経営進化学院とは

理念型企業経営の支援及び自立型人材の育成を通じ「和を基本とする社会」づくりに貢献する事を目的として設立されました。

脳力開発164号/理念の時代を生きる 164号

脳力開発164号 福島原発視察記・続編

先月の森のフォーチャに福島原発視察記を掲載し、感想をお願いした。何人かの方が感想を下さった。友人から以下のような感想を起点にして今月も福島原発の現状を考えてみたい。

M氏の感想

「福島原発視察記」は物の考え方や判断に関して私自身反省すべき視点が多々ありました。

「汚染水処理問題」に関してチェルノブイリ他の原発事故の怖さの先入意識もあり根拠の乏しい情緒的判断で危険性を感じていましたが、下記反省点があります。

①原発=危険の発想がすべてで、科学的視点からリスク予防の見方が全くなかった

②中国や韓国の批判は政治的発言であてにならないが、地元漁民が風評被害を心配して    反対しているのは、やはりリスクは消えていないとの見方をしていましたが、真実を知るには現場・現実・現物の3現主義が大切であることが良くわかりました。

マスコミ等の影響を受け風評が広まるのは現実問題として避けられませんが、    風評リスクを排除するには真実を見抜く力と根気良く説得することの大切さを感じました。

④それから逆境から立ち上がり前向きな発想で逞しく生きる人々の紹介は眩しく映り    感動的でした。

Y・M氏の感想

福島体験記を読ませていただきました。大半の部分が防護服無しで作業が出来るまでになっているとは驚きです。汚染水の問題は難しいですね。このまま放置も出来ませんし・・・。薄めて海に流すというのが今とれる最善の措置のようには思いますが、多分、国民の多くが抱いているものは私と同じではないでしょうか?

それが風評被害の元にもなるように思います。つまり、政府の言うことが信用できないということなのです。今までの政府のしてきたことや国会答弁等を見ますと、ごまかしと逃げばかりだからです。今の政府や官僚の人達は、保身が第一としか思えません。総理は自分の人気ばかり気にしていますし・・・。ということで、黒田さんのような誠実な方の生の体験談というのは、有難いです。ありがとうございました。

 

■福島原発・風評被害の原因はなにか

お二人の感想に共通して風評被害のことが上げられる。今回の視察を通じて私自身も過去一般的な日本人として福島を見てきたこと、そして風評被害や政府の対応、福島原発その後に関する情報について真摯に探究を続けきたとは言えない。

  • 2012年門田隆将氏の「死の渕を見た男 吉田昌男と福島第一原発の五〇〇日」を読んだ。2011年以来の福島原発の報道の中の真実の一端に触れたと思った。(私の住んでいる茨城県も東日本大震災と福島原発事故は正に被害者であった。)

朝日新聞の虚偽報道と木村社長の辞任

  • 2014年5月朝日新聞は政府事故調査の聴取に応じた「吉田調書(聴取結果書」を入手し、所員の9割りが吉田所長の命令に違反して撤退した)と報道したということに対し、誤報であるとブログで主張した。一方朝日新聞は門田隆将氏の論評に対して「訂正謝罪」の要求と「法的措置を検討する」との抗議文を複数回送付したが、9月11日、朝日新聞の木村伊量社長が記者会見を開き、「吉田調書」記事を全面撤回し謝罪し併せて慰安婦問題を撤回し、辞任した。
  • 2020年には福島原発の当時の現場は「Fukushima50」として映画がされ第一原発の所員たちの決死的な行動が描かれ多くの日本人に感動を与えた。
  • 2015年5月福島訪問

前月にも書いたが、福島出身の根本鎮郎氏は2011年からふるさと復興のためという思いから、放射能汚染を自然界の力で何とか低減できないか?竹と微生物で放射能を低減できるのではないか?というテーマで「うつくしま、福島福幸プロジェクト」をスタートさせ3月11日直後から、ふるさとの福島に毎月のように通い、竹パウダーやミネラル類、微生物等で放射能汚染された土壌の改良を施している。その彼に案内して頂き、震災後の福島の現場を一泊二日で案内していただいた。震災後帰宅困難地域に追い込まれた被害者、一方で補償があることによって起きてくる様々な問題をお聞きした。原発事故で崩壊したコミュニティーの実態、逆境から立ち上がる人達にもお会いしてきた。

  • 2021年4月10年経過した福島を訪ね、第一原発の現場を巡り処理水について野現状を報告した。

 

■福島原発・処理水の処理トリチウムの問題 

バスで巡ったあと、再び説明会場に戻り「トリチウム」の処理した現物を見ながらまとめをきいた。丁度私達がうかがった日は政府が処理水の処理について政治的決断を翌日に控えていた。13日、2年後を目処に処理水として放水する決定を政府はした。韓国中国は早速ハンタイを表明してきた。国内からも漁業関係者は放水反対を表明している。風評被害がその一番の要因だが。立憲民主党が民主党として政権にいたときに起きた福島原発水素爆発事故がおき、その対応をしてきたのが当時の政権の担当者細野豪志氏だった。

■UNSCEAR2013報告書・国連総会報告書のポイント

まず、UNSCEAR2013報告書・国連総会報告書、2011年東日本大震災後の放射線被曝レベルと影響等の調査報告を見ておく。

  • 福島第一原発から大気中に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ原発事故の約1/5(放射性セシウム)である。
  • 避難により住民の被爆線量は約1/10に軽減された。但し避難による避難関連死や精神衛生上・社会福祉上マイナスの影響もあった。
  • これまで住民と作業者に観察された最も重要な健康影響は精神衛生と社会衛生に関するものと考えられる。
  • 甲状腺被爆量はチェルノブイリ原発事故後の周辺住民よりかなり低い。
  • 子供の甲状腺がんがチェルノブイリ原発事故後に報告されたように大幅に増える可能性を考える必要はない。
  • 県民健康調査における子供の甲状腺検査について集中検診で異状発見が予測される。
  • 不妊や胎児への影響は観測されていない。白血病、乳がん、固形がんの増加は今後も考えられない。
  • 全ての遺伝的影響は予測されない。

■汚染水と処理水の違いと現状

原発事故以来、汚染水を多核除去設備ALPSで処理してタンクに保管している。この処理水を放出前にさらにALPSで二次処理し、海水で薄め放射性物資の濃度を飲料水よりも低いレベルまで引き下げるという計画が菅総理から発表された。

私達は4月12日福島原発を訪ね、現場を視察しかつトリチュウムの処理行程を見てきた。メディアもテレビも汚染水と処理水の違いを正確に伝えていない。

  • 今回も中国・韓国もそし共産党、立憲民主党など野党も声を上げて4月13日の政府決定に反対を表明している。と同時に福島の漁業関係者も反対を表明した。

図参照 写真  ALPSの構造

各国の比較

▲福島の処理水はフランスの再処理施設の年間放出量の1/14

▲福島のタンクに貯蔵されている処理水のトリチュウムの総量は1000兆ベクレル

▲フランスのラ・アーグ再処理施設で1年間で排出されるトリチュウムは年間18500兆ベクレル(福島のトリチュウム総量の約10倍以上を毎年放出している。

▲韓国の月城原発の海洋放出は17兆ベクレル、気体放出119兆ベクレル。

▲東京電力が提案する方法は仮に30年として33兆/年×30年)になるから韓国の排出量を下回る。

■メディアはいかに情報を歪曲して伝えてきたか

  • 多くのメディアや言論人は上記のような情報を積極的に伝えなかった。反対にテレビ朝日報道ステ-ションは福島で被爆の影響により甲状腺ガンが多発しているかのような情報を数年にわたり執拗に繰り返している。これに対し環境庁から異例の注意情報が発信された。しかしこれに対しても馬耳東風な対応だ。
  • テレビ朝日は2017年8月6日の特別番組予告時点で「ビキニ事件63年目の真実」フクシマの未来予想図というタイトルをつけた。批判を受け一部改変。実祭の内容も情報工作、隠蔽、陰謀、人体実験というキーワードで強調、推測やしょうげんを続け科学的根拠の裏取りもしない。レポ-タ-も感情的に訴えた。汚染や健康被害の度合いに関するデ-タ-も提示しない。
  • 処理水に対しても正しく事実を伝えない。2018年9月、朝日新聞は「東電、汚染水処理ずさん、基準値超え、指摘受けるまで未発表」、「汚染水の8割超が基準値を超えていた。東京五輪に、向けて問題を矮小化してきた。汚染水と処理水を敢えて混同している」と伝えている。
  • 報道機関は示し合わせたかのように福島の事実を伝えることを避けている。

