経営進化学院とは

理念型企業経営の支援及び自立型人材の育成を通じ「和を基本とする社会」づくりに貢献する事を目的として設立されました。

脳力開発179号/理念の時代に生きる179号

脳力開発179号 方針・日本のために貢献しているのか

 その一 朝日新聞政治部・吉田証言取り消しまで

 朝日新聞政治部著者鮫島浩氏は吉田調書問題当時のデスクだった人である。本の帯びに崩壊する大新聞の中枢「池上コラム掲載拒否」「吉田調書問題」「慰安婦記事取り消し」そして「経営陣はどこで何を間違えたのか?」と書かれている。すべて実名で綴る内部告発ノンフィクション。保身、裏切り、隠蔽  巨大メディアの闇と。

帯びに引きつづき以下のように書いている。そうか、朝日新聞はこれに屈したのだ。ネツトの世界からの攻撃に太刀打ちできず、ただひたすらに殴られ続け「捏造」のレッテルを貼られた

折り返しにこう書いている。若宮啓文政治部長が私達駆け出し記者に投げかけた訓示は衝撃的だった。「君たちね、せっかく政治部に来たのだから、権力とシッカリ付き合いなさい」

 

■若宮啓文は朝日の主筆として権勢を誇った。以下ウイキュペディアより

  • 2011年主筆、著書「新聞記者 現代史を記録する」において、従軍慰安婦問題について、「朝日新聞もこれを熱心に報じた時期があった。中には力ずくの『慰安婦狩り』を実際に行ったという日本の元軍人の話を信じて、確認のとれぬまま記事にするような勇み足もあった」とし、従軍慰安婦問題に関する朝日新聞のキャンペーンに根拠がないことを暴露した
  • 2013年1月16日、65歳になり朝日新聞社を退社、朝日新聞主筆を退任。1月30日、韓国の東西大学は若宮を「碩座教授」に任命。2016年4月27日に北京で、体調不良を訴え、翌28日に滞在していたホテルの浴室で死亡していた。68歳没。7月29日、「知韓派」のジャーナリストとして日韓関係の発展に貢献したとして、韓国政府から修交勲章興仁章が授与された。

 

鮫島氏の著書から本のポイントを抜粋しながら朝日新聞の断面・深層を改めて見なおす。

■吉田調書入手・吉田調書取材班を結成

  • 吉田調書は2014年2月経済部の木村記者が入手、特別報道部の市川誠一部長に呼び出され経済部の宮崎記者と三人で吉田調書取材班を結成。木村・宮崎記者は朝日新聞の記者に不信感を抱いていた。二人の不信感は東電や経済産業省に近い編集局幹部や特別報道部の同僚にも向けられていた。5月20日吉田調書入手の第一報掲載。関係者は両記者に二人が指名した堀内記者と私(鮫島)4名のみ。A4×400Pの資料。P203

■待機命令に反して9割が離脱

  • 2014年5月20日長官一面と二面に掲載。東京電力第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の11年3月15日の朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反して、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せていた。P216

■第一報翌日の社内一斉メール

  • 朝日新聞編集局長室第一報翌日にだした社内一斉メールで以下の内容が流された。21日朝日新聞特別報道取材部とデジタル編集部の取材・制作チームによる「吉田調書」の特報に対して編集担当賞とデジタル担当賞が贈られることが決まりました。朝日新聞社内は称賛の声に包まれた。市川誠一報道部長は「木村社長が大喜びしているぞ。社長賞を出す。今年の新聞協会賞も間違いないと興奮している」と声を弾ませていた。p224

■朝日新聞独走・異論を封殺

  • 2014年5月は朝日新聞社内の権力移行が「木村独裁」が完成しつつある時期だった。第二報は続報をデスク達で議論し当番編集長の原真人さんは新聞の「アタマ」にするか「カタ」にするかで下した「カタ」にする結論を、渡辺編集局長が「いや、きょうはアタマにしてほしい。朝日新聞の決意を示す時だ」と決定を覆した。
  • 特別報道部や私の発言力も増して、それと引き換えに報道に異論を唱える声も影を潜め、不満や反発が水面下に蓄積した。それでも第一報に対し「待機命令を知らずに第二原発に向かった所員もいたと思う。早めに軌道修正した方がいい」と懸念を伝える記者はいた。マスコミ各社は調書が入手できず、朝日新聞の「独走」を静観していた。P231-232

■新聞協会賞に申請を目指す

  • 6月時点で吉田調書報道に向けられた批判に勢いはなかった。新聞協会賞に申請することを優先し、それに水をさす紙面展開を避けた。その間にネットメディアや週刊誌を中心に「命令違反と言えるのか」「誤報ではないか」と言う批判がじわじわ広がり始めた。朝日新聞はそれらの報道に抗議を繰り返し、7月3日「吉田調書」報道を新聞協会賞に申請した。p234

■「慰安婦問題を考える」

  • 8月5日特集記事「慰安婦問題を考える」を掲載したことで猛烈なバッシングの嵐が吹き荒れた。戦時中慰安婦を強制連行したとする「吉田清治」の記事を虚偽と判断し過去の記事16本を取り消した。訂正までに20ー30年かかったことや謝罪の言葉がないことへの批判が殺到した。「吉田証言」の信憑性を疑う指摘は1990年代からなされた。しかし会社上層部はこの問題を自ら、蒸し返すことをずるずる先延ばしにしてきた。P237

■産経・他社の反撃

  • 8月18日「吉田調書」報道に産経新聞が他社に先駆け「吉田調書」を手に入れ報道を開始した。

8月25日の記者会見で菅義偉官房長官が吉田調書の公表を発表した。読売や毎日も朝日に批判的な立場で吉田調書の報道を始めた。P240

■池上彰原稿に木村社長激怒

  • 8月27日の会議で「吉田証言」「吉田調書」を巡る朝日バッシングに対して断固戦う方針を決定した。直後池上彰氏の8月29日掲載予定の「池上彰の新聞ななめ読み」に慰安婦問題を巡る「吉田証言」の取り消しは遅きに失したと批判する原稿に、ゲラを見た木村社長が激怒しコラム掲載を拒否した。朝日新聞は世間から猛烈な批判を浴び立ち往生した。経営陣は総崩れ状態になった。P242

■命令違反で撤退の記事取り消し

  • 9月11日夜木村社長は朝日新聞本社で緊急記者会見に臨んだ。「吉田調書を読み解く過程で評価を誤り「命令違反で撤退」という表現を使った結果、多くの東電社員にその場から逃げ出したかのような印象を与える、間違った記事と判断しました。「命令違反で撤退」の表現を取り消すと共に読者及び東電の皆様に深くお詫び申し上げます」と頭を下げた。その上で退任を示唆し、この機会に慰安婦報道についても訂正が遅きに失したことを謝罪した。P248

■バッシングの嵐と記者処分

  • 吉田調書を独自入手した木村・、宮崎記者は「捏造記者」のレッテルを貼られデスクを務めた私もバッシングを受けた。木村社長が正式に辞任する年末まで続いた。「公開処刑」のようであつた。実際に「慰安婦」「池上コラム」の失敗は「吉田調書」へのバッシングで希薄された。P256

■渡辺新社長就任

  • 懲戒処分は2014年12月5日付けだった。木村・宮崎記者は減給、私は記者職を解かれた。翌朝の紙面には「朝日新聞社は変わります。私が社員の先頭に立って必ず変えます」と大阪社会部渡辺新社長の言葉が載った。P262

■渡辺社長退任

  • 2009年まで800万部あった発行部数は渡辺社長が就任した時点で700万部。そのご「朝日離れ」は加速し3年間で100万部のペースで激減、在任6年で500万部を割り込んだ。2021年3月連結決算で442億の赤字に転落引責辞任に追い込まれた。P286

■自分は自立していないサラリーマン

  • 2021年5月31日退社。吉田調書で処分を受けた時、自分自身がサラリーマンであることを思い知ったサラリーマンとジャーナリストであることは相容れないかも知れない。吉田調書でデスクを解任された時、一人記者会見をして全てを暴露してやめようと思った。でも会社に依存している自分の非力さを痛感して踏み切れなかった。その後早期退職募集に応じてやめた。p296

 

★朝日の体質が見事に描かれている。自浄装置のない経営陣の独断を指摘している。朝日新聞政治部こそ朝日の体質そのものと言ってよい。この事はGHQの言論統制以後権力に歯向かうと言う美名に隠れ、日本という国家に対し足を引っ張り続けてきた。慰安婦問題の捏造、吉田調書の誤報、池上問題で木村社長は記事を取り消した。これ以外にも朝日新聞の虚偽は沢山ある。若宮主筆はもとより誤報と知りながら唯々諾々としらを切り続ける体質だ

★日本国民は慰安婦問題を通じて日本を貶める朝日の姿勢を苦々しく思っていた。公器と言われる新聞メディアが政府の足を引っ張ることに専念してきた。吉田調書で責任を問われた記者とデスク、その時々の朝日新聞の組織を描いているが、自分はサラリーマンであったと自戒して退社する。組織に安住する「社蓄」に過ぎないことを自覚する。

★朝日新聞は今でも権力に立ち向かうとポーズを取りながら、安倍元総理に対しても野党ともども問題を矮小化し批判だけしてきた。国のために役立と言う、気概は微塵も感じられない。帯びに書いているように歴代の編集部主筆も自分の個人的保身に汲々として韓国におもねている。恥を知れと言いたい。

