理念探究会73

■理念探究会73
Mランド50周年セレモニー講話

 十月二十四日、益田でMランド50周年セレモニーが開催された。昨年、十一月東京で小河会長がある会で講演される前日、中島室長ともども湯島で食事をご一緒する機会に恵まれた。そのとき、本日の会にお招きをいただいた。

■小河会長・90歳の講話
 一言で言えば「運がよかった」という言葉で始められた。創業25周年の時には式典を行おうと考えていた。しかし50周年のセレモニーが行えることになるとは思っても見なかった。それを思うと、こうして自ら50周年の式典を迎えることが出来るとは正に「運がよかった」という言葉しかない。会長は今年90歳を迎えられた。台湾元総統李登輝と同じ歳だ。

 第一に「やわらぎの像」=一無の像(一生無事故への祈念)に関してのお話だった。草柳大蔵氏の文芸春秋の記事「やわらぎの像」への想いから始まり、モータリゼーションの対極「こころ」が大事になる。
 その「こころ」を企業経営の中心に置く。「やわらぎ」と言う字は、火を三方から囲んで人間が語る姿を象徴している。この像は、第一号は新宿西公園に設置され、二号は横浜スタジアムそして三号はこのMランドに見ることか出来る。その後、設置された話は聞かない。

 第二は「美しくなりたく候」という会長が早稲田大学に通っていたころの文学部教授であった「会津八一」に惹かれ、新潟に生まれ仏教美術史の研究や俳句、短歌への造形が深い。小柄であった彼が羽織袴で廊下の真ん中を歩く姿には威厳があった
という。会津八一の言った「美しくなりたく候」という言葉は、Mランドの構内のあちこちに見ることができる。その具体的な姿が、ギャラリーフォンティーヌであり、ロビーで見られる岡本太郎のリトグラフや彫刻である。
 2011年1月会長から電話を頂いた。善子のモラの作品をフォンティーヌ展示したい、ついてはどのように展示するか相談をしたい。春先になる予定だ、一度きてもらいたいと。善子と
もども喜んだ。3月中旬を予定した。そして3月11日茨城県に住む私たちも東日本大震災の被害にあった。何とかしてその5日後Mランドを訪ねることが出来た。予定通り4月改装なっ
たフォンティーヌにパナマサンブラス諸島の人が作る手芸の技法を応用したモラの作品14点を展示することが出来た。受講生のみなさんに一時の憩いを提供しているようだ。モラの作品
は生きるエネルギーを放っている。

 第三にNO1に関するお話であった。50周年を迎え、四輪車免許受講者で数年前ついに全国トップになった。
 自動車学校がスタートした時点では、Mランドは最盛期でも受講者数は七~八番だったという。25年前には260万人だった自動車学校卒業生は今や130万人、半減している。
 NO1になるということのイメージは、具体的には「NO1のあの山に登ろう」という言葉で始まった。NO1の富士山に登ろう。富士山の天候が一番安定している7月1日の山開きの日
に合わせて、超繁忙期の最中、仕事を終えた社員ともども夜を徹して富士の近くまで移動。翌日五合目にバスで移動。当日八号目に泊まり頂上を目指す。早朝出発ご来光を迎え、登っ
た人たちは山小屋や付近の掃除をして下山する。その夜には益田に帰り着く。 会長70歳の年に始められ、三度も会長自ら登山されているという。
「あの山に登ろう」と目指す方向、目標を指し示す。目標を達成する方法は、その時々によって変えればよい。
 会長の著書「私の質実経営」の中に示され「成就の時代」という項がある。「想えば成就する時代だ」と。
 想うことがまずスタートである。今や、前述の自動車免許取得者激減の中で、毎年六千人以上の受講生が入学してくる。しかもその六割がMランドを卒業した親兄弟姉妹、知人友人のすすめでこのMランドに来る。私の妻や、私の友人の娘もその例に倣っている。自らが体験したMランドでのさまざまな体験そのものが推薦する理由であり、すなわちMランドの若者を惹きつける魅力であり、教習に携わる人たちの魅力そのものである。

 第四に「知行合一」から「知好楽」という新しい概念をお話しされた。
 若い人に「親孝行をしていますか?」と問い、続けて「朝起きたら両親に挨拶をしていますか?」と問うと「していない」という。頭ではわかっているがその実行は心もとない。
 私も進化経営学院には平成八年元旦に会長に揮毫していただいた「知行合一」の額を掲げている。知っていてもそれは必ずしも実行していることではない、と肝に銘じ受講生とも
どもとも精進している。
 「知好楽」とは一日の仕事に全力を尽くす。全力を尽くして仕事をすれば、それは苦労ではない。この仕事の中に充実感が沸いてくる。ゲストに喜んでもらった。一日しっかり仕事をしたという満足感がひしひしと沸き上がってくる。「私の質実経営」の中に「尊業而自楽」という言葉がある。「業を尊び而して自ら楽しむ」と解説されている。
 一日の仕事が終わって自宅に帰るときに「ご苦労さま」「お疲れさま」と声をかけることが多い。会長は言われる。「いや、決して疲れた訳でもない。決して苦労したわけでもない。辛
かった訳でもない」「むしろ、充実感に溢れた一日であったではないか」。ならば、「お疲れさん」「ご苦労さん」と帰る人に声をかけるより「ごきげんよう」と言おうではないか?と続
けられた。「ご機嫌よう」。正にぴったりだと会長のお話を聞きながら、隣に座っている妻と顔を見合わせた。

 最後は、自然(しぜん)と自然(じねん)という概念についてのお話だった。
 自然(しぜん)という呼称は人間と自然との対立のイメージがある。西洋文明=自然科学文明はある意味で自然の超克であり、自然を征服することに重点がある。
 人間が自然を克服して高い山や深い海、そして自然を切り拓くという概念か主流だ。
 日本はこの概念とは違う。自然(しぜん)と一体となって、人も自然の一部である。その概念を自然(じねん)と言う。自然(じねん)の時代、自然(しぜん)と一体となって生きていく生き方が大切だと言われた。
 仕事を自分の生き甲斐にできるような会社を目指したい。社員が一生懸命仕事をする。そしてゲスト(お客様)が満足してくださる。そしてその結果みなさんや地域が潤ってくる。よくな
る。そしてゆくゆくは日本が、地球がよくなっていく世界を目指したいと淡々と静かにお話しされ講演を終わられた。


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