2019年2月、復興庁が「福島の今」を伝える目的で制作したCMを全国で数多くのテレビ局から放送を拒否された。さきにあげたUNSCEAR報告書に基づいた上でCMをしかたなく当たり障りのないCMに改変。多くのテレビ局は&復興は終わらず避難者はまだいる。そうした人達に配慮したなどの理由を上げ放送拒否。最終的に改変したCMですら放送したテレビ局は3割にすぎない。

 

■10年経て野党・メディアの偽善が明らかに

先日の菅総理が海洋放出の言及に対しSNSの反応は処理不可能な汚染水をそのまま垂れ流し、海水汚染と放射能による健康被害が新たに発生すると喧伝した。いわば非科学的なデマと風説の流布をしている。発言者は共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新撰組支持者とシンパが中心だ。

この10年間野党も主要メディアも処理水問題に限らず科学的な事実を伝えることを意識的に避け、福島への誤解や誹謗中傷を許してきた。彼等は真に風評を懸念し解決を望んではいない。

  • 共産党の偽善・無視される立地自治体の声

共産党は次のように言う。多くの県民は拙速に海洋放出を望んでいない。汚染水は(実際は処理水というのが正確な表現) 放出せず当面地上保管を継続し、世界の叡知を集め処分方法を検討し、住民・国民やあらゆる関係者と協議し合意の上で決論を出すべきだ。

実は双葉町、大熊町の町長を含め$地上保管継続に反対している。

  • 漁業者が放出に反対する理由

科学的安全性を長年調べ続けた漁業者の多数にとって初歩的な常識だ。しかし県外の人は違う。風評は県外の人達の理解の問題だ。理解と協力は本来地元の人達ではない。処理水の安全性の周知は政治的な決断や責任は本来政治の仕事だ。しかし行政はこれまで地元の理解と協力ばかり求めてきた。この状況の中で地元が放出を容認すれば政治的決断に関わったと見なされ地元は活動家とそのシンパから総攻撃の矢面に立たされる。風評の自業自得と扱われ、行政も逃げていくだろう。その事を恐れている。

■科学が風評に負けるわけにはいかない。処理水の海洋放出を実行すべき

事故当時の責任者であった細野氏は原発事故直後、線量の高い水が海に流れ出るのを止めることができず世界から厳しい批判にさらされた。現在、処理水は当時とは全く比較にならない。福島の県民世論は依然として厳しいが伊澤双葉町長は「危険なものだから、そこに置いているという新たな風評被害つながる」吉田大熊町長は「また大地震があった場合、タンクがひっくりかえって流れだす被害も心配。住民帰還の足かせになる」と発言している。楢葉町の議会も処理方法の早期決定を求める決議が採択されている。

■三現主義

現場、現実、現物を見ることが問題の核心に迫ることができる。メディアも各種活動家も政治家も10年経過した福島原発は勿論、福島県を訪ね住民と話しているのかと疑う。

私達が見た構内の視察をしているか、疑わしい。広報課の人の話によるがまだ6万人程度の人しか視察していない。

福島県を訪ね、ひたすら現状に目を向け耳を傾け、福島原発で働いている人達の姿を目にすれば、2011年当時とは明らかに異なる姿を見ることができる。構内では96%の人達が一般作業着で仕事をしている。メディアも政治家も評論家も現地の情報に基づいて現在発言しているとは言えない。刻々と変化している。

  • 何故、漁業関係者が処理水(汚染水を何段階もの多核除去設備ALPSで処理している)の放出に反対するのかという理由は、10年間福島をフクシマと置き換えていじめ抜かれた結果、たとえ処理水であっても、国際機関の判断に合格していてもまた、繰り返される福島への風評被害が恐ろしいからだ。

★今回、科学的な判断に対しても感情的に非難する中国・韓国のみならず、日本のメディア、野党、活動家、進歩的文化人の姿が浮かび上がると同時に国内外にキチンと情報を伝え反論をしない政府にも大いに問題がある。戦後75年経っても平和に慣れて国民として、国家として危機感を持たない日本を来月号から改めて振りかえって見ることにする。(悦司)

 

 

理念の時代を生きる 164号

カンボジアに生きる・日本語教育に情熱を燃やす松岡秀司氏

2007年12月、妻とカンボジア・シェムリアップを訪ねた。その旅の泊まったホテルで一人の青年に会った。立ち話でカンボジアに移って間もない様子。滞在中、彼の知っている日本料理屋で会食をした。当時二八才。公務員をやめて、日本語教師としてカンボジアに暮らし始めて間もない。並行してホテルのマネージャー見習いの様なことをやっているという。その後、何か縁を感じてメールでコンタクトを続けていた。

現地の女性と結婚

翌年、2008年春の頃だったか、突然彼から電話が掛かってきた。今、日本にいる、結婚式で日本に帰って来たという。ふと気になり、「相手の人は日本人ですよね」と問うと、「カンボジアの人だ」という。カンボジアに行って間がないのに現地の人と結婚するという。驚きながら、すごい決断をする人だと見直した。その後、大学の理事長が、ホテルのオーナーをしていたこともあり、2008年9月ホテルのゼネラルマネージャーとして就任したという知らせが入った。

カンボジア再訪

2009年7月、大和信春先生たち経営進化学院で講師をしている人達とソーシアルビジネスの関連で活躍しているNPOかものはしのカンボジアの工場とベンチャー企業としてアンコール・クッキーで成功している女性経営者、そしてIKTT(クメール伝統織物研究所・森本喜久男氏)を訪ねる旅を企画した。最終日、彼の関係するアンコール大学日本語教室で大和先生に「欲と志」について話をしてもらった。

IAT研修

その年の暮れ12月三度目のシェムリアップを妻と訪ねた。彼はホテルのマネージャーとして再建に尽力し、軌道に乗せる。その様子をいろいろ聞きながら、情報統合技術を用いて問題解決IATのテキストを使って、具体的に指導する。大局把握から彼が置かれている現状を把握し、近々の将来を予測し、その上で方針を設定する。帰国後、事態は予想した厳しい方向で進む。

幾多の難関

2010年1月にはホテルの業務から決別する。しかし、ゼネラルマネージャーの職を解かれることは、収入が半減することになる。大学に専念できるとはいえ、生活の建て直しを図らなくてはならない。我が身に置き換えて考えれば、生半可なことではない。その中にあって、彼は日本語の小学生を対象にした指導方法を研究し、その優れた教材を出版することも考える。その過程で個人的に資金的支援も考えたが、会社を設立して出版をするには、構想も検討の余地があり、課題も多い。奮闘は続いた。その過程で、いよいよ彼の決心覚悟が固まったようだった。一年前と顔つきが変わっていた。

2010年12月4度目の訪問

大和先生と四人の社長に、彼のカンボジアを最初に訪ねた2003年大学卒業旅行からの今日までの概略の履歴を1時間ほど話してもらった。ある社長は「これは凄い」と彼の話に共感していた。

道を開く

同行した人達が帰国し、私達は一晩延泊した。翌日早朝、シェムリアップを去る日に、彼は律儀にも空港まで見送りに来てくれた。4年前、そして昨年来の苦境の中で、確実に成長した彼の生きる姿勢を見ることができた。これから一層たくましくこの地で生きていくだろうと確信がもてた。会ってから4年、一人の青年が日本での職を投げ打って、カンボジアに渡り、かの国の風習、文化と苦闘しながら、日本語教育を通じて貢献しようとしている。現地の女性と結婚し、子供を授かりこの地に骨を埋めようとしている。その志は高い。

「モニサラボン・ディバドン賞」を受ける

この間2009年8月には、カンボジア教育大臣よりアンロンペンでの小学校支援に対して勲章を受けている。その数日後、ノロドム・シハモニ国王より、外国人に対する最高勲章「モニサラボン・ディバドン賞」を受けているという。今回彼に、今日までの自分史をまとめるように勧めている。早速2007年カンボジアに渡ってからの苦闘の日々を綴って送ってくれた。2007年以前も引き続きまとめてくれるはずだ。今30歳半ば。こういう青年を応援せずして誰を応援するのかと同行した社長たちに伝えた。いずれ、又みなさんに詳しく伝える日が来るのを楽しみにしている。(2010年12月悦司)

あれから11年

 以後11年経った。毎年経過を報告してくれた。詳細は省くが日本からの支援者も増えた。かつカンボジアでの日本人との交流、カンボジアの学生の日本への派遣など、交流を進めている。その後18年からはミャンマーでも教材開発を行い、その効果を実証した。「今後は中東、アフリカでも教材を開発し、皆で楽しく学べる教材『世界教科書』を届けたい。そして、世界の教育水準を底上げし、世の中に貢献していきたい。と語っている。

