脳力開発149号/理念の時代を生きる149号

脳力開発149号

中国の大外宣プロパガンダの実態

★プロバガンダとは特定の思想・世論・行動へ誘導する意図を持った行為で、情報戦、心理戦もしくは、宣伝戦、世論戦と和訳される。しばしば政治的意味を持つ。最初にプロパガンダという言葉を用いたのは一六二二年に設置されたカトリック教会の布教聖省の名称である。(ウイキュペディア)

★日本はこのプロパガンダに対して戦前も戦後もほとんど何ら手を打っていない。無策と言ってもよい。戦後、GHQの日本における諸政策に対して、唯々諾々と従ってきた日本人、メディアの姿は、改めて歴史を精査すれば嘆かわしい。

★東京裁判や南京事件などはもとより、慰安婦問題、徴用工問題もしかりである。戦後日本はほとんど中国、韓国からの反日問題に対しては殆ど反論することなく過ごしてきた。日本人の「ことを荒立てない」性向と戦後の経済至上主義が災いした。まあ、いいではないか、他の国に比べて経済復興をなし遂げてきたのだから、あえて「ことを荒立てる」ことはない。と。そしてその事が今となると世界に向かって日本に対しての多くの誤解を与えたことに繋がっている。

★この傾向は、GHQに盲従してきたメディア朝日新聞、毎日新聞、NHKなどに現れている。現在の野党の国会での姿勢に現れている。野党のなんでも反対だけで論戦もしない姿勢にはあきれる。世界は中国のコロナウイルス問題のみならず、特に香港、ウイグルなどの人権問題に対して意識の低さに辟易する。

★中国のプロパガンダは戦前から既にあったのだが、中国の米国に関してのプロパガンダに、民主党・共和党ともにやっと気づいた。今回中国の米国に対するプロパガンダの実態とその後の対応を振り返り、世界の国々のしたたかさを確認したい。

★韓国の文在寅大統領の徴用工問題に対して日本としては初めての反論に慌てふためく様をみれば、日本がプロパガンダに対して何も手を打ってかなかったかがよく分かる。冷静に理論的にきちんと対応しなくてはならないことの大事さを。

写真 中国の大プロパガンダ

大外宣とは中国が推進するグローバル戦略の文化ツールである

●中国は二〇〇九年から四五〇億人民元=七二〇〇億円(一人民元=約一六円)の巨額資金を投じて全世界で大外宣計画を推進している。これにより西側メディアとの発信力(世論をコントロールする権力)の争奪戦が始まって以来、中国の大外宣に関するニュースがあふれている。

●実例として中国の国営新華社通信北米総支社がニューヨークのタイムズ・スクエアに進駐し、ロイターやニューヨーク・タイムズ、ニューズ・コーポレーションなどの世界の著名報道機関の隣にオフィスを構えた。中国『人民日報』傘下の人民ネット(People,s Daily Online)はニューヨークのマンハッタン区のエンパイヤー・ステート・スクエア・ビルの三〇階にオフィスを借りた。

●中国の外宣は今に始まったことではなく、中国共産党が在野政治勢力であった時代から、既に外宣PRを開始しておりその主な成果こそ西側に多くいる左派記者である。また中共が政権を打ち立ててから七〇年以上磨き上げた外宣が早々に成熟した一連の戦略を形作っていることも、西側社会はわかっていなかった。

●これまで中国政府は海外メディアの紅色浸透(共産党のイデオロギー、影響力がじわじわ世界浸食する戦略)を基本的に公開していなかったが、二〇〇九年から公開した理由は二つの理由がある。一つは二〇〇八年北京オリンピンクの聖火リレーの時、チベット独立支持者たちの抗議にあったこと。二つ目は中国GDPが二〇一〇年に日本を抜き世界第二位の経済大国になったこと。

●それ以後、自信を持って全世界に中国の「壮大な偉業」の大外宣を鳴り物入りで推進し始め、米国など西側国家でほしいままに紅色浸透を開始し始めた。こうして米国メディアにも「中国人が来た」と感じさせるに至った。この一〇年米国メディア業界は中国の快進撃にほとんど無力であった。米国のメディアは合併買収によって統合され、中国はこのタイミングに低予算で買収を行った。

●米国は冷戦集結後,一時的な昏睡状態があった。二〇〇九年オバマがホワイトハウスに入ったころ政府関係者ほかからG2構想が提唱された。米国メディアは中国の外宣に対して知ってはいた。中国当局は発信力の分配は非常に不均衡だ、八〇%の情報が西側メディアに独占されていると表明していたからだ。