★虚偽報道に対して、朝日新聞は謝罪せず、記事の取消のみを2014年8月に行った。

 

理念の時代に生きる179号・「安倍晋三 時代に挑む」

★先月7月6日理念実践会に第一次・第二次安倍政権で内閣広報官を務め、総理補佐官として首脳外交から様々な課題に向き合った長谷川栄一氏の「首相官邸の2800日」を取り上げた。そして今月安倍総理の最新著書「安倍晋三 時代に挑む」を指定し、参加者にアマゾンから送付した。

★二日後、安倍元総理が銃撃され死亡された。2022年7月8日奈良の選挙演説の際に。思いもよらない事実として私達の眼前に起きた。

★森信三先生は「我が身に降りかかることは全て絶対必然即絶対最善」と言われる。私達にとって安倍総理の突然の死は何を意味するか、掲題の著書を通じて安倍政権の取り組み解決した日本の課題を理念実践会の皆さんと振り返って見た。

 

序章「天は自ら助くる者を助く」ウクライナの教訓とは 国家安全保障局 北村 滋

ロシアが仕掛ける「ハイブリット戦」と「情報戦」の帰趨(きすう)

  • 北村 クリミア併合(2014年)に際して、ロシア軍は、火力を主体とする軍事作戦とサイバー攻撃など非軍事的な工作とを組み合わせた「ハイブリット戦」を展開しました。電子戦部隊を展開してウクライナ軍の無線通信を遮断し使用不能にした。
  • 北村 ロシアは事前のサイバー攻撃で、ウクライナ軍の指揮命令の方法などの情報を入手。偽の指令の下に集まったウクライナ兵は、ロシア軍から集中砲火を受けて壊滅に追い込まれた。約一万五千人からなるロシア軍が、約五万人のウクライナ軍を圧倒したのです。p16
  • 安倍 情報戦は「情報収集」と「情報発信」の両面からなります。北村さんは情報収集について指摘されましたが、情報発信についてもウクライナ優勢が続いている。ツイッターやユーチューブを通じて、リアルタイムで現地の映像が世界中に拡散される。SNSを駆使するゼレンスキー大統領の発信力と相まってロシアを圧倒しています。p18

「NATOに入れない」ならフィンランド化

  • 北村 安倍総理は、プーチン大統領と二十七回の会談を重ねられました。プーチン大統領は、どのような価値観の持ち主なのでしょうか。
  • 安倍 彼は「力の信奉者」です。二〇一三年のG8首脳サミットでは、シリア内戦がテーマになった。ロシア以外の七ヵ国はアサド政権を退陣に追い込むべきだと主張しましたが、プーチン大統領は「この地域は力が支配する世界だから、後継者を決めないと大変なことになる」と反論。p19
  • 安倍 プーチン大統領と対話するなかで、我々とは異なる価値観を持つ指導者だと感じましたが、今回のような無謀な戦いに突き進むとは思いもよりませんでした。ウクライナ侵攻における彼の戦略を読み解くのは難しいものの、「選択肢はすべてテーブルの上にある」という姿勢で交渉すべきだったのかもしれません。p19

今日のウクライナは明日の台湾

  • 北村 習主席は、台湾統一に並々ならぬ意欲を燃やしています。二〇二一年七月、中国共産党創設百年を祝う式典で、「祖国の完全統一を実現することは党の歴史的任務」と語り、「あらゆる『台湾独立』のたくらみを断固として粉砕し、国家主権と領土を守り抜くという中国人民の揺るぎない決意を甘く見てはいけない」と述べている。p21
  • 安倍 ところが、軍事力で圧倒するロシアがウクライナを攻めあぐねている。中国といえども、台湾を武力統一するのは容易でないと認識したはずです。p21

共通点(同盟国なし)と相違点(台湾は国連加盟国ではない)                   

  • 安倍 米国はこれまで、台湾政策で曖昧戦略をとってきました。中国が台湾に侵攻したとき、軍事介入するかどうかを明言していません。「米国が軍事介入するかもしれない」と思わせて中国を牽制する一方、台湾の独立派には「米国が軍事介入しないかもしれない」と思わせて暴走を防いできた。ところが現在、曖昧戦略は、中国に米国の意思を見誤らせる危険を孕(はら)んでいます。米国は、台湾防衛の意思を明確にすべきです。p24

中国が狙う世界秩序「変革」の危険性

  • 北村 一〇%近い内閣支持率を犠牲にして成立させた平和安全法制によって、集団的自衛権が一部容認されることになりました。他国と情報共有する上で欠かせない特定秘密保護法と合わせて、日本が「普通の国」に近づいた。p28
  • 北村 中国企業が世界のインフラ投資に参入して、経済成長に不可欠な資源を確保するとともに、世界中に軍事拠点をつくる。それが「一帯一路」です。カンボジアやミャンマーなどの東アジア、スリランカやパキスタンといった南アジアでは、中国が戦略拠点をすでに確保している。p28

 

第二章 台湾侵攻は「中国の自殺」と悟らせよう   桜井よしこ

「台湾有事は日本の有事」の真意とは

  • 安倍 台湾本島から与那国島は百十キロ、尖閣諸島は百七十キロしか離れていません。台湾へ

の武力侵攻は、同時に日本の領土を脅かす行為でもある。だからこそ、台湾有事は日本の有事、

そして日米同盟の有事でもあると述べました。p65

  • 安倍 台湾がTPPに参加すれば、日本の経済・安全保障における戦略空間はさらに拡大する。

TPPはルールにもとづく国際秩序を維持・強化していくための枠組みであり、台湾は参加資格を十

二分に備えています。p67

「価値観外交」は勝つ!

  • 安倍 第一次安倍政権では「価値観外交」という形で打ち出していました。当時から日米豪印の

四カ国が協力して地域の平和と安定を守るべきだと主張していたのです。p69

  • 安倍 中国による一方的な現状変更の試みが明らかになるなかで、各国の中国に対する見方が

変わってきました。そして、菅政権下では、史上初の四カ国首脳会談が実現。日米豪印からなるク

アッド」という略称も広く知られるようになった。p70

「国際ルール」を守らせよう。

  • 櫻井 クアッド以外にも、TPPイレブンや日欧EPA(経済連携協定)など世界政治の軸となる枠組

みは、およそすべて安倍総理が主導しました。注目すべきは欧州の動きです。これまで中国の軍

拡や人権問題にさほど関心を持っていなかった欧州の態度が、急速に変わりつつある。p71

  • 櫻井 中国は一路一帯やAIIB(アジアインフラ投資銀行)を利用して、米欧の分断を狙いました。

中国と敵対するトランプ政権とEU諸国にくさびを打とうとしたわけです。p71

  • 安倍 日米が共有する価値観を具体的なルールに落とし込み、積極的に提案することが重要で

す。自由主義陣営が主導するルールの枠内に入れてしまえば、中国といえども従わざるを得ませ

ん。中国はWTOに加盟して以降、急速な経済成長を遂げました。国際ルールを守ったほうが利

益になるということを、中国は理解しているはずです。p72

 

第4章 コロナ禍だからこそ改憲議論を進めよう   弘兼憲史

「清廉潔白なれど無能な政治家」とは誰?

  • 安倍 政権時代、二十代と三十代の自民党支持は岩盤のように固かった。全体の支持率が落ちても、若年層の支持率はさほど変わりませんでした。アベノミクスで雇用が回復して経済的恩恵を受けたこともあるでしょうが、テレビを見ずにネットで広く世界を見ていることも大きいと思います。P113

法学部の学生時代に気づいた「九条」の矛盾

  • 弘兼 私は1966年に早稲田大学に入学しました。そこで教わった憲法の“矛盾”が原点です。九条には「戦力を保持しない」とかいてあるにもかかわらず、日本には戦車や戦闘機を持った「自衛隊」という組織が存在する。P114
  • 弘兼 全共闘世代なので、教授を含めて9割が左翼思想に染まっていた印象です。特に法学部は共産党シンパの教授がズラリと並び、授業内容も偏っていました。とはいえ、左翼学生のうち学生運動に参加していたのは1割程度。信念をもって活動していたのは10分の1ほどです。P115

「平和安保制」の整備が日米同盟強化につながった

  • 安倍 父の秘書官だった頃、私は岡崎久彦さん(外務省情報調査局長、駐タイ大使などを歴任)から「集団的自衛権の行使で解釈変更に踏み切らない限り、日米同盟は危うくなる」と聞き、その通りだと考えていました。P117
  • 安倍 トランプ大統領から「日本が北朝鮮から爆撃されたら、米軍は日本のために戦う。でも、米軍が攻撃されても日本は助けてくれない」と言われた。即座に「だからこそ内閣支持率を十数%落としてまで平和安全法制をつくった」と反論しました。トランプ大統領は「素晴らしい」と。もし平和安全法制がなかったら米国内で日米同盟を見直そうという議論が巻き起こっていたかもしれません。P117
  • 安倍 今となっては、平和安全法制を破棄すべきだという声はほとんど耳にしません。平時であっても自衛隊が米軍の戦艦や航空機を防護できるようになり、日米共同演習の回数は格段に増加。結果として、同盟の絆がより一層強くなったことは明らかです。P118