極最近彼のメ-ルでNHKで取り上げられた番組の連絡があった。結婚して生まれたさくら・SAKURAさんももう随分大きくなった。縁のある方に見ていただきたい。

最新の彼の手紙

黒田様 こんにちは。松岡秀司です。相手の立場で考え、本質的な部分を見る様になってから、随分と気持ちの面で余裕が持てるようになりました。自分の意見を押し付けず、かつ相手の意見を尊重しながら、教材を形にしていっています。それでも迷いは出ますが、そんな時は黙って続ける、もしくは何もしない!という選択もできる様になりました。以前は、何もしない事=悪でしたが、ゼロベースで作り出す場合は、創り出す私のエネルギーも十分に高めておく必要があると気が付きました。それ以来、怠惰でない様に慎重にはなっていますが、休んだ方が良い時は休むようにしています。

現在も、ドキュメンタリーで出てきた教材の改良と、その教材を使うもう1歩手前の教材開発に着手しています。これからも正しい事は何かを考え、精進して参ります。

以下、上記の番組のURLを送らせていただきます。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2037075/?fbclid=IwAR02FuZ8MzN7lO0WlB2icYyeRvfAa8ag6o_WrH92OVaTxhGCyw10rL69CJM

査期間などの時は更新ができませんが、ウェブサイトも更新していますので、

こちらもお時間の許す時にでもご覧いただけますと嬉しいです。
https://www.sensei-gem.com/

今年は、こちらのウェブサイトをプラットフォームとしてさらに活用して、物ベースにデジタル分野の要素を取り込む研究もその幅を広げていければと、あーでもない、こーでもないと毎日考えています。デジタル分野は必要ですが、それでもそこに辿り着けない子供や保護者がいるのも事実です。その人達を見殺しにしない為にも、物ベースでの可能性をさらに追求して、よい研究にしていければと考えています。Shuji MATSUOKA(松岡秀司)


脳力開発163号/理念の時代を生きる163号

脳力開発164号・福島原発視察記・絶対必然即絶対最善 

■視察の経緯・根本鎮郎氏 

2015年3月福島原発の被災地を訪ねた。2011年3月の東日本大震災の後、福島復興に名古屋から毎月1~2週間通っている根本鎮郎氏に案内をお願いした。根本さんはふるさと復興のためという思いから、放射能汚染を自然界の力で何とか低減できないか?竹と微生物で放射能を低減できるのではないか?というテーマで「うつくしま、福島福幸プロジェクト」をスタートさせ3月11日直後から、ふるさとの福島に毎月のように通い、竹パウダーやミネラル類、微生物等で放射能汚染された土壌の改良を施している。 2011年から飯舘村の畑を借用し実験をスタートさせた経緯がある。

2021年1月初め産経旅行社の福島原発の視察ツア-の案内があり直ぐ参加を決め参加費も直ちに振り込んだが、コロナの関係で2月、3月二度とも延期になった。10年間ふるさと復興活動を続けている根本さんに原発視察のことを話して、私は先に視察をするがそのあと、知人達との福島原発視察および被災地の現在を案内していただきたいと依頼していた。

「東電福島原発事故自己調査報告」細野豪志著

訪問に当たって次の本を読んでいた。元原発事故終息担当大臣だった細野豪志著、社会学者関沼博編の「東電福島原発事故自己調査報告」サブタイトル深層証言&福島復興提言2011+10を読んで行った。細野氏は歴史法廷で罪を自白する覚悟を持って本書を書いたと帯に認めていた。章立ては第一章最前線の闘い(対話)第二章10年経った現場へ(対話)第三章福島のためにわが国が乗り越えるべき6つの課題。343ページで構成されている。是非ご一読ねがいたい。その他構内作業の実体験を書いた竜田一人氏のいちえふ・福島第一原子力発電所労働記を読んでおいた。勿論映画FUKUSSHIMA50は見ていたが。

■帰還困難区域・中間貯蔵施設現場視察 

福島第一原発視察の前日、被災地帰宅困難地域を視察した。特別に大熊町住民の一時帰宅という名目で通常は立ち入りできない中間貯蔵施設の現場です。案内は大熊町ふるさと応援隊の元理事長渡部千恵子さんにお願いした。ご自宅まで先導していただきました。立ち入り禁止区域に入りには事前の書類と中間貯蔵地域を出るときには今回の放射線量も測定されます。平均0.5から0.8マイクロシーベルトでした。一人一人の靴の裏を図ります。

中間貯蔵施設の地域には黒いフレコンパックが山のように積まれています。中間貯蔵運搬車両と長い運搬専用ベルトコンベヤーで運ばれています。10年のあいだにいろいろな設備も出来上がっています。

自宅は避難当時のままで、倉庫にあったコメは猪にシャッター破られ食い荒らされ三度も盗難にあったとお聞きしました。前回2015年視察した時も盗難にあった話を思い出します。双葉町大熊町と帰宅困難地域はつづき道の両側は立ち入り禁止でガードマンが立っていて勿論入れません。

 

中間貯蔵地域

ベルトコンべアー

渡部さんの自宅

■福島第一原子力発電所視察 

廃炉を進めて福島原発は10年の時間が経っている。現場に行く前に次のような点について説明してくれた。一号機から四号機までの状況を資料とプロジェクターを使って丁寧に説明してくれた。①港湾内外の放射性物質の濃度の変化、②汚染水と原子炉循環冷却の概念図、③汚染水対策の3つの基本方針、④汚染水発生量の低減、⑤労働環境の改善、⑥中長期ロードマップと実行計画の概要を解説してくれた。

★構内の位置関係と視察経路図  

そのあと、一人一人線量計をつけバスに乗って構内を巡回した。発電所構内は現在、96%が一般作業服による作業が可能なGゾーン、残りが防護服と全面・半面マスクで作業するエリア、Yイエローゾーン、防護服と全面マスクで作業するRレッドゾーンになっている。竜田一人氏のいちえふ・福島第一原子力発電所労働記を読むと福島第一原発に入るときは何重も厳重な防護服を着用していた当時から見ると、今は96%が一般作業服で可能になっている。

 

■一号機から四号機が一望 

構内の青い③の位置から一号機から四号機が一望できる高台で係員の人が各原子炉を丁寧に説明してくれる。10年前テレビで見た水素爆発を起こした第一号機は今も無残な姿を晒している。距離的には200米も離れていないだろう。四号機では燃料体1535本はすでに取り出し完了し、三号機も566本の燃料体も取り出し完了している。

一号機は大型カバ-の設置完了予定が2023年、燃料取り出しは2027年から二号機の燃料取り出しは2024年からの予定とのことだ。二号機が水素爆発しなかったのは壁面のパネルが一部剥がれ落ち水素ガスが外に漏れたためらしいが、新たに燃料取り扱い設備を設置したからの作業になるとのこと。今年の暮れから廃止措置終了まで30~40年かかるという長期ロードプランを聞くと気が遠くなる。

 

■現地情報・処理水の処理トリチウムの問題 

バスで巡ったあと、再び説明会場に戻り「トリチウム」の処理した現物を見ながらまとめをきいた。丁度私達がうかがった日は政府が処理水の処理について政治的決断を翌日に控えていた。13日、2年後を目処に処理水として放水する決定を政府はした。韓国中国は早速ハンタイを表明してきた。国内からも漁業関係者は放水反対を表明している。風評被害がその一番の要因だが。立憲民主党が民主党として政権にいたときに起きた福島原発水素爆発事故がおき、その対応をしてきたのが当時の政権の担当者細野豪志氏だった。

★科学が風評に負けるわけにはいかない。処理水の海洋放出を実行すべきと細野氏は著書の中で書いている。事故当時の責任者であった細野氏は原発事故直後、線量の高い水が海に流れ出るのを止めることができず世界から厳しい批判にさらされた。現在、処理水は当時とは全く比較にならない。福島の県民世論は依然として厳しいが伊澤双葉町長は「危険なものだから、そこに置いているという新たな風評被害つながる」吉田大熊町長は「また大地震があった場合、タンクがひっくりかえって流れだす被害も心配。住民帰還の足かせになる」と発言している。楢葉町の議会も処理方法の早期決定を求める決議が採択されている。

 

★セシウム吸着装置→淡水化装置→ストロンチウム処理水→多核種除去設備→多核種除去処理水(貯蔵タンク)と順次処理され、貯蔵タンク現在1050程度もあると聞いた。現在のタンク貯蔵箇所はかつて緑豊かな森であった。

保管されているタンクの水をそのまま海にだすという悪質なデマ

4月13日に政府の発表に対して前述したが早速反対した国もあったが、処理水=トリチウムの世界的な基準数値を基に処理すべき課題だ。(ここでは詳細は措く)

