理念探究会67

■式年遷宮を控えた伊勢神宮を訪ねる

 彦根の旅の後、今年は気になっていた式年遷宮を控えた伊勢神宮を訪ねることにした。
 伊勢に行くのはもう二十年振りに近い。最初に訪ねたのは中学校の修学旅行だったように記憶している。名古屋に十年住んだこともあって、伊勢を通り越した賢島やヤマハが経営している合歓の郷は訪ねたことはある。近鉄を利用すると名古屋から非常に近いということも今回感じたことだ。伊勢駅に降りて早速、外宮・豊受大神宮(衣食住をはじめすべての産業の守り神としてあがめられている)を目指す。案内所を覗くと希望により無料案内がお願いできるということで、北海道札幌からお参りにきていた御夫婦と一緒に案内をしていただいた。
 参拝を前に手水舎で手水の手順も教えていただき、表参道から第一の鳥居、第二期鳥居と足を運ぶ。正宮(しょうぐう)にお参りし、既に出来上がっている新しい正宮の一部が垣間見える。その後、別宮にも案内をしていただきながら、土宮、風宮、多賀宮を案内してもらいながら、何故、これら神を祭っているのかという謂われを聞く。風宮は鎌倉時代の元寇の時、神風が吹かせて日本をお守りになった神として知られている。
 御饌殿(みけでん)では毎日朝夕の二度、天照大神・豊受大神を始めとして神々に神饌(しんせん)食事を調理しお供えする場所ということだ。外宮御鎮座以来、千五百年間毎日途切れることなくこの儀式が延々と続けられてきた。このことに大きな驚きをおぼえる。
 その後、神宮と式年遷宮を分かりやすく展示している「せんぐう館」を見学する。原寸大で再現している外宮正殿を見ながら丁寧な説明を聞く。そして造営作業に合わせて脈々と引き継がれている建築様式の技術を説明している展示を見る。日本文化の脈々として伝統と継承の実態を耳にし,目にする。
 翌朝、内宮・皇大神宮(皇室のご祖神の天照大神をお祭りするお宮)をお参りする。前日予約しておいた有料ガイドの方に、一時間半にわたって案内をしていただいた。
 五十鈴川にかけられた宇治橋をわたり手水舎で清めた後、第一鳥居そして五十鈴川お手洗場へて第二鳥居から正宮を案内していただく、ガイドの方は私達に手作りの資料、写真等々を用いて、親身になって説明をしてくださる。実は昨日、外宮をお参りした後、一通り回ってはいたが、外観を見るだけにすぎず、改めて丁寧な説明を聞くことで、伊勢神宮に関しての関心が強くなり、また正直知らなかった沢山の歴史や視点を学ぶことになった。 今回の旅は私達にとって「日本人であること」「戦後の教育でまったく学んでこなかった日本の歴史」「日本人の持つ豊かな文化、伝統」等に眼を開かせてくれ、新たに日本の歴史を確認することの大切さを学んだ旅になった。
 遷宮は十月二日(内宮)十月五日(外宮)が深夜に行われるという。私達もまた遷宮のなった秋に、改めてお参りしたいと感じている。是非、みなさんにお訪ねすることそして、ガイドをお願いしてお参りすることを提案したいと思います。