣言が出されて以来、多くの人は自宅にとどまり三食を家庭で食べることになる。そこで起きてくる問題は体重が増えちゃったということになりやすい。会社に行かなくても良い、対外的にも人に接することが減り、緊張感も薄れる、家庭に止まる時間が増えると、必然的に食べ過ぎによる体重増はなかなか押さえられない。

金婚式・喜寿からの人生をいかに生きるか。

二〇一五年体重減に取り組んだ。従来の方法とは違い半断食という方法だった。当時八五キロ、瞬間的に八七キロあった体重を畏友に指摘され、自らも恥じて減量に取り組んだ。歳を重ねるにしたがって、それまでのやりかたでは減量できない。そこで新たに「半断食」にたどり着き実践した。高血圧も解消した。その後、毎日体重計に乗り日記につけた。年に二回はスポーツクラブでの定期的管理、掛かり付けの病院での血液検査も励行して問題は全くなく今日を迎えていく。しかし、三年の年月はつい、気を緩ませていた。

「今日何食べるの」と善子に森のフォーチャに書かれた。笑っていたが、正直、夕食が楽しみで、五時過ぎまで仕事をしたら、夕食開始の六時ごろまではテレビを見ながらウイスキーの薄い水割り。時に二杯。夕食になると献立に合わせて、ビール、ワイン、芋焼酎、食後にはとっておきのウイスキーを楽しんでいた。善子もお酒が好きでもっぱらワイン。しかし彼女は食べ過ぎない。見事に体重はコントロールしている。

■そうだ、自然死をめざそう

四月十日ごろ朝起きて何となく、胃がもたれるような気がする。二日続いた。二日ほどお酒を控えてももたれる感覚は変わらない。珍しく「胃が弱っているのでは」と善子にいわれた。そこで私は閃いた。よし!この機会に体重を減らそうと一念発起した。半断食は2015年から取り組んいるが、最近、食事の量が増えている。お酒の量も増えていた。

四月十五日から本格的に体重減に取り組む事にした。本日で一カ月経過。八四キロから始めた。第一次目標八〇キロ、第二次目標七八キロ。計画は丁度一カ月で達成した。次は七五キロ。だが今回はもっと次元をあげた目標を設定している。

大げさに言えば「自然死」を目指す、ということだ。数年かけて疲れない身体づくり、明晰な頭脳といつまでも歩き続けることができる肉体づくり。コロナのおかげで私はさらなる健康を目指すことにした。関連書籍を毎日繰り返し読みながら体重減に取り組きでんいます。理論と実践。お笑いください。(悦司)

 

写真 無病法(ルイジ・コルナロ著) 半断食(甲田光雄)

 

そのニ■ZOOMを活用する・私の先生は中学三年生

中国で経営している先輩の華鐘コンセルタントは日中の合弁会社の設立、提携、指導を仕事にしている。創業二五年目。毎年上海と日本で春と秋に中国の経済報告をされている。

五~六年前から報告会に参加して、中国現地の情報を楽しみにしている。ところが今回はコロナの関係でZOOMを活用してインターネットで開催すると連絡が入った。早速体験したら予想以上に楽しく参加できた。四月、五月と二度参加した。

また、日本の知人が、ZOOMを活用し経営会議を開催しているということを聞いていた。私もこのZOOMを使いこなせるレベルになりたいと考えた。最初に招待してもらって参加した。招待されて参加するにはさほど問題はないが、主催するレベルになるのは容易ではない。

■先生は中学三年

何度か見よう見まねでZOOMにアクセスして、時に妻を相手にやってみてもスムーズには操作できない。そこで考えた。友人S氏の息子・晃介君(中学三年生)に教えてもらえないかとお願いした。彼は小学生の頃から天命舎で主催していた青少年夏季合宿で何度も一緒にしているから親しい。

彼にお願いしたら「大丈夫ですよ」と快く承知してくれた。約束してくれた日に、電話をもらい先ず第一回目は彼が私を招待してくれた。私が色々試行錯誤をしても、ゆっくり根気よく教えてくれた。教えてくれることをノートにメモするのだが、メモしてもできない。

第一回目のあと、キチンとお礼をするから継続して教えてほしいと伝えた。お礼として広島井辻食産の餃子を送った。美味しいと返事をくれた。中学生からの指導は私の体得を非常に助けてくれた。復習を兼ねて善子と何度かトライした。そして次の段階で、理念実践会の最年長の経営者に指導することに挑戦した。