科学的な根拠に基づいた処理

今回の視察で感じることは、科学的な根拠に基づいた上で、国内はもとより海外についても継続して情報発信をしなくてはならない。国を挙げて冷静に情報発信をしなくてはならない。私達は今回視察することによって、現場の情報を体感した。そして今なお今後も30~40年にわたって廃炉作業に精魂を込めて働く人達の姿をみた。

 

■逆境から立ち上がる人々 

10日から11日にかけて会津から飯館村や被災地、いまだに立入禁止地域も巡った。その中で今回特筆すべきは会津電力がある。勿論その他の活動現場や人々にもあってきた。

■会津電力株式会社・理念・エネルギー革命による地域の自立 

地域内で資金を循環させ、地域自立を実現することがわたしたちの理念です。福島原発後、原発に依存しない再生可能エネルギーによる社会づくりを目指して会津地域の有志が集い2013年8月1日に設立。地域の資本と地域の資源を活用し、安全で持続可能な再生可能エネルギーの普及とその事業をおこない、多様な地域分散型エネルギーの創造と、その提供を通じて地域の経済や地域文化の自立に向けた地域社会の創造を事業とする。

会社案内にこう認めている。「国や東電を批判するだけでなく、原発を見過ごしてきた責任として、太陽光、小水力、木質バイオマス、地熱、風力等の再生可能なエネルギーを、他地域から運び込むのではなく、まず私たち自身で作り出そう」このような活動を通じて次世代の子供たちや孫たちに「社会は自分たちの手で変えることができる」という実感と共にこの地域を手渡していくと謳っている。(会社案内より引用)

 

■までい工房・美彩恋人・渡邉とみ子様 

「までい」という言葉は飯館周辺の方言で「丁寧に」とか「心を込めて」という意味だそうです。いいだけ村ではこの「までい」の精神が大切にされてきた。復興は未だ道半ばだ。災害は沢山のものを奪ったが、時間の経過の中でその経験により「得たものもある」と感じるようになった。生み出されたたくさんの人とのつながり、励まし、応援が何よりの宝だ。これからも手間を惜しまずおいしいものを皆さんに届けたい、と渡邉さんは言われる。

私達のためにお弁当を作って下さった。そしてお話しもお聞きできた。

■いいたてゆい農園・代表・長正増夫様 

根本さんが原発被災地で除染実験を行うために全村避難をしている飯館村を選び、知人の紹介で元副村長であった長正増夫さんに出会った。畑をお借りし2011年7月より実験を開始した。2012年7月から飯館村の村民有志とともに自主的な除染実験や県、国、東電に対して種々の働きかけをやってきた。飯館復興志士の会として現在までお世話になっている。

いいだて結い農園は「安全・安心」を基本理念に自然に優しい農法、身体によい食材を造るため農薬や大型機械に頼らず農村の伝統的な「結いの精神」で手間と暇を惜しまず安全安心なのものづくりを心がけている。また、放射線測定や実証栽培を福島大学や研究機関共同で行っている。

今、老齢化している自分たちにできる「えごま」づくりに積極的に取り組まれている。飯館村道の駅で販売されている、えごま油、えごま入りビスコッティ、じゅうねん(えごまの実)を商品化されている。勿論私達も喜んで求めてきました。「えごま」は福島県の放射線測定で基準をクリアしている。

 

■もーもーガーデン・人と、動物と、自然すべてが、生き生きと輝く空間を作る 

 原発被災地で飼われていた牛たちが殺処分を免れて保護さている場所。11頭の牛たちが約七町歩の荒れた田畑の草を食べ美しく保全している。牛糞効果により土地も肥沃に新しい循環農業の場として広めたいという希望をもって取り組んでいる。根本さんは2015年から支援をしている。ジャングルのような草木で荒れていた土地が草原のように美しくなり牛も自然の草をたっぷり食べ元気にのびのび生きている。恐るべき除草力といえる。http://moomowgarden.or.jp

 

■絶対必然即絶対最善

東日本大震災・福島原発が起きて10年の時間が経過した。振りかえるとあっと言うまだ。

掲題の箴言はドイツの哲学者ライプニッツの言葉だと森信三先生から教えられた。人間は如何なることが身に降りかかろうとも、その事は避けることはできない。さすればその事は即ち自分にとって必然であり同時に最善であると信ずることだと。

私も間もなく78歳を迎えるが、この箴言どおり生きてきた人達に沢山お会いした。大震災のなかでもそう生きてきた人達をみた。災害の多い日本人は長い歴史のなかで必ず立ち上がってきた。今回の福島視察の旅でも、文字どおり立ち上がる人達に出会った。会津電力を立ち上げた会長佐藤弥右衛門氏、社長山田純氏達80団体ほか各地に理念を掲げて立ち上がり困難を超えて活き活きと生きている人達がいる。

今回の案内人根本鎮郎氏は10年にわたる福島福幸プロジックトを続けている現場から立ち上がる人達に出会い支援してきた。彼は視察の後「原発事故のマイナス面だけでなくプラス面も沢山あります。人々の生き方、考え方にも多大な影響を及ぼしてますね」と語っている。正に福島原発の現場の中で体感した言葉だ。

今回も私は福島第一原発による被災地の人達、廃炉に力を尽くす東電の現場で働く人達の姿に不屈の日本人の精神と行動力を見た想いだ。森信三先生のこの箴言・絶対必然即絶対最善に納得した。

■三現主義・現場・現物・現実 

問題解決のヒントは現場にある。必ず現場に行く事だ。情報化社会でこそ大事なことは三現主義だ、机上ではなく、実際に現場で現物を観察して、現実を認識した上で問題の解決をはかる。是非若い経営者の人達に視察して貰いたい理由はここにある。

  • 今回友人の息子高校一年生が参加した。彼は小三から数年天命舎で合宿研修に参加した。今年高校に進学した。彼の感想文の一部をお見せします。★以前、津波の被害を見に行ったことがありました。その頃は、まだ僕も小さくて良く分からず「凄かった」という印象しかありませんでした。ですが、ようやくこの歳になりだんだん分かるようになってきました。三日目の福島第一原発では、東電の方々の詳しい説明を聞いて放射線のことなどが良く分かりました。タンクのなかの処理水にはビックリしましたが説明のなかでタンクの増量も難しいことを知って納得しました。根本様、今回の視察、人生で初めて原発を自分の目で見られました。本当にありがとうございました。これまでは、すごく原発が怖かったのですがこれからは、過度に怖がらず知識を身につけて正しく怖がる事が大切だと思いました。

★可能な限り日本人の一人でも多くの人に訪ねて貰いたい。若い人に行ってもらいたと切に感じている。(悦司)

 

理念の時代を生きる164号・孤高の画家田中一村を訪ねる 

奄美大島にある田中一村の美術館を再訪した。3泊4日のスケジュールだったが、その間3回美術館を訪ね彼の絵を堪能した。田中一村のことを知ったのは2010年8月21日から千葉市美術館で開催されていた「田中一村・新たなる全貌」の紹介をNHKの日曜美術館で見た。彼の絵に驚き、すぐに千葉まででかけた。

250点の作品が展示されていたが、私達の関心はいずれも彼が奄美に移住してから描いた作品が中心だった。その作品は善子が制作しているパナマサンブラス諸島の原住民がつくる原色を使った飾り布の激しさに似ていた。画集も買い求め彼の評伝なども買い求めて読んだ。生涯を知るにつけ強く私達の心を打つものがあった。そして直ぐ奄美大島の一村美術館を訪ねた。

一村の生涯

彼の生涯を簡単に振り返ってみると明治40年1908年栃木県に生まれ父は稲村の号をもつ彫刻家だった。後に一村に影響を慕えた姉喜美子は幼少のころから芸事でも突出した才能を秘めていた。一村、幼名孝は成長するにつれ絵画に非凡な才能をみせていた。稲村は孝に米村という号を与えた。

大正15年芝中を卒業後、東京美術学校日本画科(今日の東京芸術大学)に進んだ。同期入学者20名の中に東山魁夷、橋本明治、加藤栄三、山田申吾が名を連ねていた。開校以来の秀才ぞろいという評判だった。しかし、結核再発や経済的理由もあって入学してまもなくやめることになる。米村の才能を惜しんで学校側も授業料免除などの態度を示したが、自分の目指すべき画道と校風に相いれないものを感じ始めていた。