「第一列島線」を守り抜く

  • 安倍 異常なスピードで拡張する中国に対し、安倍政権は尖閣を守り抜く確固たる決意を示しま

した。 防衛最前線は欧州で、それを支えていたのは北太平洋条約機構(NATO)でした。現在のフロントラインはインド太平洋、沖縄からフィリピンを結ぶ「第一列島線」。それを守り抜くのが日米同盟の使命です。P122

  • 安倍 オバマ政権は尖閣に日米安保五条が適用されると明言し、それはトランプ政権、バイデン政権にも継承されています。しかし、自国の領土を自らの手で守るというのが大前提です。P123

台湾有事のシナリオ

  • 安倍 台湾は特殊な歴史的背景と地理的条件のもとに置かれた日本の友人であり、自由・民主主義・人権という普遍的価値観を重んじる同志でもある。台湾が変質するようなことがあれば、我が国の安全保障にとって重台な懸念材料になります。P123
  • 安倍 ニクソン訪中以来、米国は台湾政策で「戦略的曖昧」を貫いてきました。「米国が介入する可能性」をほのめかすことで中国を牽制し、「米国が介入しない可能性」があることで台湾は慎重に行動する。ところが最近、米国の中国専門家から「戦略的曖昧」の危険性が指摘されるようになりました。米国が明確に介入の意志を示さなければ、台湾に侵略するのではないかと危惧している。P124
  • 安倍 日本も、新しい戦争の形というものを考える必要があります。防衛の最前線がサイバーや宇宙、電磁波の世界になった現代において、専守防衛かという線引きは難しい。政府のサイバーセキュリティ戦略本部では、中国やロシアなどの関与が疑われるサイバー攻撃を念頭に、自衛隊のサイバー関連部隊を強化する方針が示されています。P125

コロナ禍の今だからこそ改憲議論を進めるべき

  • 安倍 私はかねて、憲法改正の必要性を訴えてきました。その理由は三つあります。まず、憲法の成立過程に問題があるということ。GHQ占領下でつくられたことは事実です。二つ目は、成立から七十年以上が経過し、時代にそぐわない部分があること。三つ目は、国民投票を実施し、自らの手で憲法を変えることが新しい時代を切り拓く精神につながるということ。P128

 

第五章 「危機の時代」にこそ読まれるべき名著  百田尚樹

命の大切を伝えたい

  • 安倍 百田さんが書かれる小説のテーマには、「他者の為に自分の人生を捧げる」という事があるのではないでしょうか。
  • 百田 おっしゃる通りです。長い間、日本人はそういう生き方をしてきたと民族だと思っていますし、今もすべての日本人の心の底に眠っています。そういう生き方を思い出し、命の大切さを伝えたいと常に思っています。P136

「永遠の0」に学んだこと

  • 安倍 指揮官による判断と決断の誤りによって多くの人々が命を失うことになり、国家の命運を危ぶむ事にも繋がりかねない。私も国の判断を下す立場に立っており、「永遠の0」を読むと改めて指揮官の重要性を感じます。

「右傾化小説」という批判

  • 百田 「永遠の0」と「海賊と呼ばれた男」は右傾化小説と朝日新聞に書かれました。それに早速、韓国が飛びついて「日本、安倍政権で文化も右傾化」と嬉々として書いています。戦後、焼け野原になった日本を懸命に立て直した経営者の物語がなぜ「右傾化小説」と呼ばれなければならないのか。まあ、朝日新聞は「竹島は韓国に譲れ」と言っていた主筆の若宮啓文が退職した途端に韓国の大学教授になれる会社ですからね。P143

他人のために生きた世代

  • 百田 大正生まれの人たちは「他人のために生きた世代」だという事です。地獄の戦場を生き抜いて、何もない祖国を立て直す為に懸命に働き、経済成長を成し遂げたのも大正世代なのです。昭和三十九年には新幹線を開通させ、東京オリンピックも成功させた。彼らがいたから私たちの世代が成り立っていると思います。P146

資料を読んでいて体が震えるような衝撃を覚えた

  • 百田 敗戦のわずか二日後に社員たちに「我が社には最大の資産である人が残っとるじゃないか」「愚痴をやめよ」「ただちに建設にかかれ」と号令するのです。出光佐三さんのこのくだりを見つけた時、衝撃を覚えました。

出光佐三は、戦後忘れ去られた経営者だった

  • 安倍 出光さんのやられた経営は日本的経営の典型であり、グローバルにも成功を収めている。このエッセンスをどうにか現在にもうまく活かすことができないかなと思います。

 

■各国首脳「追悼の言葉」

バイデン大統領「民主主義という仕事に身を投じた」、トランプ前大統領「彼のような人は二度と現れない」、ペンス前副大統領、オバマ元大統領「安倍元総理の優しさ」、ジョンソン前首相「未曾有の時代に発揮したリーダーシップ」、ショルツドイツ首相「ドイツは日本の傍に」、メルケル前首相「一緒に仕事をするのが楽しみでした」、マクロン大統領「世界の秩序のために取り組んできた首相」、蔡英文「台湾と日本に多くの花を」、ゼレンスキー大統領「残酷で恐ろしいニュース」、習近平「中日関係を構築してきた」、トルドー首相「献身的で先見性のあるリーダー」、ボルソナー大統領「三日間の藻に服す」、モディ首相「親愛なる友人、安倍さん」、モリソン前首相「歴史の架け橋となる能力があった」、インドネシア大統領「常に忘れることはない」、ライエン欧州委員長「多国間世界秩序の擁護者」他。

 

★朝日新聞は7月15日の紙面で「学者数人に国葬への賛否を述べさせ、元首相の政治姿勢、

政策には「支持できないと言う批判が根強くある」「外交的成果は思ったほどなく、仕事ぶりに不

満がある」「国論を分裂させる国葬をわざわざやる必要はない」と述べている。

 

国葬儀を積極的な外交の場に  日本財団笹川洋平氏 安倍レガシーを弔問外交に


脳力開発178号/理念の時代を生きる178号

脳力開発178号思考方法・両面思考・多角度思考

安倍総理の死について

参議院選挙前7月8日に安倍総理が亡くなられた。痛恨の極みだ。10日の選挙は自民党は圧勝した。立憲共産党(麻生さんのギャグ)を始め、維新以外は選挙前から票を減らした。公明党も減らした。結構なことだ。個人的には京都で立憲民主党幹事長福山が落選してくれたらどんなにか溜飲の下がったことか。

国葬の問題が起こってきた。そこに旧統一協会の問題を持ち出している。メディアは国葬の決定に騒いでいるが、日本人の変化を立憲共産党は自覚しているのだろうか。

世界の国々から安倍元総理を悼む声が続々届いている現実を見て、安倍元総理の総理として日本という国を世界の人々に伝え信頼されてきたのかを、やっと日本人も理解しだした。

今月号で後の原稿で首相官邸の2800日を取り上げているが、ここでは世界の評価と朝日に毒された、もはや間もなく消滅する高齢者旧リベラルの実態を記しておきたい。

■それでも反アベ…偏狭なる日本メディア 八木秀次 引用記事

  • 亡くなった安倍晋三元首相を惜しむ声が海外で絶えない。あの痛ましい銃撃事件の直後、米バイデン大統領は「世界にとっての損失」と述べ、インドのモディ首相は「世界的な政治家であり、卓越したリーダーだった」と述べた。米国、インド、ブラジル、台湾などは国としての服喪や公的機関での半旗掲揚を行った(日本は遅れて首相官邸で半旗を掲げた)
  • 海外メディアでは安倍氏が首相に就任した当初、「歴史修正主義者」などと呼び、ナチスのように危険視する傾向もあったが、いまやそんな論調はどこにもない。むしろ、安倍氏のビジョンや政策に深い理解を示している。
  • 米紙ニューヨーク・タイムズは9日付で安倍氏の伝記も書いた政治評論家のトバイアス・ハリス氏のオピニオンを掲載した。安倍氏を「物事を小さく考えて満足する政治家ではなかった」と評価し、中国の覇権拡大や北朝鮮の核開発などを念頭に「彼は日本が国家間の激しい競争にさらされていると捉え、政治家の使命は何よりまず、国民の安全と繁栄を確保することだと信じていた」と称えた。
  • 実際、安倍氏は日本が同盟国の軍隊を支援できるよう集団的自衛権の限定的な行使を可能にし、長期に及ぶ日本経済の停滞を解消するために「アベノミクス」を進めた。この「より強い日本国家」という安倍氏のビジョンには日本国内でも反対があったが、ロシアのウクライナ侵攻などで、正しかったことが証明された。

ハリス氏は「安倍氏が亡くなった今、日本人はようやく彼のビジョンに賛同するようになっているかもしれない」「危険な世界で国を守ることができる『強い国家』という彼のビジョンを国民が理解し始めたかもしれない矢先に逝った」と書いている。

  • 安倍氏をかつて危険視していた米紙ワシントン・ポストも12日付で「安倍氏のレガシーを称える」と題する社説を掲載した。与党が大勝した参院選の結果は「憲法を改正して軍隊の合法性を明確にする安倍氏の目標を前進させる」とし、「米国や他の民主主義国は、日本の民主的な軍事力の正当化を支持すべだ」と書いた。そして「安倍氏はいなくなった。彼が日本と世界に与えた影響を忘れてはならない」と結んでいる。

■海外メディアは高く評価するのに、なぜ?

