理念探究会98号

■理念探究会98号
◎進化経営学院西日本校終了式

今年五月から六回コースで進化経営学院西日本校を開催した。指導は竹内将清氏で
進化経営学院専務理事・西日本校校長が担当した。マネジメントゲーム(MG)体
験学習を通じた科学としての経営を学び、一方、理念を背景に経営者としての考え
方、人間観を学ぶ。将来的には個々人あるいは企業理念の探究ということにつなが
ってくる。
◎講師感想 
養成塾の目的は、新時代に適応した経営のできる次世代型経営人材を育成するこ
と。進化経営学院・西日本校としての初開講となり、五月より開始、十一月の終了
講までの、全六回の講師役を務めました。受講者は計三名。小企業の女性の常務、
自立連帯企業の女性社員、二一歳男子大学生。全員、向学心に燃えての参加でした。
MG学習では、経営数値目標の立て方、損益計算の方法、計画と実績との差異レ
ビューを繰り返しおこない、数値への科学的な眼や経営感覚を養いました。人格の
研鑽、人間学の学習では、基本テキスト「和の実学、心の自立、新しい人間の学、
修身教授禄抄」等の読解を通じ、要点の解説を加えながら、気づきを和談し、理解
を深めあいました。また、各受講生の自習として推薦書「中江藤樹、吉田松陰、上
杉鷹山、日本人の誇り」等々のポイントレビューの記録と発表にも毎回、取り組ん
でもらいました。

◎毎回の反省と発奮
反省させられる一方、心を動かされたものの一つとして、受講生からの受講感想
文があげられます。毎回手にした感想文は、文字通り講師に対する通信簿であり、
成績表でした。そこから読みとれた受講生の思いや考え、学びの度合い、疑問や課
題への問いかけ等々。率直で真摯な状況に直に触れ、捉えることができました。更
なる工夫や向上が求められた一方、講師としての私の発奮と刺激、さらには励まし
にもなり、より大きな達成感や遣り甲斐のもとともなりました。
回を重ねるたびに、より真剣な姿勢と習得への手ごたえがはっきりと見てとれ、
夫々の成長ぶりが捉えられたことは言うまでもありません。自己の思考の根幹をみ
つめ、これからの人生の糧となり、使命をも捉える重要な機会を手にしていただけ
たに違いないと確信し、切に願っています。過ぎてみますと、本当にアッという間
の6ヶ月余りでした。来期五月からの第二回目の開講の更なる飛躍を目指し、養成
塾の質実を着実に高めて参る決意です。
◎次世代型経営人材養成塾参加者感想
今回で最後の回となった次世代型経営人材養成塾。何から述べていいか分からない
くらいに学んだ事が沢山あります。要点を絞って書こうと思います。

MGを通して学んだ事(行入と理入)
私は将来、会社を経営する立場の人間な訳ですが、これまでの人生で全くと言ってい
い程にいわゆる経営学というものを学んできませんでした。まずMGと言うもの自体、
私は当然やったこともなく聞いたこともありませんでした。初めてMGを始める時、正
直見た目的に人生ゲームの様なただのゲーム、という認識でいました。そんな中、第
1回目はルールも分からず作業的にこなしていくだけでしたが、何度か数をこなしてい
く内にこれは只ならぬモノだという事に気づかされ驚かされました。
実際に養成塾ではMGというただゲームを楽しむという事ではなく、経営の基本的な仕
組みや本質というものを身体で、本能で体得するというものでした。その事を知った
上でMGをする中で人間のあらゆる『欲』というものが無意識の内に溢れ出てきてしま
っているという状態がありました。
具体的には『相手に競り勝ちたい』『材料を独占したい』『相手よりも多く販売した
い』などなど。本当に多種多様な『欲』というものがありました。しかし、これは経
営をしていく上では何一つとして必要の無いものだと痛感しました。つまり誰よりも
売ってやるという意欲とは別に、他人との比較という事は全くと言っていい程に無意
味であるという事です。
たとえ先ほど挙げた欲を達成できたとしても会社として利益が上がるのか?と言え
ば一概にはそうとは言えないという事です。一見、商品を沢山販売すると売上高は大
きくなり何だが利益が上がった様な錯覚に陥ります。しかし、結果としては利益が上
がるどころかマイナスになってしまう場合の方が多くありました。
これは何故なのか。それを必死に考え、自分なりに色々試してみましたが中々理解
に苦しみました。しかし、それは竹内先生による理論の導入によって明らかになりま
した。それは何よりも売値(P)と販売個数(Q)のバランスが全てを左右するとい
うものでした。 本当にきちんと計画を立てないとそれはうまく実現できないものな
んだということが分かりました。頭だけで理解していても実現するにはかなり難しい
ことだということです。

経営計画と実践
養成塾も後半に入りゲームを始める前に、利益から逆算し数値目標を定めるという
計画を立てました。それを実践した時、見事にその数値目標がほぼ一致する結果にな
るまでになりました。計画を立てそれに沿って実践していく事が如何に大事で、極め
て重要であるかをこの身を持って痛感しました。MGというものは考え方によってはた
だのゲームですが、ここまで経営の本質を理解できるものは他にはないと思います。
MGで学んだ事は必ず将来、経営をする上で役に立つものだと感じましたので、忘れる
事なく経営者としての人生の糧にしていきたいと思います。

人間学で学んだ事(自立人・覇道と和道)
心の自立をはじめ養成塾で扱った書物は例えるなら人間説明書の様なモノだと感じ
ました。書いてある事を読んでいると心の内の全てを見透かされている感覚になりま
す。ここで扱った書は傲慢さであったり怠惰であったり人間のありとあらゆる汚れた
部分を綺麗なものに取り戻す為の一つの手段になりうるものだと思います。私はまだ
21歳という若さですが、それでもこんなにも汚れた部分があるのだと思い知らされま
した。しかし、逆に若いからこそ汚れた部分が完全に定着する前にここで学んだ事に
着手することで迅速に修正する事が出来るのだと清々しい気持ちでもいます。

『志』について
志を持つ事が何事よりも極めて重要な事だという事が一番心に残っています。志と
は人間が生きていく上での全てのエネルギー源であり、必要不可欠なものだと理解し
ています。志が持てると生きがいや情熱や社会的貢献力に溢れ、人生が有意義になり
楽しく人生を歩んでいけると思います。それから志を持つと自然に傲慢さや、怠惰な
どの邪念の様なものは消えていくとも思います。

全ては志の有無によってその人の人生を左右する
少し要約し過ぎているかもしれませんが、その事が全てだと思います。私自身、ま
だ志というものは持っていると自覚できていません。ましてや志が明確になるという
事は物理的に目に見えるものでもなく、また、書に書いてある事を間接的に受けてい
る部分もあり、かなり難しい事の様に捉えてしまっている現状もあります。これから
思いもよらない様な大変な事に沢山遭遇するかと思いますが、この事を常に持ち続け
生きていきたいと思います。
今までだらしなかった自分をこんなにも変化させてくれたのもこの養成塾だと思っ
ています。大学生の子供の様な私が現在実務で活躍されている大人の方と一緒に同じ
ものを学んだことは今の私にとってとても必要なもので貴重な経験になりました。
この機会を与えてくれた母にこの養成塾で学んで、やっと本当の意味で理解できた
と、少し照れはありますが、きちんとありがとうと言葉で伝えたいと思います。
(三木 都)