現状打破の姿勢をつくる

脳力開発⑤
指針③現状打破の姿勢をつくる
現状維持の姿勢の人の特徴を3つあげます。
1 新しいことに対してあまり積極的でない。
2 目的、目標意識が低い。
3 人からの評価(人にどのように思われるか)気になる。ということです。人間は、自分で現状打破をしたいと願いながらも、結局行動を変えることも
なく、現状から脱皮できない人が多いわけです。私もそうでした。願望熱烈、意志薄弱というわけです。
原理的に考えれば、①人は誰でも新しいこと初めてのことにには 難しいと感じるものです。②失敗を恐れるものであり、 ③人からの評価を気にするものです。その感情、心の動きにとらわれていたらいつまでも変えられません。
その感情、心の動きを変える工夫が必要です脳力開発では①難しいこととやさしいと感じる事の違いは、時間、量の問題として捉えます。難しいことは時間がかかるだけだと。②失敗は悪いことではない、一回目の失敗を一歩前進と呼ぼう、そして二回目の失敗を確認と考え、マイナスのイメージを払拭することです。③人からどう思われるかを気にするわけですが、 実は人間
は他人よりも自分自身に強い関心を持っています。そして人の事も噂をしますが、現実は人の噂も75日という諺の通りです。ですからいたずらに見栄や虚栄をはらないこと。これが原理です。
 現状打破の習慣を身につける方法としては具体的には、①知ったかぶりをしない。知らない自分に向き合い正直になることです。知らないことは少しも恥ずかしい事ではありません。知らない自分を認識することがすべての出
発点になります。  
 次に②常に明るい前向きな言葉を使うことです。三禁句として無理です 、駄目です、できませんという言葉を発しない。 明元素(めいげんそ)言葉を多用することです。言葉はイメージを伴います。絶対に消極的な言葉を
口にしないということです。
中村天風も実践行動、数々の著書の中でいっている事です。 この言葉は正に黄金の言葉ということですね。私は37歳から全くと言っていいほどこの言葉を使いません。
二人の息子の続けての交通事故や入院中の院内感染、その後、問題に突き当たったときも、常に積極的に過ごしてきました。息子たちはその後それぞれ愉快な人生を過ごしています。③人と比較する生き方をしない。人間の不幸は全て他人との比較した生き方にあります。自分独自の生き方を追求することです。このことが、使命探究、理念探究へつながってきます。自分独自の天から与えられた使命に生きるということです。


アルコール依存症からの回復

1月北海道浦河からTさんにきていただいて理念探究会、次世代型経営者養成塾で3度の講話をしていただいた。氏は17歳で上京、大工の見習いになる。当時日本は高度成長期、羽田空港の拡張工事にも携わる。電気関係の技術も身につけるが、初めて飲んだお酒から今まで自分の中で潜在していた「意識=劣等感」からの脱出に火がつく。
 そして次第にアルコールに依存症するようになり傷害事件や鑑別所の体験、施設にも入る。知り合ったのは約10年近く前、浦河の障害者福祉施設「べてるの家」。1999年に一度天命舎で理念探究会参加メンバーに話をしてもらった。
 今回、有限会社べてるを退職され、独立。青天井になったこともあって、月一週間の滞在をしていただき、その間3度の講話。  空いた日は仙台、関東近辺での氏の関連ミーテイングに10回出席。アルコール依存症であるということを多くの人は隠し、また10年間たとえアルコールを飲まなくても、一度飲むと発病する。アルコールに依存したのは「弱い自分を人に見せるのが怖い、
だから自分を強く見せたい。」「いつも人の目を気にして生きている。人からどのように思われているか気になって仕方がない」「アルコールに酔ってい
る間は大きな自分でいられる。言いたいたいことも言える。自分は強い人間だと思える。」このくりかえしだ。
 氏は36歳でアルコールを断って20年。回復には「あるがままの自分=依存症である自分を認識する。」「経験者のミーテイングで今までの自分を正直に語りつづける。」「ドーント落ちるところまで落ちる。
 そうするとあとは浮き上がることができる。」「本当の親切は相談に来た人にやさしくする事だけではない。時に、厳しく突き放すことも必要だ。わがままを言って泣いている子供に、親が手をかけてると子供は自立できないのと同じことだ。」と語る。健常者と依存症の人達との境目はない。
 理念探究の過程は、正に氏のアルコール依存からの回復の過程と共通点がある。理念探究は自分自身と正直に向き合い、あるがままの自分と対面することだ。正面から向き合い何のために生きているのか。内面に向かって限りなく問い続ける。多くの人はそれができない。
 ドーント底まで落ちることなく、10年も断酒しているのだから自分は依存症ではないと思う人と同様、探究の過程でいい加減な段階、自身を甘やかし手を打つ。即ち、自分の使命に至ることなく妥協する。
 多くの人は使命を認識することなく人生を終わることになる。自分の中の依存人格から自立人格へのシフトすることが、理念探究と実践の必須条件
だ。自分の中に少しでも依存心が残っている間は、理念までの道は遠い。