私が使い方を指導するのだが、それまで何度も失敗しているから、教えながら、イライラもしない。自分ができなかったこと、恥を掻いた経験が教えることで活きる。何度か繰り返した上で、毎週一回晃介先生に気がついたことや失敗したことを尋ねる。

■飲み会を主催

やや、本格的に理念実践塾参加者七名と私たち夫婦とで五月二日金婚式の日に、飲み会を企画した。これが面白く楽しかった。参加した人たちの中には経験していた人もいたが、参加予定者全員に直接間接事前に教えておいた。参加した人たちの感想は、やってみたら簡単で楽しかったということだ。その後、長男、次男を含めて家族でトライした。孫の顔も見れ、話も聞けてありがたかった。次男は前日インタネットでの飲み会で二日酔い気味だったが。

■経営会議に参加

仕上げにS氏主催の経営会議にオブザーバーとして参加した。参加することによって、活用方法など、改良点などがわかった。経験を積んだ。次の企画はディスクトップの大きい画面で主催する「企業理念制定式」だ。晃介先生に教えてもらいカメラやマイクも手配をした。勉強したことを更に活かして万全な準備、資料を整えて開催したい。私の先生は中学三年生。

(悦司)

 

写真  中国経済実績  華鐘セミナ

 

脳力開発152号・報道の使命

片面思考と両面思考をもう少し考えてみたい。渡辺利夫(現在日本李登輝の会の会長・拓殖大学学事顧問・森田正馬氏の研究者)の文章から抜粋する。コロナに関する話題から巷間の片面思考の問題点への提案である。

■煩悩の犬、追えども去らず

  • 神経症は実は異常ではない。人間の強い生存本能のまぎれもない反面である。人間の精神の内界には「生の欲望」と「死の恐怖」が共存している。生の欲望が強ければ強いほど死への恐怖もまた強いという心理相対論が真実なのであろう。
  • 強迫観念の生じる条件は、例えばウイルスの拡散恐怖についてこれを感じまい、考えまいとする人間の反抗心のゆえであり、この反抗心を没却(ぼっきゃく)すれば強迫観念は成立しないという。ウイルスの脅威は脅威としてこれをただ「あるがままに」みつめよう。

■不安の「情報公害」の拡散を避けよ

  • 森田正馬の第一高弟が高良武久である。氏は「不安は存在するのが常態である。これが事実である。それゆえ、不安を排斥して異物扱いしてはならない」という。

人間は無数の敵に囲まれて生存している。敵のすべてに対処することなど不可能事である。不安や恐怖を人間が排除することはもとよりかなわない。不安は「常態」そのものだと考えてことに処すべきだ。

■「合成の誤謬(ごびゅう)」

  • 新聞もテレビも新型コロナウイルスの恐ろしさ、医療崩壊の深刻さを訴えて倦(う)むことがない。それぞれは真剣な報道であろうが「合成の誤謬(ごびゅう)」ということもある

真剣な報道の多くが積み重なって、結局は人々を不安と恐怖に陥れる巨大な「情報公害」を拡散させている可能性がある。

  • ネガティブな情報のみを切り取って、それがあたかも全体像であるかのように語る「専門家」が少なくないようにもみえる。
  • 人類の歴史は感染症との闘争史であったといわれる。確かにそうであろう。しかし、これまで収束することのないパンデミックはなかった。

■報道の使命

  • ファクト(事実)とエビデンス(根拠)を粛々と伝えるという、地味で着実な報道に徹してほしい。そして何より、この過酷な戦場の最前線で身命を賭(と)して戦う多くの医療従事者をはじめとする者たちに、心からの深い敬意と、その戦いが成果をあげるよう祈る、ジャーナリズムは国民心理をそういう方向に導いてほしい。(以上渡辺利夫)

★繰り返すが、一般の人たち、世間は目立つところを中心取り上げるメディア・新聞・テレビの報道に非常に影響される。逆説的に言えば新聞は読まない、テレビも見ない人の方が、客観的に見ることができるとも言えるが、これまた、ネットの時代の偽情報に影響される恐れはある。

★物事は全てに両面がある。少数部分とその反面の多数部分とがある。その両面を見ながらかつ、冷静に深く考える思考を身につけておく必要がある。ニュースの一面だけで判断するのは危険である。どんな状況でも、物事の現場、現実、現物を見ることを忘れてはならない。ビジネスの世界では三現主義という。(悦司)