50歳から奄美

奄美にわたる経緯はここでは省くが、奄美にわたって以来、大島紬の染織工を勤めながらお金をためて作品を書くことに没頭した。数々の作品を遺しながら68歳で一度心筋梗塞になる。前年彼の全作品を一度千葉に運び作品を知人たちにみせる。その作品を再び奄美に持ち帰った一村は、奄美大島の僻村の粗末な家で夕食の準備をしている時、心不全に襲われひっそりと昭和52年1977年69歳の生涯を閉じた。幼いころは神童と言われ、長じて天才画家と仰がれたが、画壇とは相容れず長年住んだ千葉から一大決心もとに一人南海の島に渡って以来極貧の生活に耐え、孤独のうちに亜熱帯の動植物を描き続けた。画壇からは忘れ去られた異端の画家。

一村の作品

私達が知るところの日本画とは全く違うといってよい。一村が親しんだ南画や日本画の伝統を超越して南国の動植物が織りなす幻想的な美と貧しさに徹して自分の芸術に殉じた求道者とも言える激しい生き方に強く惹かれる。南国の濃密な生命力あふれる幻想的な絵画世界に目を奪われる。

ゴッホに感ずる共感

私達の好きな画家はゴッホなのだが、2006年から彼の作品をみるために三度にわたってオランダアムステルダムのゴッホ美術館はもとよりアッペンド-ルのクレーラーミュラー美術館も何度も訪ねた。そしてゴッホの生誕地からパリのモンマルトル、ゴーギャンと共に過ごしたアルルなども訪ねた。最後は彼の終焉の地オーヴェル・シュル・オワーズまで訪ねた。初めて作品を見たときそのゴッホとのある種の共通点を感じた。そして田中一村の生涯を知るにつけ益々私達に一村の生き方に魅せられた。

MOLAの作品

善子は前回、奄美の田中一村を訪ねてから、南国の森をテーマにMOLAの作品を数点創作した。タヒチや沖縄の南の国の植物にはエネルギーが強い。今回も一村居住跡地で俵さんという方に出会い親しくなった。継ぎなる作品を期待している。(悦司)

 

理念制定式 

 理念制定式を今年も開催した。昨年に続いて二名の経営者が誕生した。今日に至るにはそれぞれの理由があるが経営者としてのキャリアを積んだ上でそれぞれ人生理念に出会えたことは、支援した私の喜びである。式には若手経営者8名および彼等二人を支援し続けてくれたN社の社長達が参加してくれた。

N社は企業理念を制定して17年経過している。自立連帯経営を行い7社の社長を誕生させた。そのうち彼等から4名が人生理念探究に到達した。この事は本体に企業理念が存在することの効果だ。

理念制定式の後、8名のコロナに遭遇した昨年一年間の快労報告会を行った。年齢37歳から最長60歳。一人一人が自社および自身の理念に添った経営の実践を語ってくれた。困難をものともせずそれを快労にかえる体験は誠に痛快至極だ。

最後に大和先生から経営の基本と魔の三段落ちという講話をしていただいた。

経営の基本と魔の三段落ち

理念のある経営と、理念不在の結果疑似理念がはびこり疑似理念がもたらす弊害を魔の三段落ちといい、以下のプロセスで企業が陥る背信体質に至る、というお話しだった。

  • 疑似理念   利益本位 → 利己主義 → 背信体質
  • 理念企業   理念本位 → 公益志向 → 社会の宝

脳力開発162号/理念の時代を生きる162号

脳力開発162号・日本人はゆで蛙になる 

世界のニュースを日本人は何も知らない  

3月の理念実践会で谷本真由美氏の本を取り上げてみました。参加者は各自ポイントレビューし和談しました。著者は現在ロンドン在住一児の母。元国連職員。1975年、神奈川県生まれ。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。日頃海外に対してほぼ無関心に近い日本人に対しての警告がかかれている。

■はじめに

一、日本は島国であるがゆえに、多民族の情報の流入が限られる国でした。しかし現代は、通信技術やさまざまな科学技術の発達し、インターネットを介しては「世界はひとつ」とも言われる時代です。日本は、他国との情報の往来にはいつまでも透明の障壁が存在しています。それはなぜでしょうか。P4

二、ひとつは、日本のメディアが非常に閉鎖的であるということ。もうひとつは、そもそも日本人は海外のニュースに興味を持っていないということです。事実を直視せず重要なことを見逃している日本人は、ぬるま湯のゆでガエルです。たくさんの選択肢を失い、膨大な損失に苦しめられることになるのは目に見えています。世界のニュースにしっかりと目を向けて一人ひとりが意識を変えていくことが大切です。P5

 

 

■なぜ世界のニュースを知らないのか  

  • 日本の「トップニュース」に外国人は驚いている

一、外国人あるいは海外滞在人歴の長い日本人にとって日本で驚くことのひとつが、テレビや新聞で報道されるニュースがずいぶん違うことです。日本では、国際的なニュースはマイナー扱いで、国内の日頃の生活にかかわることや、ゴシップ的なことでも大きくニュースに取り上げられている。海外ではクオリティペーパーのトップニュースには国内外の政治経済のトピックが多く、日本のようにスポーツ選手や芸能人の話題など一切登場しません。

  • 「偏った情報」ばかりなのは誰のせいか

二、日本では大手一流新聞であっても報道される情報は国内のものだけになるなど偏っています。なぜそうなるのか、読者や視聴者である日本人が求めているからです。ではなぜ日本人が求める情報はこれほど偏ってしまうのでしょうか。

日本の国内市場がある程度大きいということ。国内市場だけで食べていけるので海外のことを知らなくても困りません。

日本は隔離された島国です。外国人はほとんどいません。海外の情勢など無関係、興味を持つわけがありません。

③日本人は「長いものに巻かれろ」体質の人が多く、自分の人生にシビアな目をもって向き合わず、危機感を抱くことがない。受け身の日本人には日本経済が置かれている状況にも無関心で、楽観的な意識を持っている人が多いのです。実はこれが一番憂慮すべきことかもしれません。

  • 外国人にとって常識的なことを日本人は知らない

三、海外では常識的に知られていることでも、日本人が知らないということが多々あります。

①ひとつ目に、日本が海外でどのように受け止められているか、どのような評価なのか、日本人は知りません。すでに経済成長が終わり、世界でも最も早く高齢化と少子化という問題に直面する大変厳しい状況に置かれた先進国である、と世界では見られています。

②ふたつ目は、日本人は「欧米」という単語を使いたがり、アメリカと欧州をいっしょくたにして物事を考えがちですが、実際は国によって大きく異なるということも、日本以外の先進国では常識的なことですが、日本人は知らない。

③三つ目は、欧州や北米で一般大衆の権利を守るポピュリストが支持を得ている理由です。フランスは大変な階級社会での格差の実情など何も知らず、上辺だけのイメージに捉われて黄色いベスト運動や移民問題などの事実を把握していない。

■世界の政治を日本人は何も知らない  

  • 所得格差が激しくなる一方のアメリカ

一、ホワイトカラーに要求されるスキルがどんどん専門的かつ高度化し、高い報酬を得られる仕事は金融やITなど専門性が高い業務に絞られつつあります。一方、かつては終身雇用を提供していたような製造業や事務職の仕事が激減してしまったり、海外に業務を委託したりするようになって以来、安定した中流層の仕事は減る一方なのです。P55

  • アメリカ人のほとんどが貧困層という現実

二、25%のアメリカ人は保守派で、先進的な改革派は8%に過ぎず、残りの三分の二はどの政治的信条にも属さない人々です。その人々が、日々の生活や過激な政治的主張による国の分断に疲れ果てているといいます。全体の80%はポリコレ(人種や差別、民族などによる偏見や差別を防ぐ政治的正しさという概念)に反対です

■世界の「常識」を日本人は何も知らない 

  • アメリカに対抗したいEU―一その顛末は

一、EUは20世紀末になると加盟国の国籍保持者であれば域内のいずれにおける労働お

よび居住も認められるようになりました。アメリカに対抗できるように経済を活発化

させようと目論んだのです。結果はイギリスやドイツなどの豊かな国に人が集まって

しまい、貧しい国が過疎化するという状況に陥ってしまいました。もともと文化も経

済レベルも異なる、完全な異国の集合であった欧州で、連邦政府制度のようなことを

やるのは無理があったのです。89

  • 難民騒ぎで崩壊寸前!無責任過ぎるドイツ
  • 移動と居住の自由が保証されている欧州域内に難民が押し寄せるようになりました。ドイツが見栄を張ってわが国は誰でも受け入れますと言ってしまった。EU統合でさんざん儲けたうえに、ギリシャの通貨危機も解決していないのに勝手に難民大量受け入れを決めてしまい、挙句、自分のところでは全部無理だから他の国も面倒をみろ、と一方的に要求を押しつける態度は傲慢なドイツそのものです。92
  • ドイツのこういう無責任さと傲慢さは周辺国を激怒させただけに過ぎません。もともと仲が悪かった国々が集まったEUは、ライバルであるアメリカにも対抗出来ず、ジャイアン状態のドイツが好き勝手やってしまったので崩壊寸前。一足先に抜け出そうとするイギリスのような国も出る有様です。93