●中国の大外宣の目標は①中国の主張を対外的に宣伝する。②良好な国家イメージを打ち立てること。③海外の中国に対する歪曲報道に影響を与えること。④中国周辺の国際環境を改善すること。⑤外国の政策決定、施行に影響を与える。

●西側メディアは新華社がこの数年急速に拡大し世界各国に駐在記者を派遣しその数が六〇〇〇人を超えそうなことも知っていた。その雇用規模は米国のAP通信社、フランスのAFP通信社、英国ロイター通信社などの世界の老舗ブランド通信社を超えている。

●北京と関係する資本は世界のメディアを買収し米国の一〇〇年の歴史を持つ「ロサンゼルス・タイムス」も親北京の華人財団に買収された。二〇一八年一二月時点でAP通信社は新華社との事業協力の商談が起こって、米国議会議員の懸念をしめす意見書が出されている。中国は全世界で政府資本がコントロールする大外宣ネットワークをうちたてた。この目的はただ一つ。全体主義国家・中国のグローバル戦略を達成することである。

■二〇一八年米国は中国大外宣阻止を開始した

米国エリートの米中関係に対する戦略的反省

二〇一八年二月一六日米国上院議会で米国と中国の戦略的公聴会でプリンストン大学国際関係教授アーロン・フリードバーグは公聴会でこう結論づけた。「米国は過去二五年間の対中戦略は失敗した。中国政府の目的は東アジアあるいは全世界の主導的地位を米国にとって代わることである。全体的に言えば軍事、経済、政治、情報戦の能力を統合して、米国のアジアにおける地位を弱めようと画策しており、我々のパートナー国家の国力も手段として組み入れようとしている。」この公聴会の一カ月後、米国と中国との貿易戦争が勃発した。259

二〇一八年米国の反『紅色浸透』に関する重要報告

二〇一八年米中友好を数十年主張しつづけてきた「パンダ・ハガー」=親中派に向けたリポートを発表した。二〇一六年大統領選でトランプは反腐敗法案推進、新たな職業道徳規範の改革と汚職風土を取り除き、特殊な利益集団・デイープステート(影の政府・闇の政府といわれる)の米国政治への影響力を減らしていこうという考えだ。

その一、学術スパイを世間にさらす

中国の学術スパイは科学、数学などの学術分野が狙われている。例えば、教授、科学者、学生などの人間で、米国の学術界野天真爛漫さがこの問題を深刻にさせている。彼らは中国に対する情報提供がスパイになると認めない。孔子学院はFBIの重点監視目標である。262

その二、シンクタンクとKストリート・ロビー集団と中国の利権関係の暴露

近年来、シンクタンクは外国政府の資金援助を受けて外国政府のロビー機構となっている。過去数年、10あまりのワシントンのシンクタンクが中国政府から大量の資金提供を受け米国官僚にその国に有利な政策を推進させていた。(二〇一四年九月七日ニューヨーク・タイムズ)資金の大部分が欧州、中東、アジア地域からで中国もそのリストにある。民主党系のシンクタンクとOB達が造ったKストリート(ワシントンDCのメインストリート)のロビー機構が関与していた。264

●トランプ政権は二年をかけて外堀を埋め二〇一八年六月、米国高官が離職後中国のためにロビー活動をし、中国の利益代理人になっているという問題を暴露し、米国議会の下部組織である米中経済安全保障検討委員会で発表。中共の海外統戦工作の歴史的背景、目的、組織構成、中共の米国・オーストラリア・台湾に対する統戦手法および影響の分析を暴き出した。孔子学院は二〇一七年までに全世界で一四〇以上の国家に五〇〇ヶ所以上にのぼる。265

ペンス副大統領の演説

中国共産党は、米国企業、映画会社、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方、州、連邦当局者に見返りの報酬を与えたり、支配したりしています。最悪なことに、中国はアメリカの世論、2018年の選挙、そして2020年の大統領選挙につながる情勢に影響を与えようとする前例のない取り組みを始めました。(2018年10月4日演説)

●我が国の情報機関は、「中国は米国の州や地方政府、政府関係者を標的にして、連邦政府と地方政府の間のあらゆるレベルの政策を利用しようとしている。中国の政治的影響力を高めるために、貿易関税のような分裂させる問題を利用している」と述べています。

6月には、中国自身が「プロパガンダと検閲通知」と題する機密文書を回覧しました。戦略を示したのです。それには、彼らの言葉で、中国はアメリカ合衆国で「正確かつ慎重にストライキを行い、異なる国内グループを分裂させなければならない」と述べていました。

与野党は対中国問題で共通認識をした

●トランプ大統領が当選後に発表した一〇〇日計画で「ワシントンの沼をさらう」と明言したように外国エージェントによる諜報活動が報告された。そして諜報活動潰しが、米国ワーキング・スケジュールに組み込まれ一年半近くたって米国与野党はついに中国問題において共通認識に至った。

