脳力開発120号
戦後最大級の虚報
八月理念探究実践塾で岡山、および茨城での勉強会の講義の一こまに、脳力開発の指針をベースにして、新聞・メディア報道の偏りを中心に、具体的に事例研究をした。思考方法の整備を中心にして①戦略思考と戦術思考②両面思考と片面思考③多角度思考と一方的角度④確定思考と不確定思考⑤具体思考と抽象的思考から見直してみた。
如何に新聞・メディア・テレビが偏った報道をしているか、そしてその報道に対して無防備に誘導される状況を、実践会参加者の周辺の人達にも含めて具体的に確認してもらった。参加者自身もこの課題について関心が薄い人もいたが、数年にわたって私と勉強しているので、この講義は納得度の高いものであった。
今回も、もう一度だけテレビも新聞も此処までやるのかとあまりの偏向ぶりにあきれ果てながら記すことにする。国会中継は私達夫婦でしっかりと見ていました。七月十日と七月二十五日の二度にわたる国会中継を見た上で書いています。
■朝日新聞報道がJCJ大賞に選ばれる
●二〇一七年七月十九日、日本ジャーナリスト会議は優れたジャーナリスト活動や作品に贈る今年のJCJ賞を発表し、大賞に「朝日新聞社の「森友学園」への国有地売却と「加計学園」獣医学部新設問題を巡るスクープと一連の報道」を選んだそうだ。この会は二〇〇三年にはVAWW-NETジャパン(戦争と女性への暴力日本ネットワーク)に「慰安婦問題は日本政府の国家責任と昭和天皇の有罪判決を導き出した功績」でJCJ特別賞を贈っている。
●この記事は、日本ジャーナリスト会議と言われる団体、というよりもジャーナリストと言われる種族(?)の胡散臭さを証明しいるようなものです。何度も繰り返すが朝日新聞は吉田清治の慰安婦問題の虚偽情報と三十二年振りに訂正し、謝罪し朝日新聞の木村社長の辞任はまだ記憶に残っているとおもいますが、その時、福島第一原子力発電所所長の吉田昌郎氏の記事についての虚偽も認めて謝罪している。その朝日新聞に、まだ事実が立証されてもいない森友学園だとか加計学園のスクープをJCJ大賞として評価する軽薄さに失笑する。これがジャーナリストなのか?と唖然とする。
■加計問題に関しての報道を検証する
●添付の資料を見ていただきたい。図1は既に七月号の森のフォーチャでお知らせした七月十日の前愛媛県知事・元文科省官僚加戸守行氏の参議院閉会中審査における新聞記事の取り扱いの仕方、そして図2はテレビの加戸前知事のメディアの取り扱いに関しての露出度を表している。図3は前川喜平氏の証言のおかしさに、「それはない」と笑いながら否定している加戸氏国会中継中のシーンである。図2は放送法遵守を求める視聴者の会のホームページに掲載された資料です。
●これを見ても分かることですが、新聞(朝日新聞・毎日新聞・東京新聞)はほとんど加戸守利氏の発言は新聞に載せていない。そして前川氏の発言のみを自社に都合よく抜粋してのせている。テレビはと言えば、図2のように加計問題は報道全体では8時間44分59秒あった。そのうち前川前文部大臣の発言「行政が歪められた」は2時間33分46秒。一方加戸守利氏の発言「歪められた行政が正された」は6分1秒にすぎない。中継を見ていた私は加戸守利氏の証言と前川喜平氏の証言時間は、むしろ加戸守利氏の方が長い時間であったと感じている。
●NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの放送時間の取り扱いが円グラフになっているが、見てのとおり加戸前愛媛県知事の証言はまったくと言っていいほど取り上げていない。公平を期す新聞社やテレビ・メディアが此処まで不公平で、偏向を満ちている。そしてそのテレビを見る60歳前後の主婦は見事にテレビの情報をあたかも事実であるかのごとく信じて、その上で云々というのだから、まったく日本のテレビはどうなっているのかとおもいませんか?今回改めて、NHKは民放でないからという多少の信頼感があったのだが、この実体には驚きあきれ果てる。国としての姿勢を正し、公平な報道をしないとんでもないことになる。この情報を国際放送でも流す恐れがあるわけです。
■メディアに黙殺された私の証言
加戸前愛媛県知事の国会証言を振り返ったインタビュー記事10ページ、WILL寄稿文15ページからポイント抜粋する。
●「報じない自由」で黙殺