■世界の「社会状況」を日本人は何も知らない 

  • 多文化主義を否定するようになった欧州

シリアの戦闘が激化するにしたがい、欧州にはたくさんの難民が押し寄せるようになり、

それと前後して顕著になってきたのが、宗教や人種の多様性に疑問を抱く流れです。リベラルで穏健派と見られていた国でさえ、そのような懐疑的な考え方をかなり強めている。112

二、ヨーロッパの国々は文化基盤が異なる移民をこれ以上受け入れたくないのです。政治的

には正しくないので口には出しませんが、これが本音です。チェコやハンガリーなどの

東欧諸国は「自分の国が外国みたいになってしまうのは困る。ここはヨーロッパだ。キ

リスト教徒だけを受け入れる」と言い切っています。114

  • 男女別の講義をしろという圧力に悩むイギリスの国立大学

一、ドイツ以上にリベラルで、自由主義を愛するイギリスも価値観の衝突に頭を抱えてきま

した。イギリスの国立大学では、保守派のイスラム教徒が男女別講義を求めることが、

男女差別と信教の自由をめぐって議論になっています。男女同権や差別禁止は国の根

幹である民主主義に沿った原理原則であり、信教の自由や表現の自由を盾にひっくり

返すような要求をされるのは困る、と考える人が大半です。116

  • 過激なイスラム教徒に乗っ取られたイギリスの公立小学校

一、イギリスでは市内の公立学校でイスラム過激化思想を広めるために、様々な陰謀が企て   られているという密告を受け、教育省や元テロ長官が調査に乗り出すと事件が起きました。二十一校に監査が入った結果、そのいくつかがイスラム教に極度に偏った教育を施しているなどの問題が発覚したのです。この件で中央政府は「公立学校ではイギリス的価値を教育するべき」という基本方針を強調しました。118

  • ニカブ着用問題で揺れる欧州

一、フランスでは2010年に公の場で顔をほぼ完全に覆い隠す装束の着用を禁止しました。一部のイスラム教の女性が着用する、目だけを出して顔や全身を布で覆う「ニカブ」

という衣装などがそれに該当します。国連は、フランスのニカブ禁止令は女性が信教の

自由を行使するための人権を侵害しているという決定を下しましたが、ニカブ禁止令は現在も有効ですが、テロや女性の人権をどう定義するべきかという議論で揺れる欧州各国には頭の痛い問題です121

世界の「教養」を日本人は何も知らない 

  • 日本「パスポートの自由度」世界一

一、そもそも国の政情も治安も安定していて、かつ一九八ヵ国(二〇一九年七月現在)も

の国にビザ不要で渡航できる日本国籍を捨ててまで、ほかの国籍に変えるメリットは

大きくないはずです。ちなみにイギリスのコンサルティング会社「ヘンリー&パート

ナーズ」が発表している、ビザ不要で渡航できる国や地域の数で

をはかるランキングでは、二〇一八年と二〇一九年の二年連続で日本のパスポー

トが堂々の一位。つまり日本のパスポートは世界最強ということです。P169

  • 幸福を決めるのは、お金でなく仕事のうえでの自己決定権

一、オックスフォード式の心理的幸福感を測る質問を用い「所得」「学歴」「自己決定」「健康」「人間関係」の五つがいかに幸福感との相関性が強いかについて分析を行いました。その結果、人生の幸福度を決めるのは学歴や資産ではなく「自己決定権があるかどうか」という驚くべき結論が導かれたのです。この自己決定権というのは、つまり自分でさまざまな物事をきめることができるということです。P186

■世界の「国民性」を日本人は何も知らない 

  • アメリカ人、実は……信仰心がとても強い

一、日本では普段の生活でも宗教を意識することはほとんどない無神論者が大多数でしょ

うが、アメリカの田舎や保守的な地域では宗教がしっかり根付いています。これは田

舎のほうだけではなく都会、リベラルな人々にさえも大きく影響しています。p194

二、欧州では、たとえ保守的な国であっても信仰心が薄れている人が多く、欧州の西側、

例えばスコットランドでは倒産してしまう教会が続出しているほどです。p196

  • 欧州人、実は……読み書き計算さえヤバイ

一、日本の場合は初等教育から漢字の書き取りや算数の計算をきちんとやるので、字が読めない、九九ができない人はかなり稀です。ほかの国の場合、先進国であっても格差がすさまじく、こうした基礎的な学力が身についていない人が大勢います。p199

二、日本は大学進学が最も容易な国で、54.7%という進学率は世界最高の割合といえます。学費が北米やイギリスよりはるかに安いのがその理由です。アメリカの多くの若者は大学卒業時に一千万円以上の学資ローン、つまり借金を抱えた状態となります。p202

 

理念実践会

理念実践会「世界のニュースを日本人は何も知らない」の感想  

  • 「世界のニュースを日本人は何も知らない」のポイントレビュー輪読・和談で感じたことは、第一に昨今のネット普及による情報が蔓延している社会でも、この本に書かれているような内容は自分で求めないと入ってこないということでした。日本人は体質として受け身の部分があるので、何もしなくても入ってくる情報に偏らないで、自らが知識を求める姿勢を持つことの重要性を感じました。

情報についても、その情報をどのように判断するかという力を養うことも、これからの時代には特に必要になっている。そういった意味では移民問題について和談をし、そこに至るまでの経緯や現在欧州で起こっている問題は「自業自得」だという見方を学べた。一つの問題を見る時には、その問題だけを見るのではなく、そこに至るまでの時代背景や過程を知ることが大事だと改めて思いました。

  • アメリカや中国・韓国に対しては少なからず関心があったが、その他の海外についてはほとんど意識をしていなかった。他国から日本がどう見られているか、どのように思われているかなどは考えもしなかった。アフリカは資源が多く豊かな国であるはずなのに、植民地化されていた歴史により海外企業や利得権利者に独占されている事実があるという。

日本も敗戦国としてGHQの戦後教育や朝日を筆頭とするマスメディアによってコントロールされてきた過去があるが、危機感を抱くことがなく、他国の都合の良いように操られてきた楽観的な現実の日本であることも自覚しなければならない。F氏

  • 今回の『世界のニュースを日本人は何もしらない』は、すべてをそのまま鵜呑みにはできませんが、それでも海外、外国人から日本や日本人がどう見られているかという事や、普段はあまり知ることがない、ヨーロッパの国の国民性などが垣間見ることが出来た。世界を相手にするには、我々は他の国の事をあまり知らないし、日本人として足りない部分や欠けている部分がある。外国やそこに住む人たちの国民性や特性を知って対応することが大切だ。
  • 著者は世界の国々の情勢が刻々と変化しているのに、自国の日本では何も知らずにのほほんと過ごしている、その様なことではいつか日本がそのことに対応できない国になってしまう、取り残されてしまう、そのことを憂いている。世界の状況をあまりつかみ切れていないという状況はある。先日まで中国が世界中にその影響力を及ぼそうとしているということを知らなかった。正確な情報を掴むということは、必須であると感じた。と同時にあらためて、自分たち日本のことも世界に発信されていないのではないかと感じました。
  • 「JAPAN Forward」、「世界のニュースを日本人は何も知らない」を学ぶ中では、我々は改めて正しい歴史認識を身につけ、それをきちんと伝えていく必要があることを、何が本当に正しいのかを自ら判断できる力が必要であることも。

東日本大震災以降、「日本人は素晴らしい」と言った報道を見る機会が増え、そのことにより「日本とはいったいどういった国なのか」と世論の関心が高まっているのも事実です。そのような中、戦後の教育で教わってきた日本、日本人を見直す機会も増え、良い方向へ向かい始めていると感じていました。著書の中で、「日本は素晴らしい」とだけ感じていると、「ただのゆでガエルになってしまう」と警告されており、もっと広い視野で物事を判断する必要があり、世界の情勢にも関心を持つ必要があると感じました。

理念の時代を生きる162号

日本を貶めるフェイクニュースを論破する

この本の中で、第一話から第十三話まで海外の日本に対するフェイクニュースを取り上げいる。その中の一部を今回記してみたい。海外はかくもこのように日本に関する情報を流している。これらの誤報に対して丁寧に、真実を伝えている。ここでは省くが、これらの誤報に日本も外務省も今までは反論もしてこなかった。