  • 今や「世界における日本の地位を塗り替えた」(米誌タイム15日発売号)と評される安倍氏の「自由で開かれたインド太平洋」構想は、彼が第1次政権時の2007年にインド国会の演説で原型を発表したものだが、「当時は、世界の多くの識者は彼が挑発的で危険だと考えていた」と元米国家安全保障会議アジア上級部長のマイケル・グリーン氏は振り返っている(朝日新聞10日付)。
  • 当時の国際社会には中国の覇権への警戒心がなく、その脅威を認識していた安倍氏は逆に危険視された。安倍氏のビジョンは先見的で、安倍氏の見ている現実を理解できない者には危険に映ったのだが、今やそれが間違っていたことを国際社会も認めている。日本国民の多くも安倍氏が何を目指したのか、やっと「理解し始めた」。

 

■朝日川柳 西木空人選 2022年7月16日 引用

  • 疑惑あった人が国葬そんな国 (福岡県 吉原鐵志)
  • 利用され迷惑してる「民主主義」 (三重県 毎熊伊佐男)
  • 死してなお税金使う野辺送り (埼玉県 田中完児)
  • 忖度(そんたく)はどこまで続く あの世まで (東京都 佐藤弘泰)
  • 国葬って国がお仕舞(しま)いっていうことか (三重県 石川進)
  • 動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです (神奈川県 朝広三猫子)
  • ああ怖いこうして歴史は作られる (福岡県 伊佐孝夫)

★朝日が思考停止したかつてのリベラルもどきの人達を使って、いつものお決まりの手で安倍総理や自民党(保守は少ない)を批判している。批評眼は大いに持つべし。されど批判的態度は厳に慎むべし。(森晋三。一日一語7月22日)

 

理念の時代を生きる178号

その一、後輩を育てた和環塾塾長・南後浩氏

  • 南後浩氏がなくなられた。MGゲ-ムの創始者西順一郎先生と同い年の生まれだ。84歳。私達が企業に勤めたころ中小企業の経営者やサラーマンだった30代か40代の世代の東京を中心にMGマネージメントを核にして、脳力開発、MTマイツールを学んでいる人達が中心になって東京で勉強会を始めた。その後、大和信春先生と和道経営を学んだ。勉強会の名前を和環塾と命名した。勉強会だった。理念は①天命追及②人格向上③平和貢献

人は亡くなる

  • 数年前癌を患われ手術をされた、その後の抗がん剤等の治療で、いよいよ車椅子を使われるようになった。同じ頃この会の最長年齢であった勘場治氏も癌に見舞われた。勘場さんは2年ほど前に亡くなられた。南後塾長の6歳上で私とは干支で言えば一回り上だった。この会を立ち上げたのが一九八七年だった。あれから35年経った。
  • こうして私の先輩が逝去される報に接してあらためて人間は産まれ、そして何れは亡くなると言う定理を確認することになる。私も何れ人生を終わる日を迎えることになる。南後さんの逝去に伴い、和環塾のメンバーの南後塾長への思いはそれぞれ一入だ。少し振り返ってみた。

和環塾・南後塾長との邂逅

お会いしたのは一九八五年頃、八重洲の藤和不動産のホールだった。東京で太極拳の講習の席でした。会場は振りかえると南後さんの会社の確か6階の会議室だった。また、MG/MTに熱心に取組まれていた。

その後、私は広島に転勤になった。広島でも後に非常に親しくなる井辻食産の井辻栄輔氏とYMCAの責任者の梶原宣俊氏と交流が拡がり、数年後MGを中心とした全国からの広島見学会を開催し、その後、南後さんが広島に出張のされた時、私に声を掛けて下さいました。

その夜、食事しながらKJ法の川喜田先生の話、脳力開発の城野先生の話、MGの話と切れることなく続くのです。大企業の専務で、子会社の社長をなさっている南後さんが「社員の全員の活性化」に真摯に取り組んでいる姿に驚きました。こんな人も大企業にいるのかと驚いたものだ。

競合他社に勝ち、自社の利益を最優先課題として掲げる経団連や経営合理化協会の類の主流の勉強会から一線を画した私達の勉強会に「何故情熱を燃やして取り組まれるのか?」と、不思議、でした。翌朝、善子とともに広島全日空ホテルを訪ね午前中のフリーな時間に、「ひろしま美術館」を案内しました。「絵画」にも関心が深く「あぁ、こういう人と一緒になにかをしたい」と強く思いました。

和環塾の仲間との邂逅

数年後に広島から再度転勤で帰って来た東京で、和環塾をつくるきっかけになったのです。転勤後一九八七年九月十二日、西順一郎先生が熱海赤根崎で「黒田脳力開発セミナー」を開催して下さり、後に和環塾の主要メンバーになる人達にお会いすることができたのです。この和環塾のメンバー達と、MG、脳力開発、MTを中心に相互の企業の活性化をねらいとして活動をしていました。そして大和信春先生の「和の実学」の出版決定に立ち会ったのをきっかけに「和の実学」の勉強会を開始しました。理念と和道経営を。

和道の体得と伝播

合宿や講演会などあらゆる方法で「和道」の勉強会をやりました。毎月一度の大和先生を囲む定例会も開催し、「和道」の勉強会を重ねたのです。一方、脳力開発を開催している全国各地に私と同行して大和先生に特別講師として和道の骨子を伝えて貰いました。たどり着いたのがIST情報統合技術であり、IATであり「企業理念」でした。従来のパラダイムである「覇道社会」から「和道社会」への転換を具体的に図ろうとする訳です。大和先生を中核に「新時代シンポジュウム」を何年も続けました南後塾長の行動力は私たちを心の底から振るい立たせてくれました。口では綺麗事を言って実際に行動しない人達の多い社会のなかで、トップとして挑戦する姿勢に頭が下がりました。

NEXT WORKS 

私が創業したのが丁度50歳でした。理念を制定した上での創業でした。メンバーの多くは元々中小企業の経営者か二代目でしたので、殆どの人がその後が自立したことになります。南後さんも企業の役員をやめられてからNEXT WORKS を立ち上げ経営指導されてきました。

勉強仲間の末松清一氏が主宰される中小企業の経営者や後継者、若手幹部を対象として、プロ経営者の育成を目的に経営進化塾のお手伝いをされていました。その他広い人脈を駆使され各地の経営コンサルタントをされていた。沢山の若い人たちを育てて下さいました。35年間の歴史は私達にも様々な経験を積ませてくれ、そのまとめ役だった南後塾長の逝去は私達の人生と重なっています。

 

その二、久世さんの子供たちその後

三女あも氏レティエの経営

訪問記を書いてから10年経ちました。三女あも氏は数年前再婚した。ご主人は田中真生氏、今回お腹には二番目の子を抱えている。ご主人は昨年から牧場を経営している。二〇二一年四月新規就農の道を選んだ。

ご主人田中真生氏

今回は牧場経営の傍ら牛乳公社の責任者を引き受けている。友人鈴木さんも巻き込んで新製品を企画、ソフトクリームを提供している。昼食にピザとノン・ホモ牛乳を頂いた。ピザパイは旧来の物より全く生地から変わっていた。写真

レティエの経営はあもさんがやっている。妊娠したことから知り合いのパン屋さんに生地をつくって貰い、とことん注文をつけ「素晴らしい」ピザとして仕上げている。価格は千円、私も価格設定が低いと評価した。友人たちも異口同音に評価は高いが、彼女は価格を変えない。彼女の情報網は父上の活動や独自のネットワークで広い。八月の出産後次ぎなる構想もあるらしい。

ノンホモ牛乳

ノンホモ牛乳は圧力を掛けないで脂肪球を粉砕し均質化しないでそのまま使う。一般的にはホモ牛乳が世間では流通している。田中氏はここにチャレンジしている。現物をみて味わって見ると二度味わえる。現地での楽しみだ。この店を昨年働いていた池田樹亜君が今年も手伝っていた。 田中氏はチーズづくりにもチャレンジしている。久世さんがいう産業の六次化を実践しょうとしている。来年が楽しみだ。田中さん三十五歳。

六次産業

第一次産業(農業等) 第二次産業(製造・加工)第三次産業(外食・サービス・販売)之バランスだ。いま第三次産業が増えている。このバランスは換言すればこの世界情勢もみても第一次産業が大事で、農業はその根幹をなす。しかしいま酪農もコロナ以後離農が進んでいる。酪農も厳しい時代に直面している。

 

西崎司・歩夫妻

彼女は結婚後すぐには子宝に恵まれなかった。三年前ご主人の独立を機に子宝に恵まれ今は二人の子供を育てている。今回、削蹄業を営む西崎司氏は自宅と会社事務所、削蹄用大型車両も備えメンバーも二人増えて大幅に仕事の領域を広げている。仕事場も市内のパチンコ屋の駐車場を手に入れ便利のいい環境と仕事への態勢づくりを整えていた。司さん四十歳。

久世さんの住む豊富に通いだしたころは、二人でバンドを愉しんでいた。当時歩さんはチーズづくりを、あもさんがレティエの喫茶部を担当していた。今は社員二人を抱えた司さんをシッカリ支え、二人の子供を育てている。

今回の旅で、久世さん子供たちの自立度の高さと進展に感動した。若い人たちが成長する姿よその子供たちの誕生と成長に喜びを感じた旅でした。久世さんは孫に囲まれ、自給の村でおお忙しだ。

 