●二〇一八年十一月二十九日スタンフォード大学のフーバー研究所はリポートを発表し、中国の米国における大学、シンクタンク、メディア、華僑界、企業、科学研究などの領域への影響、浸透活動について詳細な報告をした。リポートは米国の中国研究界が中国に対していかに誤った判断をしていたか認めた。リポートが列挙する活動の例とし水面下の強制、腐敗的な行為が含まれている。留学生に対して圧力をかけ米国キャンパスにおける同級生らを監視させることなどもある。

クリントン政権以来のパンダ・ハガー派の加護を失った

●パンダ・ハガー派の一時退場で、中国が出資した孔子学院や大学内の中国研究(情報)センターなどは次々と閉鎖された。順風満帆できた紅色浸透がついに阻まれた。トランプ大統領に以前の大多数がパンダ・ハガー派で反トランプ派に属しているからトランプチームの考えることが理解できず、何の対策もできずクリントン時代から始まった中国方式、米国の利益集団を通じた圧力によるホワイトハウスの対中外交政策を変えるやり方は完全に通じなくなった。279

●二〇一八年十二月十二日米国上院四方委員会は中国スパイ問題に関する公聴会で司法省の長官補佐官は証言している。「二〇一一年から二〇一八年、九〇%の国家スパイ事件に中国は関わっている。「シナリオはシンプルで『米国企業の知財権を盗み取り、技術をコピーし、取って代わる』だ」この公聴会ではFBI高官も厳しい警告を発している。「中国スパイの活動は既に、国家と経済安全の脅威に進化している」と。280

●オバマ時代は「バンダ・ハガー派」が全面的に米国の対中関係を主導した時期であり、なおかつ、ほしいままに振る舞ってはばからないレベルに至った。284

■中国の金に踊った米国民主党・メディア

★二〇一六年の大統領選挙に際して、アメリカの主要メディア、日本のメディアもクリント優勢を伝え、トランプが大統領になることなど到底考えられない論調だった。トランプが当選したら非難轟々だった。

★このことがまさにとりわけクリントン政権からオバマ政権に続く民主党の中国寄りというよりも、米国の政界、議会、メディア、経済界、教育界、大学等々が、などが中国の金に踊ってきたことを証明することになる。

★トランプ大統領は二〇二〇年十一月の選挙を控え、敢然と公約を実施してきた。対中国への圧力である。民主党は勝ち目のない弾劾提議などもして否決され、現在大統領候補者選びが始まったばかりだ。

★サンダースかブティジェッジだか個人的に言えばどうでも言い。その理由は到底トランプに勝てるわけがない。もし仮に民主党を選んだとすれば米国は崩壊することになる。このまま中国に対しての攻撃の矛を納めるわけがない。

■中国に欺かれた米国の実態

手元にChina 2049秘密裏に遂行される「世界派遣100年戦略」マイケル・ピルズベリ2015年11月30日がある。ハドソン研究所中国戦略センター所長の著書だ。推薦の言葉として「パンダ・ハガー(親中派)」の一人だった著者が、中国の軍事戦略の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの驚くべき記録である。孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、米国のアキレス腱をいぬく方法を探しつづける極めて聡明な仮想敵国だ。我々は早急に強い行動をとらなければならない。(元CIA長官R・ジェームス・ウールジー)

■中国プロバガンダに弱い日本

★中国は米国に対してのみならず大プロパガンダを世界中に手を打ってきた。香港、台湾はもとより内モンゴル、ウイグル、チベットなどなど。勿論日本にとっては当然であろう。とりわけ日本は中国のプロバガンダが集中されたといってよい。民主主義国家であり、スパイ防止法もない日本はまさにプロパガンダに対して非常に甘い国だ。身近な例で言えば沖縄はプロパガンダの対象として最適地といえる。事実そうなっている。

★米国の実態を見るまでもない、日本は中国や韓国からみると非常にプロパガンダに対して弱い、脆弱な国だということがよく分かる。米国の中国のプロバガンダに対する実態を見ればよく分かる。日本も政界、財界はもとより、政党、労働組合、教育界、弁護士界、すべての業界に中国のプロパガンダが浸透していることは言を待たない。

★11月末に行った台湾での総統選挙もそうだった。中国のプロパガンダは凄まじいと予測できる。いま世界的な問題になっているコロナウイルの問題は、まさに中国のプロパガンダの嫌悪すべき実例といえよう。今回はここにとどめておく。一カ月後に改めてとりあげたい。