アメリカを代表する「ニューヨーク・タイムズ」、「ワシントン・ポスト」などの一部有力メディアは反日メディアと評されるほどネガディブ、偏った日本報道を繰り返してきた。日本のメディアは上記のアメリカメディアの引用が多い。日本で一番古くからの世界に向けて発信してきたJapan Todayジャパン・トゥディは誤解を垂れ流す傾向すらあったということです。改めて見直してみます。

■靖国神社を貶めるわけ  

  • 英国の高級紙「タイムズ」紙が報じた靖国のニュースの記事の誤り。長年日本特派員を務めるリチャード・ロイド・パリー記者の記事の見出し「英軍ラクビーチームが日本の戦争犯罪者のための神社を訪れる」と主張。2019年9月18日張。
  • 在日英国大使館のエマ・ヒッキンボサム紙は「タイムズ」の主張を明確に否定した。「英国大使はこれまで神社を訪問しないように指示したことはありません。縁国は日本の伝統と文化を尊重します。私達はラグビーワールドカップのために訪日する英国人観光客が神社を含む日本の文化の多様な面に触れることを期待しています。
  • 「タイムズ」の記事は靖国神社が「ジンゴイズム(自国民族優越主義)と嘘の神社であり、日本の植民地支配を経験した韓国人と中国人に戦慄を与える攻撃的なナショナリズムの倍陽気である」と述べている。p40

■「令和」の意味を曲解する欧米メディア  

  • CNNテレビは「『令和』は権威主義的な意味にも受け取られている。命名が「日本政治の右傾化を反映している」というテンプル大学ジャパン・アジア研究学科ジェフ・キングストン教授のコメントを報じている。「和」という漢字が選ばれていことは第二次大戦時の元号「昭和」を想起させ「日本の戦時中の過去をより前向きにとらえようとする安倍首相の意図にそったものかしれない」と指摘。
  • 英BBC放送も令和の「令」が「命令する」という意味があると伝え、米国のインターネットメディア、デイリー・ビーストに至っては「日本は新しい時代を迎えたが、安倍政権のもとでは未来は暗い」などと伝えている。
  • 『ニューヨーク・タイムズ』は天皇陛下の即位礼について、ユニークな文化や伝統をたいせつにしようとする日本を笑い、欧米よりも劣っているかのような報道をしている。95
  • 国内の英語メディア、ジャパンタイムズやジャパン・トゥディの英文記事は、日本の文化を貶める英文記事を盛りだくさん記載している。「島国根性」「外国人嫌い」「性差別」「封建的」といった決まり文句や、それよりも酷い事を日本人の筆者が寄稿している。日本文化を貶める発信は日本国民を侮辱し、ヨーロッパの白人文化を逆に高めている。136

 

「JAPAN Forward」のビジョン・2017年6月 

  • 英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」を運営し英語を話す人々に政治・経済・文化・社会などの様々な分野で、等身大の日本の姿や日本の多様な価値観・日本企業・団体・個人による国際活動などを積極的に発信します。
  • 世界にはびこる日本と日本人に対する誤解や偏見を払拭し日本の現在(今)を冷静かつ前向きにそして多元的に伝えることで日本への関心を高め、世界と日本をつなぐ新しいメディアを目指します。
  • 「JAPAN Forward」(ジャパンフォワード)は、良識ある日本の声、等身大の日本の姿を世界に届けるために、産経新聞社の支援を得て創設した新しいインターネットの英語ニュース・オピニオンサイトです。世界が大きく揺れ動く中、日本での主要な出来事や論点、課題、歴史、文化に至るまで、「素顔の日本」を多角的にわかりやすく伝え、日本と日本人への理解を深めていただくことが設立の目的です。

 

JAPAN Todayのビジョン2000年9月刊行 

  • 日本にある数少ない英字メディアとして、一般ニュースから芸能ニュースまでをカバーし、日本国内のみならず、海外に住む多くの読者に日々利用されている。英字ニュースソースとして海外で高い認知度を誇るJAPAN Todayは、国内外の人々に「日本の今」を伝えることをその報道使命としております。
  • しかし、一方で設立者(クリス・ペトロス氏)は以下のように認めている。記事の情報元として週刊実話」「アサヒ芸能」「週刊大衆などの実話誌から多くを引用しており、コメント欄は「あまりにも多くの読者が日本を攻撃するためにそれを使用」と設立者のクリス・ベトロスが認めている通り、外国人による差別的なコメントで溢れている。(ウイキペディアより)

脳力開発161号/理念の時代を生きる161号

脳力開発161号

死生論   曽野綾子

二月理念実践会で「死生論」を取り上げた。若い経営者たちは輪読・和談では自分の人生をどういった心構えで送るかということ、理念に通じる部分が多いと感じたようだ。読めば納得することばかりで、一つ一つを自分に照らし合わせてみると、まだまだ自分の未熟なことも自覚でき、学びや実践の継続を改めて意識することができた一冊であった、と感想に述べている。

「死生論」の中のとりわけ心に響く箴言を記しておきます。今の言葉だけが先走りする軽佻浮薄な世間を改めて見直してみるのに最適な本でした。(悦司)

■人間の弱さといとおしさ

  1. 昭和と平成が与えてくれたもの

日本人は、個々の道徳性や哲学の上に生きるのではなく、世間の「評判を評価して」生きる面が強い様に思う。誰しも自分の仕事を高く評価してほしい、という気分はあるが、人間は死ぬまでに、誰に知られなかろうが、本来果たすべきだった任務を果たして死ぬという大きな使命がある筈だ。p70

  1. 受けるよりは与える方が幸いである

最近の若い人は「受けるのが権利」というふうにしか考えない。与えたら損になると思っている。同様に年寄りにも強欲な人が出てきて、親戚や社会からもらって当然という顔をする人もいる。他人から世話を受けても、感謝を忘れなければ、相手に満足や嬉しさを贈ると言う形で与えている。それが成熟した人間の姿勢だと思う。p74

■「不便さ」の効用

過剰サービスは精神の発達を妨げる

  1. 便利さに馴れると、子供たちの知能は伸びないし、大人はぼんやりとした創造性のない人格にしかならない。人間には現在ないことを予測する力が要る。予測は主に、どのような悪いことが起きるかを空想できる力である。「皆いい人」などということを信じる教育をしていたら、停電や断水も防げず、交通手段や通信などの安全も確保できない。p83
  2. 災害の時にどこに逃げたらいいかは、土地の知識と動物的な本能との相乗的な結果でわかる。その才能を発揮しないような過剰サービスをすることが、社会にいいことだという発想を私は取らない。若い人の精神を育てるには大きな毒害になる。p84

貧しさが培った日本人の心理

  1. 日本の近代を作ってきた要素の中には、貧しかった日本の歴史がある。与えられていない時ほど、人間は奮起し工夫する。しかし、文句のないほど与えられていれば、誰だって努力しないのは当然だ。p85
  2. 日本でも最近、貧しさはひたすら無意味な悪ということになった。しかしそうでもないだろう。富を求めるのはいいが、それが与えられなかった時には、貧しさの意味を把握して生きるのが、むしろほんとうに豊かな人の暮らしだ。p87

大切なものは「当たり前」の中に

  1. 一人の人間が、ある土地に生まれ育ち、所属する国家の言葉で、読み、書き、話すことができるかどうかということは、重大な問題だ。これほど恵まれている日本なのに日本語で十分に自分の思いを告げたり、書いた文章で状況を連絡したりすることに自信のない人が現代にはたくさんいる。96
  2. 日々家族や身近な知人が健康に穏やかに暮らせることは偉大なことなのだ。人を愛する、ということは、身近な存在から愛することである。だから、途上国援助も大切だが、順序としては、家族や友人から幸福にすることなのだ96

■善良で最悪な社会

乞食は何と呼べばよいのか

  1. 今の日本では、すぐルールを作って、この言葉は新聞では許されない、という形の排除を行う。マスコミの世界は表現の自由よりも、規則が好きなところなのである。私たちは現世に存在するあらゆるものを、自由に表現できなければならない。侮辱するためでも、差別するためでもなく、現実を見極めて、そこからよりよき方角に出発する智恵を持ち寄るためであろう。p123

人生は小さな戦いの連続である

  1. 人生は小さな戦いの連続なのである。表現の自由がもし許されているならば、大抵のことを口にできる自由も残さなければいけない。その場合も、常識の範囲内、個性として許されるものでなければならない。それに対して女性も、年齢や、態度や、言葉で相手に警告を発することはできる。p139