その三、理念実践会・「首相官邸の2800日」 

★7月6日理念実践会に第一次・第二次安倍政権で内閣広報官を務め、総理補佐官として首脳外交から様々な課題に向き合った長谷川栄一氏の「首相官邸の2800日」を取り上げた。そして来月安倍総理の最新著書「安倍晋三 時代に挑む」を指定し、参加者にアマゾンから送付した。13名の人達に。

★その二日後、安倍元総理が銃撃され死亡された。2022年7月8日奈良の選挙演説の際に。思いもよらない事実として私達の眼前に起きた。

★偶然かどうか解らない。森信三先生は「我が身に降りかかることは全て絶対必然即絶対最善」と言われる。私達にとって安倍総理の突然の死は何を意味するか、掲題の著書を通じて安倍政権の取り組み解決した日本の課題を順を追って、理念実践会の皆さんと振り返って見たい。

★相変わらず日本メディア、野党は枝葉末節な話題を取り上げ己の愚かさを露呈している。このポイントレビューをお読み頂きたい如何に具体的の安倍総理と官邸が日本国内と世界に向けて戦後レジームから抜け出し、日本の本姿を伝えてきたかを。

 

第1章 官邸広報とは何か 

■4つのA

  • 内閣広報官の職務は、第一義的には国民に対して政策の意図を正しく説明し、理解を得ることである。誰に、何を伝え、何を目指すかを考えることから始まる。「4つのA」を明らかにした上で取り組むことが重要だ。①誰に対する発信か、つまり宛先(Addressee)は誰か。②目的は当方への関心(Attention)を持ってほしいということか。③加えて、当方の意見に賛成(Agreement)までしてほしいのか。④さらには賛成した内容を行動(Action)に移してほしいのか。13
  • 賛成を得るためには、相手の思考の深みに入り込み、こちらの主張を裏付けるファクトやデータを加える。また「こちらの話を聞いてください」だけではなく、相手の論議の土俵に乗って、問題点や不正確さを具体的に指摘する。すると、相手側も当方の主張を咀嚼した上で再考に及ぶことができる。14

■Agreement(賛成)につなげる

  • 安全保障のような複雑なテーマの場合は、私たちが「直面する問題は何か」「歴史と経緯」「憲法や判例など議論の前提となる事項」「科学や技術など自分たちの思いとは別の次元で決まること」など、絡み合う論点を因数分解する。その上で、それぞれの因数について体系的に説明する。短さ、シンプルさに拘らず、長くなってもデータやファクトに基づいたほうが説得力で勝る。加えて注意すべきは、読み手を飽きさせない工夫だ。16

■平和安全法制についての説明

  • 官邸HPの平和安全法制特集サイトでは、第一に日本を取り巻く周辺地域での安全保障環境が厳しさを増し、世界のそれ以外の地域でも紛争に繋がりかねない状況であることを説明した。第二に戦争を起こさないためには抑止力を強め、相手に行動を自制させることが重要であることを説いた。18
  • 見落としてはならないのは、「日本を攻撃すると、自分がそれ以上の害を蒙るから行動を起こさない」と相手が思うかどうかは、相手に依るということだ。だからサイトではこう記載した。「ただし、『自分を利するか否か?』は、日本人の感覚のみに依るのではなく、相手の価値観や感覚を踏まえて判断しないと機能しません」と。19
  • 「話し合って解決すれば、日本側は行動を起こさない」「国際法ではこうなっている」「日本国憲法の理想を一緒に実践しよう」などと説いてみても、相手がそれを自制の動機づけにしない限り、自制は起こらない。そう考えれば論議の対象になっている相手国に届く反撃力が必要か否かという点も答えは明らかだろう。日本人の常識や感覚だけで考えてはいけないのだ。それを私はこのサイトで伝えたかった。20

第二章 外国向け広報はなぜ重要か 

■訪米で痛感した情報発信の必要性

  • 日本のリーダーと政権のスタンスを正しく理解してもらうことから、日本という国の魅力の発信まで、守備範囲は広い。言語はもとより文化習慣や思考様式も異なる外国向けとでは様々な違いのあることに留意しなくてはならない。歴史認識をめぐる問題など、当事国で大きく見解が異なる場合もあり、時には対立的な発信も必要になる。p39

■総理のスピーチ、メディアへの投稿

  • 安倍総理には外国訪問時に、インフルエンサーの集まる場で積極的にスピーチをして頂いた。14年秋には豪州議会本会議、15年には米国連邦議会上下両院合同会議でスピーチを行った。内容と反響はもとより、こうした場に招待されること自体も対外広報としてインパクトをもつのだ。p46

■慰安婦問題での基本方針

  • 2013年末に安倍総理が靖国神社を参拝した。2014年になると、中国、韓国の総理批判はさらに強まる。1月のダボス会議では、中国メディアに一部の欧州メディアも乗り、批判的発信が強まった。慰安婦像対策はタフな仕事だった。米国へ移住する韓国人は増加し、州によっては現地で投票権を得る。現地の政治のプレーヤーになるので、日本政府が外交を試みても、欧米諸国の地方の首長や議員には及びにくい。p48

■地道な努力の末の慰安婦合意

  • 慰安婦問題で韓国は日本を激しく非難している。韓国の兵士がベトナム戦争当時に何をしたか、関心のある方も多いと思うが、公表されないまま今日に至っている。米国では相手の関心の度合いの差にも直面した。「あなたの話は理解するし賛成だが、日韓両国には仲良くして欲しい」、「米国には歴史の中の被害者を忘れないために多くの像があるが、撤去せよという人はいない」、「これは市レベルのローカルイシューであり、ワシントンの手は及ばない」と言われることもあった。p51
  • 米国で選挙権をもつ居住者の数では、中国系、韓国系の伸びは大きい。日本のソフトパワーの総力を挙げて、米国の人々の心に刺さる形を工夫し、発信し続けなければならない。こうした中で在外公館はそれぞれに頑張り、官邸と外務本省と在外公館の連携は強くなった。正直きつかったが、「日本の名誉が懸かっている」という意識を絶やさずに臨んだ。p51

■低下する好感度、遠ざかる未来志向

  • 多くの日本人は戦前の日本の歴史を学び、反省するべきことを反省しているので、繰り返し謝罪を求めてくる韓国側にうんざりしていると思う。両国間の距離は縮まらず、日本人の対韓好感度も低下している。p54
  • 私はその底に根深い問題を感じている。かつて大きかった日本との経済格差が縮小し、一人当たりのGDPで韓国は日本に追いつき、デジタル普及度では世界トップクラス、多くが英語も使いこなせるなど、韓国人の中に「日本に遠慮する必要はない」という意識があるのではないかということだ。p54

■中国警戒論へと傾いた米国

  • 大国である中国は、グローバルな勢力図の中で日本に対する方向も固めた。だから、日本が米国と離間し、欧州とも緊密でなく、豪州や他のアジア諸国も中国に近づいた時には、中国の日本への対応は厳しさを増す。
  • 他方、日米同盟を緊密化し、欧州諸国のアジアへの現実認識が深まり、アジア諸国が本音に基づいて対中関係を構築しようとする試みを日本が有効にサポートできれば、中国は他の諸国の動きを踏まえて、日本への対応も改善させるだろう。p56
  • 今でこそ米国内で「中国は競争国」だと公言されるが、私が官邸に勤めていた当時、米国では通商・金融面は別として、外交や安全保障面ではプロ・チャイナ(中国寄り)の傾向が強かった。米国のPR会社に広報サポートをお願いしても、友人からさえ「難しいね。ほとんどのロビーイング事務所に、中国関係者の顧客がいる」と言われたものだった。p57

■ASEANの日米中ヘッジ外交

  • 中国が南シナ海での埋め立てを拡大し、軍事基地化を進めるに連れ、ベトナムフィリピンなどによる対中反発が増す。2013年10月の東アジアサミットで、南シナ海問題の話し合いによる解決と、地域の問題は域外国を含めずに地域内で解決することを強調する中国・李克強総理に対し、アセアン諸国の首脳を含め多くの首脳が反発した。p62
  • 安倍総理が議論をリードした。ウォール・ストリート・ジャーナルはこう報じている。「オバマ大統領が欠席する中で、中国による強い主張が予想されたが、注目は安倍総理に集まった。安倍総理は中国と領土問題を抱える国々に、『単独で対処せずに国際法に訴えるように』と発言した」p62
  • それぞれが自国一国だけでは中国と対峙できない諸国は、アセアンを通じての一体行動と、他の大国とのヘッジによる外交をする。米国はもとより、日本への期待は大きい。この地域との経済、広報、留学生などあらゆる面での交流を進め、国を挙げての関係強化が欠かせない。p62

■選挙連勝で増した対外信用度

  • 民主主義国家のリーダーにとって、多くの国民から支持を得て国政選挙で勝利し続けることは至難の業で、その難しさを最も肌で感じているのが首脳だろう。それは選挙で勝ち続ける安倍総理への他の首脳からの対応ぶりにも影響した。訪日する外国首脳の数、国際会議出席時の外国首脳との二者会談の数が増えていった。p63

 

第三章 首脳外交、ゴーン事件、コロナ過の渦中で 

■15年安部訪米とケネディ大使の尽力

  • 「G7サミットを来年5月に伊勢志摩で開催する」年が明けて15年1月、年初恒例の伊勢神宮参拝の折の年頭記者会見で、安倍総理は「G7サミットを来年5月に伊勢志摩で開催する」と明らかにした。一方、毎日新聞は1月14日、「安倍首相:真珠湾訪問を検討 大型連休、訪米で調整」と報じた。しかし、これは総理の意向に沿わず、事実でもなかった。P75