★昨日、ここまで書いた。本日20日トランプ政権は18日中国の国営メディア5社を「中国共産党のプロパガンダ(政治宣伝)機関」と認定した。認定の対象は新華社通信、中国環球電視網(CGTN)中国国際放送、英字紙チャイナ・デリーおよび同紙の傘下企業。理由は「習近平体制がこれら国営メディアを使って中国に都合の良い政治宣伝を一層積極的に展開しているためだ」と報道された。(悦司)

理念時代を生きる149号

理念は理想ではない・意志の表明だ

■企業理念は理想を求めることではない

企業理念は会社の志・社志の表明である。我が社はこういう志に生きるということの表明だ。理念探究の過程で陥るのが、理想を表現することがしばしばある。しかし、理念は理想の表現ではない。理想は耳障りがよい。誰も反論をする人はいない。しかし、その人・会社に与えられた固有の使命とはいえない。

●理想を語ることは快い。語ることであたかも自分は実行したかの、実行できるかのように錯覚する。しかし、誰もが口にするがゆえに真実味、現実感がない。企業理念は経営者が時間をかけ様々な分野の学びをへて日本的経営を土台として探究したものだ。意志の表明である。そしてその理念に添って生きることが企業経営である。

■ムラケンの経営方針熟考会

 年初の経営計画熟考会を終えて、具体的な各社の経営計画を社員とともに検討する会が始まった。1月末は沖縄の後、鯖江に向かった。ムラケンの経営方針熟考会だ。宇野社長は彦根での熟考会で、自分のおかれた肉体的、精神的な不調をあるがままに語った。表向きは糖尿病ということだ。しかし糖尿病の遠因になるのは食生活だ。一言で食生活といったとしても、どうしてそういう食生活になるかはこれまた様々な理由がある。宇野さんの場合には根底に夫婦の関係があった。宇野さん夫婦は逆境に際して、根本的に今までの問題点を二人とも認識した。

 会社の総責任者である社長は、社員その家族、お客様、協力業者、銀行、業界の人たちや諸々の人たちとの付き合いがある。すべてにうまくいくことはない。だからこそ経営トップは会社の規模に関わらず全力を使ってことに処さなくてはならない。そのことが各自のもてる脳力・能力を発揮することに繋がる。

ムラケンのみなさんと現実をしっかりと認識した。その上で現状を打開する方針を衆知を集めて検討した。一人一人が経営者として取り組むべき問題だからだ。そして新しい組織展望も熟考した。新分野にチャレンジすることを決めた。小さな会社は面白い。予期せぬ経営者としての役割を担うことになる。

■自立連帯型企業グループ

 中谷石材自立連帯企業の五社の社長たちの来期の経営方針熟考会を開催した。冒頭私の一月号の森のフォーチャから「理念の時代を生きる」の記事、逆境練機の内容についての和談から始まった。肝心なことは自社の置かれている現状をしっかりと認識することである。全社は今期も黒字である。余裕しゃくしゃくとは言わない。その点は問題はないがむしろ課題は将来だ。

逆境練機

 業種の中核である墓石業界を取り巻く状況はむしろ先行き不透明な業界だ。樹木葬とか墓じまいの話題がひっきりなしだ。三大石材の生産地として有名だった茨城県真壁、愛知県岡崎、香川県牟礼では廃業や後継者問題で揺れている。いまさら言うまでもなく外的条件は決してよくない。当然二十数年前から予想できた。自立連帯各社が自社の特長を磨いて、利益のでる体制づくりを指向してきた。業界の縮小は二十年前から想定してきた。

自立連帯型企業に変える

それに対応して各出先・営業所部門・福井、鳥取、広島、香川、岡山、津山がそれぞれ三十代だった責任者を鍛えることにした。進化経営学院(次世代型経営者養成塾)に長い人で六~七年通い、その後社長として経験を積んだ後、理念探究をつづけた人たちがいる。今年最後の理念探究をまとめる社長が二人いる。理念と経営数字・経営実務の領域を学び実践してきた。当然グループ各社は変化してきた。むしろ逆境を楽しんできた。さらに、次なる変化を折り込んだ方針が立てられた。

人の行く裏に道あり花の山

ここで将来に向かってどのように我が社を変えていくかがテーマだが、新規事業として足かけ十年目を迎える事業は完全に黒字化している。石材事業の領域でも色々手を打っている。草むしりという部門で事業として大きなビジョンを立てている。これは社員の自立と全く想像できない領域にお客様から喜ばれ感謝される道がある。人と同じことをやっていて会社が存続し続けるということはあり得ない。

逆境を楽しむ

 彼らも、ここまで来た。成長した。今年もあなたたちが思うように(理念に添った道の上で)やればよい。躊躇するな。この世間の、逆境を楽しむ過程に味わえなかった面白さが存在する。(悦司)