理念と経営計画

理念探究会④
2008年経営計画熟考会(理念と経営計画)
年初に当たって、新年度の経営計画熟考会を開催してから、かれこれ10年余になる。年末組と新年組に別れるが私達夫婦も含めて毎回15~6名の経営者の人達が集まる。
 経営計画熟考会は経営者自らが「新年度会社をいかに経営していくか、何を実現するか」という経営者にとっての思索の場である。企業理念あるいは人生理念を制定している人間が理念を背景にして熟考する黄金の三日間といってよい。一橋大学教授の伊丹敬之氏は経営者を育てる3条件という「時論」の中で「志=理念」「思索の場」「仕事=経営」をあげているが、まさにその時といえる。(注=は黒田記す)
加うるに、理念を制定している人達がその大半を占めている訳だから、必然的に総互恵の関係の中で相互啓発、創発がなされる。
 歴史的大局から第三の波の情報化社会を視野に、世界の時代の流れ(経済、環境、政治等)を確認し、日本の世界における役割を認識する。そして理念実現への未来を軸にして年度計画に落とし込む。
 経営参加者の社員がそれぞれ経営にかかわり一年を運営する、事業計画の前提になる土台づくりである。その後、経営方針を固め、各社で事業計画におとしこみ社員の人達の年間の方針書として判断、行動の指針になる。
 経営とは企業経営という狭い概念にとらわれず、人生も理念をベースにするとまさに経営といってもよい。いかに生きるかを毎年大局から俯瞰しながら各自の理念実現への未来計画を熟考する場であり、時である。そうして具体的に行動する経営はまさに至福の実践の場でもあると言えよう。

城野宏先生との手会い

脳力開発①
恩師「城野宏」先生との出会いから始まりました。私が確か37歳でした。私が勤務していた大手電気メーカーで秋葉原担当の営業課長として活躍している時代です。東京に出てきたのが33歳。その間秋葉原ではトップセールスとして活躍していました。新進気鋭の課長でした。名古屋で10年、実に楽しい営業生活で毎日歌を歌って仕事をしていました。学生時代はグリークラブに属していましたからね。最も妻は名古屋時代は楽しい想いではない、子育てに夢中だったといいますが。
その私が、約3年近く全国トップの営業成績を上げ、オーディオメーカーとして秋葉原で一世を風靡していました。しかし、そうそう物事は順風満帆にはいかないものです。売上、利益ともトップを走り続けていた私が、自分の立てた計画を達成できないという状況に陥ったのです。何をしてもうまくいかない。そのころはストレスの吐き所は山登りでした。ただひたすら休みの旅に息子や妻に無理を言ってつきあってもらいました。
藁をも縋りたい、そんなときにであったのが城野宏先生です。昭和39年最後の戦犯として中国から引き上げてきた先生は51歳。そして私がお会いした当時は64~5歳だったと思うのです。(続く)

脳力開発の指針2

脳力開発④
指針②主体的な姿勢=転原自在
 「主体的な姿勢」について考えます。この反面が「人に頼る姿勢」といえます。人に頼る姿勢の具体的な行動を考えてみます。①うまくいかないときに人の所為にしたり、周りの所為にする。経営がうまくいかなくなってきたのは景気の悪化による。政府の施策がまずい。社員の能力が低いからだ。あの部署が悪いからだ。商品に魅力がないからだと言って、できない理由を他人や周りの所為にする。こういう習慣が身についている。こういう思考回路が出来上がっている人が沢山います。上場会社の社長でも、そういうことを平気でいう訳ですから、そういう会社は未来はないですね。
 ②不平不満をしばしば口にする。これは一見あたかも問題意識がある人の様に見えます。しかし本心はできない、上手く行かない原因をこれまた人の所為にしている典型的な行為です。従って他人や社会その他の悪口を言う人は、多くが人に頼る姿勢のゆがんだ表現と考えて差し支えありません。
③環境環境(社会、組織、家庭等)に流される。時代はドンドン変わっていきます。人に頼る姿勢の人はその変化に流され影響を受けます。そして時に悲憤慷慨して結局は人に左右される人生を送ることになります。
 実は私もそうでした。電機メーカーに勤務し秋葉原担当課長として順風満帆な営業活動をしていました。やることなすことがことごとく当たり、肩で風を切って仕事をして、自分ほど主体的な生き方をしている人間はいないと思っていました。しかしそれまで成功してきたやり方では自分でたてた計画を僅かながら達成できない時を迎えました。「一度ぐらいこういうことはあるさ」と考え、いろいろ工夫してやるのですが、それから2年、計画未達の時を過ごしました。上辺は肩肘を張っていましたが、心の中は悶々としていました。部下の所為にしたり、商品の所為にしたり、挙げ句の果ては世界の景気不況の所為にしました。自分では情けないとおもいながらも。その時に城野先生にお会いして先ず気づかされたことが「私自身が実は人に頼る姿勢だった」ということです。「うまくいかない原因をどこかで他人や環境の所為にしている自分がいた」訳です。
 以前にもお話ししましたが、「状況を変えていく原動力は他人や周囲にあるのではない。原動力は自分にある」という精神姿勢の原理です。これを「転原自在」とも表現できますが、いままでの私は「都合がいいときは自分の力、悪くなったら他人の所為(転原他在)」にしていたということです。みなさん以前の私の様に「どんなときでも、どんな苦難でも人の所為にする限り問題は解決できません」このことをしっかりと認識して以後、「転原自在」の姿勢で生きることがあなたの人生を充実したものにする根本です。

脳力開発の指針1

脳力開発③
指針1「戦略と戦術の区別をする」
日本人は非戦略的民族と言われている。先の太平洋戦争で如実にそのことが証明された。(この8月半藤一利監修のDVD8巻をみた。その中でも戦術はあっても戦略がないことがはっきりと映像化されていた) 私もまさに戦略と戦術が混同していることを私の失敗の体験から城野先生に教えられた。戦略は➀中心的、根本的な目的であり②決心覚悟(意志決定)がある③二者択一(決めたら変えない)④夢やロマンがある(人の心を惹きつける)ものである。戦術は①戦略を達成させる方法手段であり②創意工夫③自由自在、固定させない(臨機応変に変化させる)
 このことをしっかりと区別ができるかどうかによって仕事は全く成果が異なる。多くの人は戦略実現にあれこれ工夫するが、方法に窮してこれ以上できないと戦略を放棄する。そしてできないという。また戦略そのものが決心覚悟、根本的な目的として決定していないで取りくむことによって失敗するケースもある。もともと決心して取りくむ意志がなかったことに自分自身で気がついていない場合だ。願望熱烈意志薄弱の自分に気づいていない。家庭の問題、地域の問題、仕事の問題、政治の問題といろいろ先生から事例をもって教えられた。その根本は全て「戦略と戦術の混同が原因だ」った。「できないのは貴方がやらないからだ(意思決定しないからだ)」