■「歴史修正主義者」のイメージを刷新

  • ワシントンで、総理はホワイトハウスでの首脳会談、歓迎の宴、上下両院でのスピーチなどの行事を相次いで進めていった。このスピーチを巡っては、日米双方のメディアにより多くの肯定的な見方が報じられている。P80
  • この訪米を通じて、安倍総理の活動と政策、人柄や実像が多数報じられた。一部のメディアが報じてきたような、「安倍晋三氏は歴史修正主義者(歴史を曲げようとしている人物)」ではない、という理解が広まったと思う。P81

■感動的だったオバマ大統領の広島訪問

  • 「(オバマ広島訪問のニュースを)目にしたとたんに、久方ぶりに日本外交にとってのうれしいニュ

ースだと思いました」「特に、日本側が『謝罪を求めない』といっているのが、大変に良い」「謝罪を

求めず、無言で静かに迎えるほうが、謝罪を超え高々に求めるよりも、断じて品位の高さを強く印

象づけることになるのです」「『求めない』と決めたのは安倍晋三首相でしょうが、リーダーの必要条

件には、部下の進言も良しと思えばいれるという能力がある」P88

■トランプ大統領とのパイプづくり

  • ホワイトハウスでの首脳会談の後、安倍総理はトランプ大統領からフロリダ州パームビーチにある別荘マール・ア・ラーゴに招かれた。食事会、ゴルフをまじえ、リラックスした信頼関係づくりが進んだ。ところがその夜、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射。両首脳は急遽、共同記者会見を行った。米国で行われる会見なので、慣例では米国大統領から発言を始めるのだが、この夜は総理から発言を始めた。

■「北朝鮮を非難する。北朝鮮は、国連安保理決議を遵守(じゅんしゅ)しなければならない」

  • これを受けて大統領は簡潔にこう述べた。「私が皆さんに理解してほしいこと、十分に知って欲しいことは、アメリカ合衆国は、偉大な同盟国である日本の後ろ盾になっているということだ。100%だ」トバイアス・ハリス氏は著書の中で、「この瞬間、両国政府の力関係は(日本側に)重みがついて傾いたようだった。安倍総理が長い経験を積んだプロに見えた」と記している。P92

第四章 メディアとどう向き合うか 

■ジャーナリストは文化エリート

  • ジャーナリズムの最盛期には懐疑と好奇心が求められた。優秀な記者は常に伝えられたことを

疑う。そして弁明と説明とを較量しながら代替の説明を自分から創り出そうとしてきたが、現代のジ

ャーナリストは違う。自分を文化エリートの一員と位置づけ、選ばれた側にいる事で満足する。これ

はジャーナリズムではない。P147

■良質なメディアは共有財

  • 報道はまずはファクト(事実)に立つ、それも正しい文脈で位置づける事が前提となる。頭と心と

に収納したファクトの引き出しの中から自分の主観で取捨選択し、ストーリーを織り上げてもらいた

い。P150

  • メディアの世界は、やり甲斐と醍醐味を若い時から味わう事が出来る職業だ。現在のメディア幹部には、ご自身の経験を活かした発信をするとともに、次を担う世代を励まし、育てて頂きたい。良質なメディアは国民の精神を豊かにし、国の質を高め、民主主義の強さの証左となる、共有財というべきものだ。P151

脳力開発177号/理念の時代を生きる177号

脳力開発177号 プーチンとウクライナ

今回のウクライナ侵略は予想されていたという。2017年8月に発刊された「2030年ジャック・アタリの未来予測」に書かれている。私は2020年第4刷を持っているがp168に旧ソビエト連邦における危機の章に以下のように書いてある。

ロシアはクリミア(クリミアは電力供給をウクライナに依存している)とウクライナ東部の独立派を結ぶ細長い一帯を、またしても占領するだろう。

アメリカとヨーロッパは、ロシアのこうした侵略を思いとどまらせるためにウクライナへの支援を強化する。ウクライナに武器を供与し、NATOをウクライナを加盟させることを検討する。アメリカとヨーロッパのこうした動きを開戦事由と解釈するロシア政府は、アメリカに向けて先制攻撃を仕掛ける。

今回ジャック・アタリをインタビューした記事がHANADA に掲載された。そのなかからポイントレビューしてみたい。インタビュアーは大野和基氏▲質問 ●ジャック・アタリ

多くのロシア専門家はロシアのウクライナ侵攻をその可能性はない、あるいは低いと予想していましたが。

  • 予測は難しくない。一般的に独裁者は民主主義国家のリーダーと違って有言実行の人です。プーチンは「ウクライナはロシアの一部であり、それについて諦めない」と常々言っていました。簡単に予想できた。多くの専門家がそういう基本的なこともできなかった。専門家といわれる人はbad news(まずい状況)に目を向けない。アメリカ人の学者で正確に予想した人は何人かいます。シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授もそうだ。

 

この戦争の状況はなかなか収まる気配が推測できますか?

  • 永い戦争の終りは、究極の終焉にはロシアは近代化し、民主国家になります。EUの加盟国になります。その終焉に到には五年、十年、五十年かかるかもしれません。

 

ロシアは民主化するとお考えですが?

  • 「東部トンバスとウクライナがNATOに加盟しないという保証がほしい」とプーチンは言っていた。しかし、この戦争はロシアの利益に反する。ロシアは長期にわたり孤立し、貧しくなり、破産するでしょう。

 

ウクライナに引きを送り続けることは戦争を長引かせることにつながるという見解に対しては如何ですか?

  • 我々が目の当たりにしたようにロシア人は野蛮人です。ウクライナの町に侵攻すると市民を強姦して殺害するなど蛮行を繰り返している。我々がウクライナを助けなければ平和は訪れません。

我々はクリミアで何が起きたか目の当たりにしたのです。我々はクリミアのために戦いませんでした。今回ウクライナ人がロシアの侵攻に抵抗していなかったら助けを出していなかったかもしれません。ウクライナ人自身が抵抗したからこそ助けようとしたのです。

  • 野蛮なロシア人にウクライナ人を強姦させておくわけには行かないことに気づいたのです。五十万人以上のウクライナ人がシベリアに強制送還され、七万人の子供が孤児になり何千人もの女性が子供の目の前で集団強姦され殺されたのです。忘れることもできないし、許すこともできません。

 

この戦争の結果世界は危機の前と何が変わるでしょうか?

  • どんな真っ暗な夜の後に夜明けがきます。ヨーロッパ全体が民主主義国家になるでしょう。そのあと、いつになるかわかりませんが中国も民主化されるでしょう。日本は栄えるアジアの中でさらに栄えるでしょう。遠い将来の話であっても、いずれそうなると思います。

 

 

プーチンの実像-孤高の「皇帝」の知られざる実像

朝日新聞国際報道部の発行の著書を読んだ。

プーチン簡単な略歴

  • 1989年11月ベルリンの壁崩壊、1991年6月ロシア共和国大統領選挙でエリツィンが当選。
  • 8月プーチンKGBを辞職、12月ソ連崩壊。
  • 1999年3月安全保障会議書記、3月~6月コソボ紛争

8月首相12月エリツィン大統領辞任にともない大統領代行。2000年大統領選で得票率53%で当選、2004年大統領選で得票率7割以上で再選。

  • 1998年~2013年G8でロシア参加

真意を悟られない内に機先を制する形で舞台を迅速に投入し空港を制圧する。コソボへの国際部隊展開に際してロシアが試みたこのパリーンは、15年後の2014年春、ウクライナを巡る危機の中で再現される。

  • 記章を外したロシア軍の特集部隊がクリミアで真っ先に入った拠点の一つが、中央都市シンフェロポリの空港だった。プーチンは当初は軍事介入を否定していたが、併合の翌月には「我が軍はクリミアの自衛勢力の背後にいた」と認める発言をしている。

★このプーチンの実像を読んであらためて、私達日本人はロシア・ソ連のことを知らない。のみならず戦前も戦後も彼等の異質な価値観の国・ソ連ロシアを日本人の見方でしかみていない、日本人は単純の視点しか持っていないことに気づかせられる。国際社会の強かさは日本人には到底わかりそうもない。この事は中国に対しても同様である。

★ソ連・ロシアは第二次世界大戦後1945年8月日国際法上認められている相互不可侵条約「日ソ中立条約」に違反し満州、北方領土を侵略した過去がある。私達は負けたのだから致し方ないと思ってきた。このウクライナへの侵攻を目の当たりにしてソ連・ロシアは欧米とは根本的に異質の価値観であることがソ連崩壊後の経緯を含めてハッキリと描かれている。(悦司)

 

理念の時代を生きる177号・コロナ後の未来

第一章 デジタル独裁主義の悪夢を阻むには ユヴァル・ノア・ハラリ  堀越弘道

■中国的権威主義体制の落とし穴

  • COVID-19が浮き彫りにした問題は、国際秩序がいかに脆弱な状態にあるかという事だった。

一国でも感染対策に穴があれば、人類にとっての危機になりうるのです。中国の様な一党独裁

体制の落とし穴が露呈したと考えられます。

  • 権威主義や独裁体制は表現と報道の自由を制限して国民を支配する為、COVID-19の発生か

ら2年以上たっても発生からの武漢の数週間など、何も明らかになっていない。民主主義国家であれば、情報は報道機関か個人が公表した。

■監視システムの強化

  • 中国国民の持つスマートフォンにはコロナ追跡アプリがインストールされ、国内には5億7千台ほどの監視カメラが設置されている。AIにより顔認証で個人を判別出来る、このテクノロジーは