メディアからの取材で「前川さんは、『総理は獣医学部新設を進めてほしくて加戸さんを教育再生会議の委員に指名したんだ』と言っている。どうなんですか」と訊かれても、「そんなことがあるわけないだろう」と答えてきた。しかしこれまで、私の返答部分はカットされるか、談話自体が一切報じられなかったという有り様でした。特にNHKは同じことを四度も質問し、うちの家内が「しつこいわね」と思わず口にするほどの取材姿勢だったにもかかわらず、取材者側の意図と違ったからなのか、一切私の話を報じませんでした。このようなメディアの偏向報道のおかげで、連日、テレビで長々と繰り返し報じられた前川さんの「妄想」が事実のように国民の間に広がっていった一方、私の主張は国民に知らされることすらなかった。
●全ては「安倍叩き」のため
いままで私は官僚でもあり、知事でもありましたが、私の知る限り、マスコミやメディアに勝った官僚や政治家はこれまで一人もいません。これは今回の加計問題の報道だけでなく、文科官僚として官房長を務め、十二年間、愛媛県知事を務めた上の実感です。安倍内閣の運営についても、元々、秘密保護法反対、安保法制反対、テロ等準備罪反対、と反対の嵐だった。そこへ憲法改正まで加わって安倍叩きがエスカレートしてきたところに、「加計問題」という人参がぶら下がってきた。だからみんなその人参を追いかけて、安倍叩きの材料として使えるぞと言って乗っかって来たのでしょう。
これは異常な事態です。私が当事者として話した事実は全く報じられず、当事者ではなかった前川さんが話した妄想ばかりが報じられる。メディアが一定の方向へ世論を引っ張る意図を持っている。それで私も、安倍総理の濡れ衣を晴らさなければならない、という意志を強めたのです。(言論テレビ七月二十八日放送インタビューより)
■大手マスコミが抹殺したキーマンの証言
●加計問題の構図
今度の騒動については、日本獣医師会の系列団体である、日本獣医師政治連名の北村直人委員長が書いたポンチ絵を、前川氏が色付けして、それを野党の国会議員が一生懸命印刷し、メディアが配信しているという構図なんですね。日本獣医師会にしてみれば、獣医学部を新たに作らせない、既得権を死守することが最も大切なんです。
●加計問題は北村氏がばらまいた加計氏と安倍総理が一緒にゴルフをしている写真。それで「総理と加計氏は親密で云々」とやっている。TBSなどの大手テレビ局は加戸の「か」の字も出していません。『産経新聞』とかごく一部のメディアが報じたけど、数字が違いますよ。それに映像っていうのはやはり強い。テレビだったら、主婦の方は家事しながらひょいと「総理と加計氏が親しげにゴルフをする様子も・・・・」とか見られる訳ですから。それで前川氏という純粋そうな男が証言している。こんなことで支持率が十何パーセントも下がるなんて、テレビの映像は本当に恐ろしい。世論がこんな偏ったメディアによって動かされていると思うと悲しくなります。
●文春も載せなかった
今回の加計学園の件で受けられる取材は全て受けましたが、内容はほぼ全て没にされています。私の姿がメディアほとんど見られなかったのは、みんな没にされたからです。一番酷かったのが文藝春秋。今年四月に、文藝春秋の取材で、Kという記者に一時間のインタビューを受けました。Kさんは優秀な記者で、私も信頼して話しました。
彼は「よく分かりまた。加戸さんの話で腑に落ちました」と言って帰っていったので、その後少しは記事になるのかと思ったら、全く紙面に載っていない。「安倍叩き」の材料にならないから、私の言ったことは無視されたのでしょうね。
●本来は獣医師会の内部事情も報道しないと、今回の騒動について正確には理解できないのですが、メディアは相変わらず総理を叩いて、矮小な汚職事件のように報道している。
総理は印象操作だといいましたが、その通りです。メディアは本当にうまく作っている。純白の総理を真っ黒に報道し、逆に本当に真っ黒な獣医師会には焦点が行かない様にしている。私に言わせれば、安倍総理は加計問題に関して、白さも白し、冨士の白さです。(WILL2017年10月号)
■最後に
今回、事実に基づいた資料をベースに検証してきた。加戸氏の写真も、加戸氏が国会審議で証言し、その後前川氏が証言する写真も掲載した。そして新聞記事のこの問題の取り扱いについてのデーターとこの国会証言のテレビ報道の時間も掲載した。
新聞、メディアで公平性を守っているのは、僅かに産経・読売新聞のみとも言える。テレビの民放はそれぞれ各社の都合があるから、自社に偏って報道になることはやむを得ないにしても、全く事実を無視して載せない「報道しない自由???」が存在する。
コメンテーターも食うための売名行為を恥ずかしいとも思わず続けている。それをまたテレビの視聴者もみて、それを事実であるかのごとく信じている。こういう構図が現在の報道を取り巻く現実です。今回NHKですら、偏った報道を臆面もなくしているのにはほんとうに唖然としている。国として対処すべきではないか。