■どこまでが「ひとごと」か

実利主義者の方が信用できる

  1. トランプ米大統領について、日本のマスコミは、殆ど無駄な推測をしてきた。トランプという人は大統領になっても軽薄な成金趣味だが、ソロバンを弾く能力はある。軽薄な人道主義を唱えるアメリカのインテリアやマスコミ人より、私はずっと信用している。p153

自己犠牲はきれいごとでは済まない

  1. 人を救うという事は、一時の言葉だけで済むことではない。本当は二膳食べたいときに、一膳しか与えられていないご飯を、見ず知らずの人に半膳ゆずれるか、ということなのだ。p154
  2. 私たちは自分の生涯を大切にしなさい、と教わる。しかし皮肉なことに、生涯を捨てる覚悟をしないと、生涯に一つの事業も完成しないことがある。昔はそのような捨て身のお手本がたくさんあった。今は自己犠牲もしない方がいいという。p156

■危機に学ぶ

本能の指令をどう鍛えるか

  1. このごろの若者たちは、何事によらず、マニュアルとか、上からの指令がないと動けないしい。都庁に新しく勤め始めた青年たちの代表が、小池百合子知事の言葉をオウムのようにまねて「安心と安全」を目ざすというような挨拶をしていて興ざめだった。安心と安全は組織としては大切な心構えだが、それは年寄りの精神的姿勢である。P211
  2. 船が沈みそうになると、鼠が船外に逃げ出す、という話は嘘か本当か見たことはないが、泳げない私でもとりあえず甲板に出る。セウォル号の場合、先生が生徒に船室に集まるように言ったからだというが、緊急の場合は、「先生の命令になど従うな」と私なら子供に教えておく。P212

「平和な日常」の貴重さを思う

  1. 平和も反戦も、デモや署名活動やシュプレヒコールで手にできるものではない。人間は、食べられて、大して暑くも寒くもなく眠れて、子供を安全に学校へ送ることができ、日常生活で誰かに襲われるようなこともなく暮らせれば、あまり闘争的な気質も持たないものである。人間は、いい意味で怠け者だと思っている。P224

■職業に適った年齢

順調を羨むことはない

  1. 貧乏も、病気も、家庭の不幸も、天災も、すべてその人の資質を伸ばすのに役に立つ。経済的に安定した平和な家庭で、穏やかに成長することの方がいいに決まっているが、必ずしも順調を羨むこともない。P242

学校なんていかなくていい

  1. 新学期になると、子供の自殺者が出るという。学校は、私のような歪んだ心理の子供にとっては、刑務所と同じ、拘禁される場所である。「学校なんかいかなくていいんだよ」とその時、一言いってくれる大人が周囲にいたら、子供たちは決して追いつめられて自殺するような気分にならなくて済むだろう。P245

世の中を動かしているのは二番以下の人たち

  1. 「一番」は一人しかいない。残る二番以下の人たちの人生が輝いていないのではない。むしろ社会を基本から動かしているのは、二番以下の大勢の人たちの存在だ。どの世界の片隅にも、自分なら生きられる、もしかすると自分を必要としていると思われる場所があるはずだ。P250

人生の目的は人に会うこと

  1. 人間の幸不幸の原因は、社会や国家の仕組みのせいだと思っている人が多いらしいが、実は半分以上、自分の性格から出ているものではないか。この世に生まれてくるのは、人に会うためなのである。人と出会ってその豊かな才能を見ることが、楽しみでもあり豊かさでもあると、私は終始感じている。P258

 

理念の時代を生きる161号

JAPAN Forward

■日本の海外への情報発信

英語ニュースオピニオンサント「JAPAN Forward」は2020年6月知ネット通信を初めて4年目になる。私はこのサイトの考え方・姿勢に協賛しています。協賛に至るまでの理由とサイトの姿勢を今回取り上げます。

  • 私は個人的には常々日本の世界に向けての対外的な国としての発信は「いったいどうなっているか」と切歯扼腕の思いであった。その事は、私が70歳の歳を迎えて戦後70年を振り返り「戦後70年を検証する」と宣言し、日本の戦後を振り返り始めたころから感じていた。
  • 昭和十八年生まれの私は正に戦後教育そのものを受けて育った。日本の戦前の教育を知らないで育ち、大学時代の前後に学生運動も直接、間接に体験している。労働運動も経験し日本の経済復興と高度経済成長そのもの、同時にバブルも体験している。しかしながら日本の戦前戦後について全く学ばないで育ち、このことが澱のように、私の心の中で引っかかっていた。
  • 戦後のGHQによる占領政策がいかにその後の日本に影響を与えたかということは知的保留事項だった。以来3年半の研究を経て2018年に「戦後70年を検証する」タイトルで小冊子化をした。その後も「森のフーォチャ」に研究したことを継続的に書いてきた。

虚偽を認めても姿勢を変えないメディア人

  • そのご「何故日本は世界から誤解されたま、国として外務省としても世界に向けて発信しないか」と思っていた。日本のメディア特に朝日新聞は世界に向けては慰安婦問題30余年発し続け、6年前当時の慰安分問題の記事の虚偽を認め、木村社長の退任があったものの、その虚偽事実を世界に向けて訂正はしていない。訂正しないのみか、いまだに日本を貶める活動をやめていない。人間として日本人として恥を知らないかと思う。
  • 1991年に執筆した従軍慰安婦に関する元朝日新聞記者の植村氏の捏造情報を指摘した桜井よしこ氏を彼は2015年、名誉棄損、損害賠償で訴えた。しかし、植村氏の訴えは2020年11月18日、最高裁で退けられた。にもかかわらず、反省する姿勢すらみせない。この判決の後、安倍前総理が投稿したSNSに対して「植村裁判を支える市民の会」なるもの事務局長が内容証明つきで通知書を送付したという。
  • 国連人権委員会で日本を貶める人達であふれている。自国を貶める人間が世界に向けて間違った情報を発信している。この遠因は戦後のGHQのコントロール下にある時代に、迎合したメディア、弁護士(日弁連の一部)、日本文芸家協会、日本学術協会の一部にも含まれる。戦後75年も経って未だGHQの影響を払拭できていない。

■状況を変える地道な活動

  • そんな状況を変えるは、ささやかであろうが、間違った評論に対して継続的に反論を繰り返し証明する以外に方法はない。その活動を目的として「JAPAN Forward」が発足することに私は心から共感と喝采を送った。賛助会員として協賛した。
  • スタートから3年経過した。日本発英語ニュースメディアのFacebookのフォロアー数は137万人がフォロー中です。現在トップスリーだ。2月時点ではおそらく二位になっているだろう。一位、NHK200万人二位、JAPAN Today146万。是非ご覧になっていただきたい。

JAPAN Forwardの基本方針・姿勢 

一、日本と日本人を応援する英語メディア

二、「素顔の日本」の魅力を発信

三、「課題先進国」日本の取り組みを伝える

四、双方向型の信頼されるメデヘアを目指す

■ビジョン

  • 英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」を運営し英語を話す人々に政治・経済・文化・社会などの様々な分野で、等身大の日本の姿や日本の多様な価値観・日本企業・団体・個人による国際活動などを積極的に発信します。
  • 世界にはびこる日本と日本人に対する誤解や偏見を払拭し日本の現在(今)を冷静かつ前向きにそして多元的に伝えることで日本への関心を高め、世界と日本をつなぐ新しいメディアを目指します。
  • 「JAPAN Forward」(ジャパンフォワード)は、良識ある日本の声、等身大の日本の姿を世界に届けるために、産経新聞社の支援を得て創設した新しいインターネットの英語ニュース・オピニオンサイトです。世界が大きく揺れ動く中、日本での主要な出来事や論点、課題、歴史、文化に至るまで、「素顔の日本」を多角的にわかりやすく伝え、日本と日本人への理解を深めていただくことが設立の目的です。
  • その運営には、一般社団法人ジャパンフォワード推進機構が当たります。私たちは、産経新聞の主要記事をはじめ、良質な記事や論評、動画、インタビューなどをタイムリーに世界に発信し、議論に参加しやすい双方向型のネットメディアコミュニティーの構築を目指します。異論や反論にも一定のルールのもとにスペースを開放していきます。
  • 私たちは、日本、そして世界の国々が安全で、共に繁栄する地球を築くことを強く願い、恐れず、偏らず、そして、おもねらず、自由闊達な言論活動を謙虚に展開していきます。「前進を続ける日本」-それが、「JAPAN Forward」のタイトルに託した思いです。日本と日本人を応援する私たちのコミュニティーにぜひ加わってみてください。私たちは、皆さまのご参加とご支援を心より歓迎いたします。内藤泰朗(産経新聞社東京編集局副編集長)

次号で・「日本を貶めるフェイクニュースを論破する」を取り上げたい。