新疆ウイグル自治区で実験され、実装化された。P20

■民主主義国家も監視をする

  • 日本でも政府が新型コロナウイルス接触確認アプリを開発。国民に推奨しました。しかしながら私たちはプライバシーと健康を天秤にかけて、どちらかを選択するべきではありません。プライバシーも健康も、両方とも守られるべきです。P22

■個人データを収集する企業

  • 民主主義国家であっても、政府が一元的に個人データを蓄積する事を許すべきではない。データーは少数の機関に集中させず、国民の側もデータがどの様に使われているかを監視し、緊急経済対策など、どの様配分されているかモニター出来るシステムを作るべきです。P25

■チャイナ・ファースト

  • 習近平国家主席の体制となってから「チャイナ・ファースト」と呼ぶべき姿勢を強めている。中国はこの30年間、経済、外交、軍事でアメリカと争って台頭してきた。そもそも民主主義国家と権威主義国家では価値観が正反対なので何をしても相容れる事はありません。P30

■日本の現実的な脅威

  • 台湾問題は日本の安全保障にとって現実的な脅威です。アメリカと日本と台湾で総合的な軍事力を強化し、具体的にどう対処するのか決めておくべきだ。国家資本主義とも呼ぶべき中国に私たち民主主義陣営にいる者が価値観を強制してはならない。お互いが異なる事を認めるしか手立てはないのです。52

■パンデミックの教訓

  • このパンデミックで得られた教訓は、科学者たちが国際的に協力して立ち向かったことでしょう。各国の指導者たちも科学者たちのグローバルな協力から学べるはずです。国際的な協調の枠組みを築くことは、将来パンデミックが起きるリスクを低減させ、山積みしている問題に取り組むのにも役立つはずです。P33

 

第4章 コロナ後の働き方はハイブリッドワーク   リンダ・グラットン  藤井高大

  • もう後戻りすることはありません。全員がオフィスに毎日出勤する時代に戻ることはあり得ない。こまで社員は通勤で毎日2時間を無駄にしていました。その時間を学習や研修、家族との時間に費やせるようになったのです。いま考える必要があるのは、職業人生を生産的で創造的なものにする方法です。リモートワークを上手く機能させるためのさまざまな方法論が求められています。
  • いまや多くの人が在宅勤務のメリットを享受し、オフィスで働かなくても、生産性が下がらないことに気付きました。この経験はコロナ過という惨事にあって、不幸中の幸いと言ってもいいくらい、私たちにとってポジティブな経験となりました。P107
  • かつてのように人生は単線ではありません。マルチステージに向けて、多くの人が自分の未来に投資をする意識を強めています。デジタルスキルを習得したり、オンライン学習を始めたり、生涯にわたって何かを学ぶことが大切です。P116
  • 企業はこれからますます若い人材の確保に苦労するようになります。ですから、いつまでも新卒一括採用にこだわらず、入社年齢を多様化させるべきでしょう。これは人材の多様化につながり、働き手の人生をマルチステージ化することも促進します。P121
  • また、企業のみならず親の世代も意識の改革が必要だと思います。日本で20代、30代の若者と話すと、彼らの親は子供たちに早く大企業に就職してほしいと願っているそうです。その気持もわからないではありませんが、親が子供にできるのは長い人生を幸せに暮らしていけるように準備をサポートすることです。大企業への就職を急かすのではなく、もっと長い目で見て、彼らがマルチステージの人生を築いていけるように、見守ってあげるべきでしょう。121
  • 働き続けることが健康長寿につながることを示唆するデータもあります。アメリカで1992年から2010年に引退した約3000人を対象に調査した研究結果があります。引退した年齢(65歳、67歳、70歳、72歳)ごとに死亡率の推移を調べたところ、引退年齢が高い人ほど、長生きする傾向が見られたのです。P123

 

第5章 未来の都市は「第三の場所」を求める リチャード・フロリダ    小路口欣弘

■「コロナクレイジー」

  • 新型コロナウイルスは社会にさまざまな影響を及ぼしていますが、そのなかでもサプライズは、リモートワークが爆発的に普及したことです。パンデミックの結果生じた最大の変化の一つと言えるでしょう。129
  • このパンデミックになってから日本では孤独感を抱えた人が急増し、特に女性の自殺者が急増していると聞いています。これには、リモートワークやソーシャルディスタンシングによって、人の精神にとって何か重要なものが失われてしまったことが関係しているのではないでしょうか。130

■都市とは人々がつながるための場所

  • アメリカではすべてのものが以前の状態に戻ってきました。2021年7月にミッドタウンに行ったとき、レストランの予約が取れないほどで、大行列ができていました。その光景を見て、私は大都市の中心部の真の機能は、仕事をするオフィスではなく、人と人のつながりの場であることだと痛感しました。133
  • その一方で戻ってきていない唯一のものがオフィスで仕事をすることです。具体的な要因はわかりませんが、ニューヨークではオフィスに戻ってきた社員の割合が20%にも満たないというのです。こうして見ると都市がクリエイティブ・クラスのような知的労働者が働くために集まっているという分析は一面的であったと言えそうです。134

■若い世代にはオフィスが必要

  • 例外はあります。キャリアを歩み始めたばかりの新人は、多くの人に直接会って、人脈を作りたいと思っています。彼らは子どももいないし、郊外に広い部屋を借りられるほど経済的な余裕がありません。だから、若い世代が多く働いているアメリカのテクノロジー企業は、大都市にビルを建てています。134
  • 誰でも新人時代からリモートワーカーになれるわけではないということです。キャリアを重ねて専門的能力を身に付け、そのスキルに対する需要が出てくることで、自分の影響力が強くなるのです。そうするとリモートワークができるようになります。136

■「第三の場所とは何か」

  • 私はこれまで「第三の場所」という概念を提唱してきました。「第一の場所」を住む場所、「第二の場所」を働く場所だとすると、「第三の場所」とは、人と人がつながる場所のことです。147
  • これまで大都市のカギとなってきたのは、生活する場所と働く場所であり、「第三の場所」の役割は最小限にしか評価されませんでした。知的労働者たちで成り立つ都市では将来的にこの「第三の場所」が極めて重要なスペースになってきます。148

■未来の工場

  • 資本主義の現段階は、情報化が進んでかなり都市化していますが、未来の工場とはトヨタのような工場ではありません。未来の工場とは「都市と第三の場所」です。「第三の場所」を多く備えた都市と言ったほうがいいかもしれません。この点はまだ多くの人が理解していないようです。高度に情報化された資本主義の次の段階において、人々をまとめるものはコミュニティなのです。149

■日本人による新しいオフィス

  • パンデミックによって新しい種類のオフィスが生み出されています。こうした潮流は、日本人が誰よりもわかっているはずです。かつては日本人がアメリカの汚くて非人間的な工場を見て「我々はクリーンな工場を作って、従業員がチームの一員と感じられるような場所にしよう」と考え、従業員を単なる労働者ではなく人間として扱う「新しい工場」を作ったのですから。新しい種類のオフィスを生み出すことに長けているのは、まさに日本人でしょう。153

 

第7章 コロナ後の「Gゼロの世界」 濱田 渉

■中国はオミクロン株に勝てない

  • 2022年の状況は一変するでしょう。なぜなら、オミクロン株の感染力は今までの変異株よりはるかに高いからです。中国が開発したワクチンでは感染防止効果が乏しく、オミクロン株の感染を防ぐことはできません。186
  • 中国は世界第2位の経済大国であり、世界の経済活動において中核的なサプライチェーン(供給網)を担っています。オミクロン株によって中国経済の流れが止まってしまえば、供給不足からのインフレも懸念されますし、世界に大混乱を引き起こすでしょう。p187

■「Gゼロ」おけるパンデミック

  • これまでの私たちは有効なワクチンを世界中に供給することができませんでした。各国がバラバラに出入国制限を取るなどしたのは、国際社会が協調できず、ワクチンが平等に行き渡らなかったからであります。これは国際間の協調を主導する国が存在しない「Gゼロ」という状況が変化していないからです。P188

■習近平の狙い

  • 2022年秋の中国共産党全国代表大会で3期目を迎えようとしている習近平国家主席ですが、毛沢東以来、中国共産党で最もパワフルな指導者となりました。権力の基礎固めも順調に進み、彼が任命する部下たちは、ますます彼の信奉者になっています。2021年の9月から中国では小学校から大学まで、「習近平思想」が必須科目として教えられているのですから、驚くばかりです。権力集中の結果、習氏がさらに危険なリーダーになる可能性は否定できません。P191

■国際社会における中国のミス

  • EUは中国と包括的投資協定を結ぶことで合意していたのですが、中国の国際法を無視した報復措置に反発した欧州議会は、投資協定の批准手続きを凍結してしまいました。これは明らかに中国にとってマイナスです。P195
  • イタリアのドラギ首相は、中国の「一帯一路構想」への参加について見直すと発言しました。イタリアはG7の中で最初に参加を表明していた国だっただけに、中国にとっては、これも大きな誤算でした。P195
  • オーストラリアとも貿易戦争を繰り広げています。オーストラリア政府が5Gのネットワーク構想事業からファーウェイを締め出したことをきっかけに、中国は石炭、ワイン、牛肉など、オーストラリアから輸入品に高率の関税をかけるなどの無限措置を実施します。P195