こういうとまた、言論の自由が犯されているとおうむ返しの様に言うのが、メディアだ。この報道はYouTubeで見ることができる。最近の若い世代は新聞をあまり講読しなくなったという。今回の実践塾の参加者に30~40代後半に訊いてみても、自分たちの周辺もあまり新聞を読んでいない。若い世代には新聞の影響は減っているとも言える。ネットで見る方がまだ、偏向情報を目にしなくて、良いのではないかと暗澹たる気持ちを拭うことができない。(悦司)
理念探究会120号
TEKOサミット研究会
昨年からお誘いを頂いた勤務時代の先輩で、元産業能率大学教授の岡部博さんの発表をお聞きした。社員研修に関しての著書は多数あって、私自身は勤務中、参考図書として実践してきた。岡部氏は著名な大手企業を中心に75歳近くまで現役として活躍されそのご、志を同じくする同志と、年に数回、一橋大学の如水会館の一室を使って勉強会を開催されている。
今回のテーマはAI人工頭脳ついてのテーマであった。岡部さんはその基調発表が最初にあった。そしてその後、AIに関する技術的な発表が続いた。
「想定外現象の起因分析とその対応策」が基調発表であった。一、想定外現象多発の歴史的時期と起因では、1、狩猟生活から4、産業革命(工業革命)への過程を経て、6、情報社会社会における、情報システムの高度化による、ワールドワイド化した市場に合わせて、自由な情報伝達と解析の高速化が人間の可能性を急拡大したと言われる。そして現在7、原子力技術の高度化とその制御技術の不十分さが、人類未経験の核災害や核武装不可欠の防衛思考を誘起していると分析される。
二、多発する想定外現象の具体的情況分析では著書「第三の波」でアルビントフラーが述べた「メガ・トレンド」を三つキーワードとして提示され、広く社会への警告として知られているが、本格化したのは21世紀になってからである。三つのキーワードで示されているトレンド(流れ・傾向)に最近の主な具体的事実を検証すると、あまりにも当てはまる事実が多いことに驚かされる。
三、今日の「メガ・トレンド」を示す三つのキーワードと具体的事実
1、三つのキーワード
キーワード1、POWER SHIFT 社会の多くの面で力関係が変わる。格差拡大、求心力低下、分裂、解体、再編成が増える。
キーワード2、DE MASSIFCATION学 画一的大量主義や一括処理が嫌われる。個別、個人、個性的、好みがあう、選択できるなどが重視される価値が上がる。
キーワード3、QUESTION AUTHORITY それまでの権威、権限、常識、意義、規定、基準、仕組みなどが通用しなくなる。
三つのキーワードは「メガ・トレンド」が三つの方向に流れていることを言うのではない、その方向は一つの方向であり、人間が三つの側面から認識できることを示している。と言われる。
2、「メガ・トレンド」の具体的事実
①国家間、地域間、企業間、家庭間、個人間などの経済的格差
②国家の分裂、崩壊、EU/TPPからの離脱
③文明の衝突、民族・宗教間の紛争拡大
④それらに伴うテロリズム、ホピュリズムの横行
⑤地球温暖化への国家間の対応姿勢の不一致 以上岡部さんの資料より転載
このあと、今日の「メガ・トレンド」への対応のあり方についてお話しがあった。
●その後、高須氏のAIに関しての技術的な解説があった。
IoTが生み出す「急速な変化」、IoTとAI(人工頭脳)は切っても切れない関係と資料提供をしていただいた。まだこれを読み込んでいる。今回AIおよびIoTについては「知的保留」の状態しておく。次回のTOKOサミットの時までに情報収集したい。
●情報革命=考業革命
帰宅して早速、アルビントフラーの第三の波を繙いてた。私達は進化経営学院養成塾で学んできた過程で情報革命は考業革命と位置づけ、情報、人脳ソフトウエアか活用の主役化を唱えている。経済的にはハイテクの恩恵を享受し、高度な知的産物を応用する。そしてこれによって生産性向上と考業不適応大衆の失業、遊民形成、そして一方覚者の増加が起きてくる。私自身アルビントフラーの著書を熟読してきた。とりわけ彼の第三波は長期的に予測しているのみならず、時代を的確に捉えてきたと感じている。
●理念経営
経営は科学の軸に置くことができる。科学の進展は無限に続く。縦軸は科学(算盤ソロバン)である。一方横軸は人間性(道徳)私達が目指している世界はこの図で言うと理念の世界である。図5
AIは科学の軸の世界といえる。一方人間性の世界との融合点が理念経営である。その理念経営を目指す上で、今回の岡部さんの発表は、改めてアルビントフラーの唱えた「第三の波」の予測が、非常に現在を的確にとられている事実の認識の上に、絶え間のない融合点を高める工夫が必要だと感じTEKOサミットの勉強会だった。(悦司)