写真・渡辺利夫氏

 

理念に生きる152号

緊急事態宣言に見る日本の現実と問題点

5月15日ZOOMによる華鐘コンサルタントの「2019年の中国経済実績と新型コロナウイルス以降の中国経済」の講演を聞いた。今回は同社の古林将一氏の「新型コロナウイルス蔓延を防いだ中国IT技術の今」よりお聴きした情報を交えながら上記テーマについて考えてみたい。

★先月号で新型コロナウイルス中国の現状の情報をホンの一部を伝えた。

  • 武漢市と湖北省は完全に「ロックダウン」された。→自主隔離ではない。住民は自宅から外出できない。地下鉄や高速鉄道、高速道路も全て封鎖。
  • コンタクトトレースの強化(感染経路の早急な特定)全ての携帯電話番号は身分証番号に紐付けされている。→支払い履歴との照合。高速道路・飛行機など交通機関乗車時には身分証番号が必要。通信会社・IT会社・交通機関で人の移動情報を収集。

★古林恒雄董事長は中国では「休業補償、給料補償は一切ない」と明言された。と伝えた。

■中国の現状

今回もっと突っ込んだ情報提供があり、添付資料のように

  • 携帯電話番号をには身分証情報が必ず紐付けされている(外国人はパスホート番号)から始まり
  • 乗車情報・飛行機と高速鉄道、配車アプリの乗車データー(地下鉄・タクシーは後にQRコードでの登録制となる)
  • 移動情報・携帯電話のGPSデーター、携帯電話の信号エリア、WiFi受信エリア
  • 接触情報・通信記録、電話帳 ⑤受診記録  ⑥処方記録

 

写真・ITで制したウイルス蔓延

 

  • ITで制したウイルス蔓延・優れた中国IT技術

★この情報から、中国の監視技術と習近平の統制は、結果として武漢のみならず中国の感染防止には技術的にも、政策的にも完全に押さえ込む措置をとったという事が明確にわかる。その他中国が5Gのインフラの現状や宇宙産業と衛星の現状、新インフラ建設など世界的に見ても技術的には最先端を走り、活用も具体的だとある種の戦慄を感じた。

★一昨年深圳の展示会に行った。その後、アメリカペンス副大統領の対中国政策の宣言、トランプ大統領の対中国、対北朝鮮への政策、昨年の副大統領の更なる対中国政策の再宣言、年初の米中貿易交渉の第一次締結と続いて、コロナ禍を迎えたわけだけど、習近平の指導する中国のIT/AI技術には突出した優位性を認めざるを得ない。

■ドイツ・台湾・韓国の現状

先月号で、ドイツ、台湾の状況を報告した。森のフォーチャを読んだ人たちから、メルケル首相、蔡英文総統のコロナに対応する緊急措置に対して、厳格で優れていると感想を頂いた。私自身も全くその通りだと思う。

結果ドイツ、台湾は感染者を押さえ込み、死者も少なく解除に踏み出している。民主主義国家でありながらも敢然とした措置が功を奏した。

韓国は結果として、SARSの教訓を活かして、PCR検査を速やかに行い、感染拡大を押さえた。技術的に日本も見習うべき点はある。

■日本の現状

先月号で、佐藤優氏の論評から以下の部分を引用した。欧米の日本への見方はいかの通り。一、わが国の緊急事態宣言に関して欧米の報道は、生温(ぬる)いと批判的だ。「日本の緊急事態宣言は、現実には見せかけだけ」と評した。新型コロナウイルス対策で、イタリア、フランス、英国などでは移動の規制を法律で定めている。

二、これに対して、日本では国も都道府県も、法律や条例によって行動を規制することに対しては慎重だ。日本は移動規制をしない。法律によって、新型コロナウイルス対策として人の移動を規制することも理論的には可能なはずだ。しかし、政府はそれをしない。(佐藤優氏)

  • 日本の緊急事態宣言は整理すると以下の通りだ。(正論6月号桜井よしこ氏引用)

1、他国のそれと違って政府も知事も命令できない

2、要請、指示止まりの優しさ緩さが特徴だ。

3、危機管理の仕組みが欠落している

 