■日本の抱えるリスク

  • 米中冷戦に陥れば、日本は大変苦しい立場に追い込まれます。5G通信システム、インターネットなどのテクノロジー関係や、貿易など、米中の間で板挟みになってしまいます。P197
  • 日本はアメリカ側につく以外の選択肢はありません。歴史的、民族的、経済的など、さまざまな理由から日本と中国はお互いを信用できないでしょう。さらに日本の安全保障を担保しているのはアメリカです。その状況が近い将来に変化することは考えにくいでしょう。P198

脳力開発176号

脳力開発176号 台湾から見たウクライナ危機

2021年12月1日、安倍元総理は台湾で開かれたシンポジウムに日本からオンライン参加した。緊張が高まる中台関係について、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と述べ、中国側が軍事的手段を選ばないよう、自制を促す取り組みの必要性を訴えた。このとき中国の反応は大使を呼びつけ「必ず火遊びで焼け死ぬだろう」と警告した。

  • この発言に中国の本音が窺われる。そして二カ月後にロシアのウクライナ侵攻が行われ、中国の過去の数々の口先の上辺の姿勢に隠された本心が明らかになった。我々日本人にとっても、隣国の中国の習近平が如何に信用できないかも明らかになった。
  • 4月21日産経新聞・台湾支局長・矢板明夫氏の時事講座に参加した。安倍総理が12月に語ったことがまさに2月のロシアのウクライナ侵攻以来、文字どおり「台湾有事」が人ごとでなくなってきた。今回あらためてウクライナになぞらえる台湾の立場から現在を確認してみた。
  • 矢板明夫氏の略歴1972年中国天津市生まれ、15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ、97年慶応大学文学部卒業、松下政経塾入塾、中台問題の平和解決における日本の役割をテーマに研修、2000年中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師02年から産経新聞社記者、さいたま支局、熊谷通信部、東京本社外信部勤務07年から中国総局(北京)特派員、20年4月から台北支局長。

 

  • この講座を通じて日本の置かれている状況をあらためて認識したい。

以下矢作氏の話しを■印を中心にすすめる。矢作氏の発言は●矢作:で記す。

■プーチンと習近平会談

1、ウクライナ侵攻の報告。2、ロシア制裁に参加しない。3、台湾侵攻の相談。

  • プーチンは2月4日、北京冬季五輪開会式の際に習近平と会談した。その時の共同声明でプーチンの主張するNATOの拡大に反対するロシアの立場に習近平は「支持する」と明言した。その後プーチンは五輪閉幕を待って侵略に踏み切った。
  • 矢板:ロシア側の情報によると、習近平は今秋に台湾侵略を考えていたようだ。ウクライナが二、三日で制圧されたら台湾もやれると考えていた。二〇〇八年のジョージア一四年のクリミヤ半島侵略を見て数日で決着がつくと考えていた。習近平の台湾攻略の野望が今回のロシアの失敗・苦戦によって完全に白紙に戻った。
  • 中国とウクライナの関係

ウクライナは中国と蜜月関係にある。空母「ワリヤーグ」を売却し空母「遼寧」に改修、旧ソ連の軍事技術に多くはウクライナが持っていて、ソ連崩壊後数百人単位で中国にわたっている。また、一帯一路政策もウクライナ南部のオデッサからキーウへ、ヨーロッパというのが需要なルートである。従って中国にはロシアの侵略は痛し痒しでもある。

 

■戦争長期化の原因

  • ロシア優位、兵力、武器
  • ウクライナ優位  情報、補給、士気、国際社会の支援
  • ウクライナ不利の当初の世界の予測は全て外れた。プーチン自身のイメージも私達が想像したように、兵力、武器の差が有利に働くと思っていたらしい。軍備の過多が話題になるし兵員数、兵器数、核の有無が問題にはなる。いずれもロシアの方が優位であることは変わらない。
  • しかし、事実は違った。情報、補給、加えて武器の新しさ、精度等があることが判明、加えて士気の差が大きい。かつて第二次世界大戦の時、米国が最も恐れたことは日本軍兵士の士気だったようだ。(ここでは置く)ウクライナ国民の国を守る意志が大きい。守り抜く意志が国際社会を動かした。
  • プーチンと習近平の最大の誤算は西側諸国が一致団結してロシアの戦争を許さないという姿勢を見せたことだ。ロシアの主要銀行をドル決済から排除するという前代未聞の経済制裁を課した。中国経済にとって、EUと米国の市場から追い出されると致命傷になる。

 

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■ロシア軍苦戦は台湾を変えた

ウクライナ戦争をみて、台湾人は「中国に併合されたくない」という気持が強くなったのではないか。ロシア軍の虐殺の実態をみて「中国軍に侵略されたら同じ目に遭う」と連想させる。ウクライナの必死の対抗でロシア軍の苦戦は台湾人を元気づけている。

  • 矢板:台湾の人達はウクライナの状況を見て「中国はこうやって攻めてくるのだ」と想定する。これまで米国は台湾有事に対して「あいまい戦略」だった。中国の侵略に対して米国の来援はハッキリしなかった。今回、米国は来ないということが分かった。
  • 矢板:しかし米軍が来なくても勝てるかもしれないという希望が生まれた。米軍は来なくても武器と情報を渡してくれる。それで勝てる可能性が高くなれば台湾人も戦う。台湾人の考えが大きく変わった。
  • 矢板:補給の問題も、ロシアは陸離だがそれでも補給がうまくいかない。台湾の場合米軍は参戦しなくても台湾海峡は公海だから中国の船は容易に渡れない。台湾は自信を持った。
  • 矢板:蔡英文の支持率は何もしないが上った。親中派の国民党はこれまで「中国の言うことを聞かなければ台湾を攻めてくるぞ」と脅かしていたが、その恫喝も効かなくなった。武器さえ貰えば勝てると気づいた。対戦車ミサイル「ジャベリン」さえ貰えば戦えると自信を持った。

 

戦争で見えたこと

1、戦争はいつでも起きる。

2、独裁者は判断ミスをしやすい。

3、ロシア軍は意外と強くない。

4、戦争の要は情報と補給

5、指導者が重要

  • 日本人には平和憲法、第九条があるから日本は戦後75年戦争に巻き込まれることもなかったと戦後リベラルを自称してきた個人、団体、政党を信じて来ていた。金科玉条にしてきていた。その事が真実だと洗脳されてきた国民も大半だった。日本学術会議でも研究すら忌避してきた。
  • 独裁者は判断ミスをしやすい。ロシアを見ていると結果としてそのように判断される。かつてのスターリンや毛沢東も同じことを繰り返している。私達がかの国に生まれたとしたら、独裁者に反対することは「死」を意味する。彼等の犯した数々の事実を振り返って見ると、その残酷さにヘキヘキする。人間でありながらこの残酷さに。
  • ウクライナ軍の闘いに兵力、武器の差が勝敗を直ちに決することに繋がらないことを知った。第二次世界大戦の時代、今から70ー80年前と大きく違って、現代はそこに情報の比重が増えている。勿論第二次大戦の当時も「情報」は大事だったが、現代はそのスピードが大きな力となっている。米国、英国の軍事情報以外の情報もウクライナの戦い方に大きく寄与している。

 

■日本への影響

  • 矢作氏、石平氏、モンゴル出身の楊海英静岡大学教授

 三人の鼎談で日本に対しての影響を正論六月号で議論している。

  • 日本もウクライナと同じ環境にある。日本人もウクライナ人のように戦わないことには米国も国際社会もなにも出してくれない。いまだ中国が攻めてきたら投降しなさいという人もいるが、如何なものか。ウクライナの戦争で日本人に大事なことを教えてくれている。①平和を望んでも相手が侵略してきたら瞬間に崩れる騎弱のものだ。

②侵略されれば如何に悲惨なことになるか。

③守らなければ女性や子供が殺される。守るために必死で戦う覚悟がいる。

  • 矢板:戦後の平和主義が如何に時代錯誤か明らかになった。「戦争を放棄する」と書けば戦争が起きないのであれば、地震や津波を放棄すると憲法に書けばよいという話だ。戦争は向こうからやってくる。「攻められたときどう対応するか」を考えなくてはならない。

 

■幸運続きの台湾

1、日韓対立 → 韓国半導体産業に打撃→ 中国に不利

2、米中貿易戦 → 台湾企業の出戻りブーム→ 中国不利

3、香港反政府デモ → 台湾に金、人材流入

4、コロナ禍 → 半導体需要急増

5.ウクライナ戦争 → 国際社会の台湾支持強化

  • 矢作:ウクライナ戦争による影響を考えてみると上記のように台湾にとって幸運が続いていると言っている。ロシアの背後には中国がいる、習近平がいることは明らかになっている。ウクライナに準えられる、台湾は現在の状況から中国を意識しながら台湾からの視点で見ると多くの点が有利に影響している。
  • 以下、矢作氏は台湾の状況を報告された。大いに納得できた講演だった。

■蔡英文総統の「四つの堅持」

1、自由と民主主義

2、中華民国と中華人民共和国は互いに属さない

3、主権の侵犯や併呑を許さない

4、台湾の将来は台湾人の意志で決める。

■台湾の選択

1、「安定、臨機応変、進歩」

2、挑発しない、譲歩しない

3、米台関係の強化

4、国際社会への積極的な参加