理念探究会81

◆理念探究会81

■第十四回理念型企業快労祭・高崎
志の実現に生きる若い三人の経営者

第十四回目を迎えた。くろだワークス創業以来二十一年目を迎える。 高崎では理念制定後、活躍しているメンバーが三名いる。彼らは「創業 の町・高崎」を目指していろいろな動きをしてきた。創業道場、ニュー ビジネス発表会、一般財団法人・企業家育成財団等々などを立ち上げて 活動している。快労祭の二日目は高崎での創業・事業継承の事例発表が あった。この発表が刺激的だった。

 

●茶蔵坊(さくらんぼう)住谷 紀幸氏
喫茶、軽食提供。店主三十六歳。創業は三年前、社会人になって飲食 を中心に仕事をしてきた。働きながらも、これでいいのか、本当にやり たいことは何なのかと思い続けてきた。ただひたすら仕事に拘束されて 働き続ける生き方に疑問を感じていた。拘束されない生き方貫くには自 分でやるしかないと考えて起業を検討した。自分の考えを理解してくれる人に出会った。お茶を作っている人だった。そこでお茶に関する修行をした。そして起業した。

 

三つの定石からはずれている。
一、メインどおりから引っ込んでいること。
二、週休二日(土、日曜)
三、営業時間は朝七時三十分開店、四時三十分ラストオーダー明日の準備をして六時    には閉店。
三年間は歯を食いしばって頑張ろうと考えた。飲食業としては人一倍困難な課題を乗り越えようと決心して取り組んできた。こういう飲食業の常識
とされるルールに真反対の営業姿勢で開業した。
三年近くになって経営は軌道に乗ってきている。家族ともたっぷりと充実した生活を営んでいる。子供四人。席数は少ない二十席、メニューはさほど豊富ではないが基本的に地産地消で手がかかっている。特色は日本茶。勿論コーヒー、紅茶も豊富。私たちは朝のモーニングをいただき、お茶を飲んだ。四人テーブル四種類の日本茶を頂いた。一人一人に急須がついてしっかりとそれぞれがもつお茶の風味を味わうことができた。志・生き方の明確な店主と営業姿勢のはっきりした、商品にも特長がある店であった。

●草むしり・COM 宮本 成人氏

  全国・草むしりマイスターは八名を数えている。そのリーダーが宮本成人さんだ。彼の経歴は異色。長野生まれ。転職八回、日大では拳法部に属し、大学時代に日本一を経験。卒業後地元長野でJAに勤務するも二年で退社、以来職を転々。途中飲食関係の仕事で店舗としてトップを経験、自信に満ちて、地元で創業を意図するも、失敗。天狗の鼻をへし折られ、鬱に陥り無職の生活を一年ほど過ごす。その後、縁あって、高崎の知り合いに誘われ移住。

失業して決めたこと。

一、サラリーマンには二度と戻らない。

二、人に使われる生き方をしない。

三、生きるために働くのは止す。

四、自分の意志で人生を歩みたい。

高崎で創業道場や、事業再生財団を主宰している須田さんと出会う。「草むしりをやらないか」と言われ、そんなことで暮らしていけるのかと思いながら、草むしりに取り組む。

「しっかりと汗を流し、仕事をやった満足感を得た上に、お客様から非常に感謝され、喜ばれ、お金を頂く。」以来、専念。年間計画をたて今では二〇一六年の販売計画二〇〇〇万を一四年度で達成している。事業理念の明確化、創業道場での毎月の勉強会、年初の経営計画作成、全国各地からのマイスター修行者の受け入れ等、充実の日々を過ごしている。モラロジーの機関紙「れいろう」雑誌「致知」地元新聞にも取り上げられている。彼が最後に語った言葉は勇気を与える。

覚悟と心構え「たとえどんなに失敗や挫折したとしても、挑戦し続けることで、誰しも天職を見つけることかできる」

 

●リード・プランニング 丸山 秀行氏
企業家育成財団の主宰による事業後継者募集に応じ、事業を引き継いだ事例として丸山秀行さんが登壇した。事業は、販売促進ツール作成やウエッブ関連の仕事をしている。事業継承の後継者がいない状況で、企業家育成財団に依頼があった。
丸山氏は幼少の頃医者を目指す。父上が囲碁が好きで名前の秀行は当時、その世界で一人者であった藤原秀行氏にちなんだと言う。幼少のとき父上逝去。母上は父上の思いを引き継ぎ熱心に応援し、子供の頃から囲碁の会に参加させられたという。大学は医学の道には進まず卒業後就職、サラリーマンの道を歩む。

異業種からの転進
前職の時、企業家育成財団の募集の広告を目にして、メモをしておいた。
前職で色々思わぬことが続き退職を決意。そのとき募集があったことを思い出す。公募で事業再生プランを提案する。何人かの応募があったが、提案後採用が決定される。しかし、あくまで候補者であるに過ぎず、経営者として必要なことは全て吸収する覚悟を決めた。

創業者・指導者
創業者は求められればアドバイスするが自らは口出しをしない事を徹底されていた。指導的な役を勤めてくださった明石氏(企業家育成財団・役員)は経営のことについて知らない私に対して温かい指導をしてくださった。

・引き継いだ社員
二名の社員を引き継いだが、やはり難しい面があった。一名は昨年退職した。
自分の未熟さを反省している。

・感じたこと
三八歳で後継者公募に応募したが、もっと早く応募すればよかったと思う、 しかしこの時、機が熟したのだと思う。身内でなく、外部のものが引き継ぐ のは難しいと思う。しかし身内に事業を継承するものがいなければ、覚悟の ある外部の人間に継承することがいいのではないかとおもう。ただし私の場 合のように、経営を指導して下さった明石さんの様な役の方が必要だ。
起業したいと迷っている人がいたら「覚悟を持って踏み出せば必ずできる」 と言いたい。本気で働けば必ず応援してくれ人もいて、その人たちとつきあう内に自分が変わることができる。覚悟を決めることが肝心だ。