■緊急事態宣言の世論調査

A1発出を評価する国民は圧倒的に緊急事態宣言発出を強く願っていた

産経・FNN65・3% 読売83%  共同通信75・1%毎日72%

A2遅すぎる。圧倒的多数で発出が遅かった、もっと早く発出しろと思っていた。

産経・FNN82・9%読売80・4%  共同通信80・4%毎日70%

共産党の支持層の90・1%も遅すぎると言っている。

  • このアンケート評価から、「国民は本音で、安倍首相に今は危険な時だ。国難に対して、指導者として強いリーダーシップの発揮をすべきだと要請している。国民全員のため、私権制限を受け入れる、強くやれ」と考えている。

■私権を主張して要請を守らない人々(現在の日本の限界)

★緊急事態宣言を出し、要請を繰り返したにも関わらず私権を主張した国民も目についた。公益を無視し他者の危険を心しない人たちがいた。

一、武漢から政府は派遣の飛行機で帰国したがコロナウイルスの検査を拒否した人。

二、東京、大阪地域で名前を公表されてもなおかつ要請を受け付けないパチンコ屋。

三、暇だから県をまたがってでもパチンコ屋に通う沢山の人たち。

移動要請を無視し帰郷し宴会に参加し、検査の結果を待たず新幹線で上京した女子大生。

五、ホステスにクラブで感染させたその後、コロナで死亡した男性。

六、大阪のライブハウスのはしごをし、集団感染をした若者達も散見された。

★一般国民は「何故罰せないのか?もっと強く強制できないのか?」と思った。

■村八分

★一方で、退院したにも関わらず、村八分のように扱う人たち、医療関係者に感謝する事もなく差別しょうとする人たち、運送関係仕事をしているからその子弟を差別しょうとする学校関係者、マスクや消毒薬、果てはトイレットペーパー買い占めに走る主婦などなど、これが今の日本の現状だ。現状は利己主義で他人の立場や公益の意識は非常に薄れている。

■マスク転売

★静岡の県会議員はマスクを転売し880万円の売り上げを上げた。マスク不足による大きな利益を得た。批判され寄付する形をとったが、こんな人間が県会議員をやっている。

★朝日新聞は4月15日 政府が配る5000万世帯ヘのマスク2枚に466億円かかると批判した。一方で朝日新聞のネットショップでマスク二枚を3300円で堂々と販売していた。そのご慌てて引っ込めたが、ネットショプとはいえ朝日新聞の姿勢がうかがわれる。恥ずかしい所業だ。あきれ果てる。

■世界の民主主義国家

★世界の民主主義国家でも、台湾はマスク購入についてIT技術を駆使してスムーズな対応をした。欧米各国は厳しく規制し、罰則も設けて対応した。幸いというか日本はなんとか感染も押さえ込もうとしているが、油断はならない。

■知事の姿勢(政府批判をする知事と力を発揮する知事)

★知事の対応も様々だった。政府の要請・学校閉鎖などにも批判のみをする知事。小池知事も都知事選を睨んで巧みに動き回っている。その中にいて、若手の大阪の吉村知事や北海道の鈴木知事などは果敢な判断をして全力で取り組んでいる。

★戦後75年これといって日本は自らの手を汚して平和を守ったことはない。日本人の多くは茹で蛙のように安閑として過ごしてきた。緊急時ですら緊張感もなく平和惚けしている。(悦司)

■メディア・政党の対応

・朝日新聞などのリベラル系左派メディアは首相の緊急事態宣言を誹謗していた。

特別措置法に私権を理由に反対した。

・左翼政党の看板政策は眼前の危機、有事の際には全く通用しない。(立憲民主党の凋落)

■世論調査の結果は次のことを突きつけている。

1、今の国家観、危機の中での政治のあり方を批判している。

2、緊急事態宣言は命令もできず、性善説に基づいた国民への要請を問題視している。

3、首相も、知事もウイルス難に直面して力強く決断し、私権制限の公益実現を求めている。

■緊急事態宣言発出に対してのメディアの反応

メディアの論調が宣言発出を遅らせた。産経・日経 前向きに評価したが、朝日、毎日 緊急事態宣言には慎重な判断が必要と強調、抑制的であれとし、読売は行き過ぎた措置にならないようにと反応した。(以上桜井よしこ氏)

★印は黒田個人としての考え方を書きました。

★次号は、中国習近平の姿勢(香港・台湾・ウイグル、世界外交など)安保と経済、インバウンド、サプライチェーン、日本の財界経営者の姿勢、コロナ後の世界などを解明したい。